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アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
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2-3:魔法の石

tips


*スズハグループ

スズハ

ナナル


サクラコ:黒い艶のあるショートカット、中肉中背

     制服は灰色のボレロタイプ

     おどおどした態度が表情にでている


ミラン:胸元あたりまである茶髪、中くらいの背

    ぽっちゃり体型、おおらかな性格

    青のセーラー服


ララミィ:肩くらいまである軽く巻き毛質な金髪

     やや小柄で細めな体形。

     赤いリボンの目立つ制服。

     きれいな青い瞳

 

   2-3:魔法の石




 だんだんと少女たちの集中力が切れてきているのが明らかだった。

 ハナはそれを気にしながらも、



「では、③のお話をしましょう。

 皆さんもこれは聞いておいてください、『魔法の石』の話です」



 『魔法の石』という単語に、少女たちは一気に耳を傾けた。

 スズハはコクコクとそれが聞きたかったという風に頷いた。

 ナナルは息を飲み込んだ。

 エリナは笑みを浮かべてさえいた。

 ハナの傍に、カガミがいくつかの石が乗せられた台車を運んできた。

 昼間の光のもとでは石が光っている様子はあまりわからない。

 その石の一つをつまみとったハナの手が少し明るくなったことでソレだとわかった。

 ハナの手のひらで少し赤く光る石は少女たちの視線を集めた。

 ハナは少女たちの様子をうかがいながら、



「この場所の石が少し変なのは皆さんお気づきだと思います。

 昼間はあまりわかりませんが、夜になれば様々な色を放っていますね。

 この石には主に、2つの使い方があります。

 ひとつは、黒ウサギを倒す能力。

 もうひとつは、モノを生み出す能力です。

 この話は長くなるので、まず、お見せしましょう」



 ハナは言うと、持っていた石を少女たちの前に出し、



「アライズ!」



 ハナの声に呼応し、光は昼間でもわかるほど強烈に赤く放たれた。

 おお、と驚く少女たちを見ながら、ハナは説明を続けた。



「これが石の【解放状態】です。

 ……らしいです。

 この状態で使うと石はそれぞれの色に応じた能力を発現します。

 色は確認されているもので、赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫。

 あと、白と黒。

 白と黒は特殊で、先に言った二つの能力は発動しません。

 白の使い道はいまだによくわかっていません。

 黒は……黒ウサギの亡骸が変化したものです。

 そして、この黒い石は日光に6時間ほどさらすことで、それぞれの色の光を持った石に変化します」



 マユルがエリナに、「それって、黒ウサギで黒ウサギを攻撃してるってこと?」とこそりと聞いた。

 エリナは嬉しかったのかニヤリと、「そういうことになるわね」と返した。

 ハナはその様子を見て、少し話がかたすぎたかなと感じつつ続けた。



「前後しますが、先にモノを生み出す能力をお見せします。

 解放状態は何もしないと1分程度で元に戻ります。

 ですので、もう一度。

 アライズ!

