2-4:ミナコグループ
tips
*エリナグループ
エリナ
マユル
レイリ:黒のおかっぱ
エリナよりは顔一つ分低い
気難しそうな性格が顔に出ていて、常に口をへの字にしている
黒いジャケットタイプの制服
メアリ:気の抜けたようなタレ目をしている
髪は軽くパーマがかっている金髪を肩まで下げ、一部ゴムでくくっている
身長はエリナと同じくらいか
着くずしたシャツとストライプの入った緑のスカート
ヤヤ:赤毛の髪を小さなポニーテールにしている
服装は白いワイシャツに紺のスカート
背丈はレイリと同じくらい
周りを常に気にしてビクビクしている
2-4:ミナコグループ
広場での説明会、解散の後。
三枝 流来は最初にあてがわれた家に向かっていた。
ルキは茶髪のショートヘア、弱弱しい印象を受ける茶の瞳。
紺のワンピース型の制服を着ていた。
ルキはグループで言うと同じ学校の制服を着ていた5人が集まった組の1人である。
記憶もなく、関係性もわからない少女たちの中、少なくとも同じ学校であったであろうことだけを頼みに集まった5人であった。
5人はお互いに名乗りあいはしたが、やはり互いに関する記憶はなかった。
その中で、ルキはいつの間にか他の4人と距離をあけられてしまっていた。
説明会の時も、他の4人はあとは聞いておいてと先に家に戻ってしまった。
心の中では不満に感じつつも、相手に嫌われることに臆病なルキは愛想笑いを浮かべ、
「わかったー。
任せといて!」
と、明るめに答えてしまったのだった。
しかも、ルキは真面目な質で、説明会の中で聞いた内容をこれからどのようにわかりやすく4人に伝えるか頭の中で練習していた。
家への梯子を上る。
何か悪口でもされていないかと、ルキは戸の前でしばらく聞き耳を立てた。
中からはなんてことのない雑談が聞こえるだけだった。
内容のない、今の置かれている状況へのシンプルな不満だけだ。
安心して、ルキは家に入る。
中には他の4人がいて、「おかえりー」とルキを迎え入れた。
他の4人は毛布を座布団のようにしいて座っていた。
ルキも同じようにして自分の毛布を敷いて座った。
倉木 美奈子。
ミナコは活発そうで、人の好さそうな雰囲気を醸し出す。明るい茶色の髪を肩すぎまで伸ばしていた。
先ほどルキを1人残していった時にミナコの発言が発端となってそのようになったことといい、何気なく場を支配する。
坂間 杏璃。
アンリは小柄だが自信のある風で、パーマがかった金染めのショートヘア。
自分から主体的に動くタイプではなく、強いものに追従して威を借る狡さ……をルキは感じていた。
久我 美遥。
ミハルは背が高く、細見で、黒い短髪。
自己主張は少なく、自分に火の粉がかからない位置をキープする立ち回りをしている……と、ルキは感じていた。
花屋 竜子。
タツコは黒のショートカット。
どこにでもいるような、個性を強く感じない少女。
でも、どこか暗い雰囲気を持つ。何故か、ルキはこの4人の中で一番近寄りたいとは思わなかった。
ルキは手早く、説明会の残りの話を4人に伝えた。
ミナコはおもむろにポケットから石を取り出し、アライズと声を出した。
石は青く発光した。
「これを当てると、あのキモいのが固まるわけか」
ミナコはぎゅっと、石を握り、ポケットに戻した。
アンリとミハルも真似て同じようにポケットにあった石を取り出し、アライズと言って発光させ、確認したの後にポケットにしまった。
タツコは石を持ってない様子で、しなかった。
ミナコは少し考えた様子を見せた後で、
「それで……この家、時計とかないみたいだけど、1時間後って誰か呼びに来るん?
ルキちゃん」
「あ、なんか放送が入るって言ってたよ、ミナコちゃん」
「放送……ふーん。
ほんとによくわからないとこね、ココは」
他愛ないミナコとルキの会話だが、うっすらと不満げにアンリが割り込んできた。
「ほんとだよね。
早く帰してほしいよね。
って、何処に帰ればいいかも思い出せないんだけど!!」
ミナコはそんな様子が面白いようで、快く応じた。
「あはは、アンリおもろいー!
