表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
43/45

9-7:崩壊Ⅱ

   9-7:崩壊Ⅱ




 ビキキキと、村に建てられた高床式住居の屋根の砕ける音がバリアにまで届いた。

 ちょうど、それと同時であった。

 そのようにナナルは認識している。

 苛烈な光の弾けた瞬間である。

 その全ては瞬きほどの刹那の出来事だった。

 なのに、その全てをナナルは目に焼き付けていた。

 

 まず、スズハの持つ石が太陽にも似た眩しい発光を起こした。

 続いて、その光をもとに虹色の帯のような光がスズハを包んだ。

 やがて、その光が形状を成しはじめ、光がはじけ飛んだあとにスズハはドレスのような衣装に身を包んでいた。


 スズハはそれに何の動揺もないようだ。

 というより、その事象にも気づいてない風だった。


 スズハがかがむ。

 次の瞬間には、ナナルは遅れて気づいたが、スズハは高く跳躍していた。

 スズハの体が黒ウサギと衝突し、そのままの勢いでスズハは巨体を穿つ。

 先ほどのカガミの投擲とは比べ物にならないほどの大穴を黒ウサギに空いた。

 星空が見えた。

 超巨大黒ウサギが実際なすすべもなかった。

 スズハの空けた穴の側面に(黒ウサギは形状としてちくわのような筒状になっていた)、コアである赤い光が視認できた。

 ほんの少しの時間でもあれば、カガミが、いや、ナナルでもそのコアへの攻撃を反射的に行ったであろう。

 その時間はなかった。

 視認すらやっとの速度でスズハは全てを行ったからだ。

 スズハのその手にはいつの間にか大きな杖が握られており、杖の先に収束する光、それがコアに向けて光線のように放たれた。

 光線がコアに直撃すると、花火のような激しい火の粉がおこった。

 すぐさま、おそらくコアが破壊されたのだろう、辺りを更に強い光が覆った。




   *




「きひゃ!」



 思わず変な笑い声を漏らしたのはシャムであった。

 何キロも離れたシャムのもとまで、チョベリーバをうち倒した光の輝きは届いた。

 同時に大量の願望の屑が『世界』に流れ込んでいくのを感じる。

 シャムは快楽にもにた衝動で体が震えるのを抑え込もうとひとりごちた。



「これは……これは、ええ。

 私が見た中でも2番目にはスゴイ。

 ああ、すごいいぃ。

 満たされていく。

 これで、当分はこの世界は大丈夫だ。

 ……安心して……アリス……」




   *




 ダダダダダダ、と黒い石が村に降り注ぐ。

 ハナがバリアの外が埋まってしまうことを察知して、カガミが石をふんだんに贅沢に使い、村の防壁までの頑丈な通路を造った。

 それでもチョベリーバの生み出した黒い石から得られる色石を考えればあまりにもお釣りがくる。

 通路を利用して、少女たちは村の外へと退避した。

 チョベリーバを相手にしてそんなに長い時間ではなかったように感じたが、森側の空が白んできていた。

 ナナルが辺りを見渡す。

 スズハを探していた。

 他にもララミィやミラン、サクラコ、スズハのグループは皆でまずスズハの行方を求めた。

 すると、空からヒューンと落ちてくる影があった。

 それがスズハだと気付いたが、ナナルを含め誰も間に合わない。

 と、思われたが。

 影が落ちきる前に、空中でそれの動きを止めた別の影があった。

 エリナであった。

 エリナは5mは跳んでいるだろうか、石をうまく操作しているようで、キャッチしたスズハを抱えたままゆっくりと着地した。

 それにはカガミも口笛を吹いた。

 ただ破壊するのに石を使うのは簡単である。

 自分の肉体操作(重さも含め)を行うには相当のセンスがいる。

 この村で今、同じ動きができるのは他にはカガミとカエデくらいだろう。

 カガミはしかし、と振り返り村のほうを見た。

 村のオレンジの防壁の中に黒い石が大量に積もっていく最中である。

 高さでいえば、村の中の高床式ハウスが埋もれるほどで、このままいけば10mほど行くのではないかと思われた。

 そこまではいかないにしても。

 早急に新たな村を作る必要ができた。

 今このとき新たな黒ウサギに襲われる可能性も0ではない。

 それがないのは、あのチョベリーバがあらかたこの辺りの黒ウサギを吸収していたからなのだろう。

 もう少しで朝が来る。

 ボス級を倒したので休みたいところだが、今夜が来る前に新たな村の外形だけでも作らなければいけない。

 それでも。

 とりあえず、生き延びた。

 いくらか人数は減ってしまったが、それはもうどうしようもない。

 カガミは砂場に腰をおろした。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