 はい、光りました。

 赤い石は食物に変化しやすいです。

 解放状態で頭に思い浮かべます。

 または思い浮かべた状態で開放します」



 ハナの手の上の光が収束し始めた。

 光が一点に集中した次の瞬間、ポンっと音を立てて、ハナの手の上にマジックのようにパンが現れた。

 あまりの地味さ、少女たちは呆気にとられるが、ハナはコホンと気まずそうな咳払いをひとつして、



「え~、モノの生産にはかなり個人差がありまして、私だとこれが精いっぱい。

 才能や練習量によって、同じ石でもより大量に作れるとか、より品質が良くなるとか差が現れます。

 今、私の作ったパンはボソボソしていて、おいしくもありません。

 先ほど皆さんが食べたパン。

 あれはこちらのレネさんが石から作ったものです」



 少女たちから様々な声が上がる。

 驚きや、石からできたものを食べてしまった悲鳴である。

 カガミは私たちも手伝ったんだけどなと、チヅルにふり、チヅルはまぁまぁとなだめた。



「まぁ、この通り。

 石でいろんなことができます。

 壁を作ったり、家を建てたり。

 この村は皆さん、そして、私たちの先輩にあたる方が造ったものです。

 そこで、これだけ話をさせてもらって、一回目の解散とします。

 この村には現在、よりよい生活を維持するためのモノづくりの担い手、クリエイターが足りません。

 もしも、皆さんの中でこの能力に優れた方がいたら、この村の掟として、石回収の業務に携わらないで、村に住むことを許します。

 通常はノルマとして、石回収の仕事をしなければなりません。

 各自、いろいろ生産してみて何か作れるようになったら、申し出てください。

 あ、石の回収はノルマ以上のものは自分で使っていただいて大丈夫です。

 ……さて、とりあえず、ここまでの話で続きは聞かなくてよいという方々は解散です。

 次は黒ウサギを倒すときの使用法について話します。

 これまでの話の質問はあちらのカガミとチヅルまでお願いします。

 石の話が全部終わったら、休憩時間のあと、みんなで村の外に石を回収しにいくのでよろしくお願いします」



 そこまで聞くと少女たちの中からは、「あとは聞いておいてー」と去る者や、私たちは今後の作戦練るからと一人だけ残して去る者たちがいた。

 スズハグループは5人とも残り、エリナグループも5人とも残った。

 会場から去る人の姿を見届けて、ハナは残りの少女たちに話の続きを始めた。



「……では、次の話。

 石で黒ウサギを倒すときの使い方です。

 使える意思は先ほどと同じで白と黒以外。

 赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫。

 オレンジは解放状態がなく、どうやら皆さんもご存じだと思いますが。

 石を二つ持って、1メートルくらいの距離で両手に持つなり、地面に設置したときに壁を形成します。

 この壁は黒ウサギを完全に防ぎ、物質もいくらか防ぎます。

 私たち人間は自由に通れます。

 例えば、丸太なんかが通過しようとすると、抵抗力が加わるようなカタチで、通過は出来ますが、より力が要ります。

 そして、このオレンジの効能は設置してからおよそ一週間。

 効能が切れると、石は砂のようになって崩壊します。」



 ナナルはふと村を囲っているオレンジの壁を見上げ、考えた。

 外周は5キロもないだろうか

 維持するためには途方もない量のオレンジの石が必要になる。


「では、次は赤。

 これは爆破の力です。

 黒ウサギ、物に影響します。

 人には影響ないので安心してください。

 通常の状態だと黒ウサギ1体を無力化するのに複数の石が必要ですが、これはうまく使えば一撃で倒すことが可能です。

 才能がない人でも黒ウサギの体半分くらいは奪えるはずです」



 エリナはカガミをちらと見た。

 助けてくれた時、それこそ爆撃のような爆発の正体は赤の石だったのだろう。

 話から察するによほどの石を一気に使ったか、いや、アレが才能なのだろうか。



「では、次に黄色。

 黄色は使うと、体の任意の場所に光を纏います。

 通常、黒ウサギに触れることは出来ませんが、この光を纏うと直接攻撃することができます。

 できますがお勧めはしません。

 どちらかというと一時的な防御のほうが有用だと、私は思います。

 また、石を多く使って黄色の光を全身に纏うと身体能力が向上します。

 更に、これはそちらにいるカガミの才能の部分が大きいところがありますが、浮遊も可能になる人がいるみたいです。

 これは他にできた人を見たことがないので確定したことではありません。

 この石の効能は小さい石1個あたり、10秒ほどです」



 エリナは考える。

 体の部分をおおまかに13部位に区切り、だいたい13個で全身。

 1分間纏うために78個。

 ……それでは使いものにならない。



「次に、緑。

 これは治癒をすることが可能です。

 日常生活の傷は跡も残さず治すことが可能です。

 あと、黒ウサギに飲み込まれることなく、すんでのところで体の部位がかすめてしまったとしましょう。

 すると、その体の部位は黒いシミができます。

 そのシミは次第に広まり、体の部位の7割を覆うとその者は黒ウサギになってしまうらしいのです。

 というのは、私たちは今までその例を見たことがなく、先に来た方々から聞かされただけなので……それで、その黒いシミの浄化にも使用できるとのことです」



 ナナルはふむと思った。

 確かにあの高速度で動く黒ウサギにかすめるだけで済む状況というのはかなり限られる。

 やもすると、今聞いている石の能力もそれが全部ではないかもしれない。



「次に青。

 青は黒ウサギを固めてしまいます。

 小さい石1個で通常の黒ウサギ1体を12時間固めることが可能です。

 その間に日光に浴びせれば、黒ウサギは崩壊して石を回収することできます」



 スズハは便利だねぇと呟いた。

 ララミィはいつの間にか目を覚まし、一緒に話を聞いていた。



「最後に、紫。

 紫は他の石の能力を増幅します。

 才能がなくても、およそ2割増しくらい。

 カガミは5倍くらいにしてそうね」



「あ?

 本気だせば10倍くらいできるわよ」



「……だ、そうです。

 ふふ。

 これで、おおまかな説明は終わりです。

 1時間の休憩のうち、石の回収をみんなで行いたいと思います。

 個別に質問ある方はいつでもいらしてください」



 緊張の糸が一気に解かれ、スズハはふうと息をこぼした。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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