ねー、ほんとどうなってんのよねー!」
アンリは満足げに笑い、ミハルもタツコも習うように笑った。
ルキも愛想で笑った。
会話を割り込まれたように感じたせいもあってか、ルキは異常に冷静になっていた。
本来なら、恐怖や不安でパニックになってもおかしくない。
今、この場で起こっている笑いは、それを紛らわせたいからなのか、それとも、異常な環境で頭がおかしくなってきているのか。
少なくとも、今、この状況について真面目な議論を行おうとするのは憚られる空気だった。
ミナコのグループは意味のない会話で時間を費やした。
時間が経てば、救いの手がのばされるかもしれない……そんな切望がうすら見えた。
ルキは、他のグループも同じだろうかと思った。
そう思ってしまったせいで、ルキから不用意に言葉が漏れた。
「ねぇ、他の子たちの家に行ってみない?」
勝手に行けばと言われるか、そうでないか。
ルキは唾をのんだ。
一瞬止まった空気の中、アンリが何か言いそうになったが、ミナコが立ち上がりながら言った。
「そうね、暇だし。
ちょっと、行ってみようか。
多分、あと30分くらいは暇なんだし。
村の見学というか、トイレとかの場所も確認したいしね」
アンリもミハルもタツコも、皆そうだねと同意して立ち上がった。
ルキは胸を撫でおろした。そして、立ち上がったのだが、視界の外側のほうでアンリがルキを睨みつけているような気配を感じた。
この関係は近いうちにどうにかしないと面倒くさくなる……ルキは思った。
出来れば他の関係性の良いグループに何か理由をつけて移動するか。
先にミナコの信頼を大きく得て、アンリよりカースト上位に座すか。
そんな思考を巡らせ、ため息をついて、ルキは最後尾で家を出た。
*
恐らく、万が一にもオレンジの壁が機能を失い、突破された時の時間稼ぎのためだろう。
黒ウサギが安易に侵入できないように家は高床式に作られていた。
入るためにまず梯子を上る必要があり、その梯子も上からはすぐに取り外せる。
しかし、逆に、少女たちが突然逃げ入るためには不便さもあった。
学校の制服姿の少女はスカートの者が多く、登るのも降りるのもやや面倒であった。
幸いにも覗くような男はここにはいないものの、どうしても足にひっかかったりするのである。
村に家は10棟。
中央に小さく広場があり、それを囲むように家が楕円状に並んでいる。
家と村の外壁との間には畑のようなものやいくつかの小屋があった。
全部、石で作ったものなのだろうか。
男手があっても、普通に作るのはかなり難しいだろう。
ミナコはそのように村を眺めつつ、広場に人が多くいるのを発見し、そこにグループの4人を引き連れて向かっていった。
広場でたむろする少女たち。
その中で名前はわからないし、際立って目立つ感じのない少女が二人。
あと、目つきの怖い1人。
先の黒ウサギの強襲の際に危機を脱することができたのはあの少女たちのおかげだろう……ミナコはそれを知っていたから早めに親睦を深めたほうがよいと、その少女たちに話しかけに行った。
決めたわけではないがリーダーにあたる位置にいる、スズハとナナル、エリナ。
ミナコは3人と挨拶し、石回収の後の時間が取れる段階で、みんなで親睦会を開催することを提案した。
3人と、同じ場にいたハナたち、先の村民側も賛同を得て、親睦会は開かれることとなった。
しれっと、提案したはずのミナコは親睦会の主催には加わらず、先の村民側が取り仕切るように誘導していた。
そんなことをしているうちに、石回収の時間が訪れたようだ。
どこからともなく放送がかかった。
「連絡です。
連絡です。
これから、村の全員で村外に石の回収に向かいます。
基本、全員参加でお願いします。
村外での安全な行動の仕方なども講習します。
不参加の人は伝言でもよろしいので主催に伝えるようお願いします。
石回収は今後、村で生活するためには絶対必要なことです。
村を維持するためにノルマもあり、あまりにひどい態度などがあれば村から退去してもらうこともありえます。
基本、全員参加でお願いします。
繰り返します……」
アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。
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