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乱雑短編小説集:改  作者: Kaito3237
7/7

デスゲーム 第二話

戯れろ、と言われてしまった。恐らく、周りとおしゃべりでもしろと言っているんだろうが…乗り気になれない。もしここで誰かと話して、少しでも情が湧くと今後の3つのゲームに支障が出る可能性がある。俺たちアサシンも、人間だ。感情はある。


だから、部屋の隅で時間まで待とうと思っていたら…なんと、話しかけられてしまった。俺に話しかけてきたのは、まだ小学生くらいの女の子だった。

『あの…モニターの人が言っていた"戯れろ"とは、どういうことでしょうか…』

「あぁ…あれは、まぁ周りの奴らとお喋りでもしてろ、って意味だ。分かったら、同年代でも見つけて好きな事でも話してな。」

…少し、強くあたってしまっただろうか。子供と話したのなんて、いつぶりだろうか。話し方、なんてものは勿論分からない。いや、いつぶりだって関係ない。俺みたいな血で汚れた薄汚いやつに、こんな無垢な子供を長い時間付き合わせるわけにはいかない。だから、どこか別の場所に行くように誘導したつもりだったのだが…

『ううん、お兄ちゃんがいい。…だって、"デス"って…し、死ぬ…って意味だよね?…そしたら…わ、私…大人の人と一緒にいたほうが…いいの、かなって…』

…恐怖。死への、恐れ。10年生きているか生きていないか、そんな子供が、死を理解し、受け入れ難い事実を受け入れようとしているのだ。本当は助けて欲しい、ということを繋げられない言葉達で紡いだのだ。…ここで見捨ててしまうのは、大人としてどうなのか。


"その殺しの技は、金のためだけにあるのか?"


その1文が、俺の頭を過ぎる。…あぁ、そうだ。この技は、金のためだけにあるんじゃない。

「お前…生きたいか?」

単純で、されどこの状況で答えを出すには難しい質問。それを、その少女に投げかける。一瞬、悩んだだろうか。しかし、決意に満ち溢れた目で、その少女は大きく頷いた。


《心の休憩は終わったかな?終わってなくても始めるけどね。さぁ、諸君。モニターに向かって左を見てくれ。そこに、10個の扉がある。その先が会場だよ。入らなければ死ぬ。さぁ、99名様ご案内…》


俺は、その少女の手を引く。不安そうな顔をした、その少女の頭を優しく撫でてやる。そして、ナイフ、拳銃、プラスナックル…その他諸々の装備の位置を確認し、その扉へと進む。…どんなゲームだって構わない。これは、命をかけた、希望の奪い合いだ。殺し屋の技の真髄…見せてやろうか。


《全員、席に着いたみたいだね。じゃあ、第一ゲームの説明をするよ。"ルールは違うけど、"すごく簡単に言うと、ロシアンルーレットだね。目の前に一丁の拳銃がある。それを使って、交互に引き金を引いて…死んじゃった方の負け。生きてた方の勝ち。一つの席につき2人座ってるはずだよ。違うところがあったら移動しちゃってね。…とは言っても、見た感じそんな人いないんだけど。それじゃあ、準備は良い?良くなくても始めるよ?…それじゃあ。"スタート"》


俺は、即座にその銃を取る。目の前にいるのは…普通の男だった。銃を取るのを躊躇して、何の意味があるのか。どうやら、死ぬ覚悟なんてものはないらしい。


そして、俺はすぐに筒先をこめかみに当て、引き金を引いた。やけにトリガーが軽い銃だ。そう思いながら、俺はそれを机に置き、手で弾いて目の前に男に渡す。その男は、震える手で銃を触ると、恐る恐る引き金を引いた。…弾は、出なかった。


そして、俺がまたさらに引き金を引こうとした瞬間、背後から轟音が鳴った。…どうやら、1人死んだらしいな。立て続けに何回か、あちらこちらで発砲音が鳴る。10人くらい逝ったんじゃなかろうか。


周りのことなんて、はっきり言ってどうでも良かった俺は、引き金を、引こうとした。しかし、ここである重大な事に気づく。トリガーが、重い。恐らくこの銃、今引き金を引けば弾が出てしまう。あぁ〜…死ぬじゃん。すごいピンチじゃん。と、思いながら俺は、主催者の言葉を思い出していた。ルールの抜け穴を探そうとしたんだ。結局俺も、死ぬのは怖いんだ。

確か…ロシアンルーレット。あれは、こめかみに銃を当てて撃つ、死のルーレット。では、今回は?ルールが違う、と言っていた。ロシアンルーレットのルールなんて、俺が知ってる限りこめかみに銃を当てることぐらいだ。つまりこれ…相手に向けても良いんじゃないか?


そう思った俺は、銃を下ろす。目の前の男は、その光景に目を見張りつつも、少し強めに言った。

『は、早く撃てよ…とっとと撃って死んでくれよ!』

俺は、そんな言葉は気にも止めず、その銃をその男に向ける。そして、トリガーに指をかけ、言った。

「自分が生きるために人の死を願うやつに、生きてる価値なんてねえよ。何も分からないままで…逝ってくれ。」

『ちょっ、おい待て、ルールがちが…』

轟音。響く銃声。初めに聞こえたスナイパーの音とは違い、重苦しい銃声だった。

(' . '_ろしあんる〜れっと

第一ゲーム突破か、はたまたルール違反でこのまま死ぬのか。

デスゲームの恐ろしいところは、負ければ死に、勝っても死ぬ可能性があるところです。


さて、貴方は生き残れますか?

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