変異した思い出
その日、海には数人の男がいた。
……………
ある国に、一人の男がいた。
その男は、休日に最近できた彼女と海に出かけていた。
彼女は海に入りたかったため、水着を欲しがっていたが、その男は、その日財布を持っていなかった。
そのため、海で少し遊ぶだけにして、その後買い物をして一緒に家に帰った。
……………
それから少したったある日、家のポストに召集令が入っていた。
その男はそのことを彼女に話した。
彼女は、少し戸惑った。
しかし、彼女は自分の愛する人に「頑張って」と言って見送ることしか出来ない。
……………
そして、その日がやってきた。
その男は、彼女が心配だからと信頼できる友人に彼女を預けることにした。
その友人は、快く承諾してくれた。
……………
その男が戦地に行ってから半年後、戦争が集結した。
その男は、久しぶりの我が家に帰ってゆっくりできる、と思いながら帰路を辿った。
……………
その男は、彼女に合うために、友人の家に向かった。
そして、友人の家に到着しインターホンを鳴らすが、反応が無い。
仕方ないので合鍵を使って中に入ると、首を吊った状態で片腕が切断された友人の姿がそこにはあった。
その男は友人の名前を呼ぶが、返答が無い。
その友人の首に触れてみると、既に冷たくなっていた。
……………
その男は、彼女が心配になった。
そして、二階で彼女を見つけた。
しかし、その姿はもとの彼女ではなかった。
彼女は友人の腕を食べていた。
その男は、その姿を見た瞬間、国の命令に従い、”それ”に対して得物を向けた。
その刃が”それ”の喉元に届く直前、彼女は言った。
「私は、あなたのことがキライです。」
……………
”元カノ”を殺したその男は、庭に”元カノ”を埋め、その前に箱を置いた。
そして、その中に一着の水着と指輪を入れた。
その日は、彼女の誕生日だった。
【解説】
この物語で彼氏さんの戦っていたのは、ウイルスによって野生化した”変異した人間”。
では、彼女さんは一体どのタイミングで感染したのでしょうか。
それは、一番最初の”海”です。
この物語の一番最初に出てきた男たちは、その海で何をしていたのでしょうか。
そして、なぜ彼女は死ぬ間際に「あなたのことがキライです」と言ったのでしょうか。
それは、皆さんで考えてみてください。