表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
41/45

9-5:崩壊Ⅱ

   9-5:崩壊Ⅱ




 汗をかいていたのはチヅルだった。

 汗といっても冷や汗である。

 少なくともこのバリア内にいる間は安全だ。

 ゆえに、その冷や汗がチョベリーバよるところのものではない。

 真実、それは先ほど亡くなったミナコを考えてのことだった。

 チヅルは悟られないようにカガミを見る。

 カガミの視線は空に向けられていた。

 カガミはすでに思考を切り替えてチョベリーバ対策を考えているようである。

 チヅルは次に、ミユナやレネに視線を送った。

 その2人も何かに気づいたようで、チヅルは2人と視線が合った。

 『村長側』において『ソレ』を知らないのはカガミだけだ。

 逆にカガミにだけは知られてはいけない。

 カガミに知られれば、当然に怒るだろうし、それだけで済まないだろう。

 そういう類の秘密。

 しかし、チヅルは『ソレ』が必要なことだったとも思っているし仕方のないことだったとも思う。

 『ソレ』がなければ、いなくなってたのは今のチヅル達だったのだから。




   *




 ミユナもまたチヅルと同様に思考を『ソレ』に巡らせていた。

 ただ。

 ミユナだけはチヅルやレネとは違う情報を持っていたために、どちらかといえば恐怖心が勝った。

 その恐怖心はハナに向けてのものだ。

 この村の現村長であるハナはとぼけているようで、その実、誰よりも怖い。

 その秘密を、『ミユナの知る真実』をばらせば、この村の崩壊は免れないだろう。

 だから、ミユナは誰よりもハナに従順にふるまった。

 そうしなければ、真っ先に消されるのはミユナ自身だということは明白だから。

 ハナは問答無用にチャンスと必要性があれば人を間引く。

 先ほどのミナコのように。

 『ハナの能力』は特に厄介だ。

 ミユナは生きるために、ハナに絶対服従するよりほかに術はないのだ。

 ポン、と。

 ミユナの肩に手がのせられる。

 ビクンと驚き、ミユナは振り返った。

 そこにはエリナがいた。

 エリナはミユナの反応に逆に驚いたように言った。



「!!

 ごめんなさい!

 なんだか震えてたようだから。

 励まそうと思って……大丈夫?」



「あ、いえ。

 ありがとう。

 エリナさんは怖くないの?」



「あの黒ウサギ?

 怖いわよ」



「そ、そうよね」



「……大丈夫よ、さっきみたいな事故はもう起こらないわ。

 みんなバリアの内よりにいるんだから。

 ほかに何か怖いものある? 

 朝までまだ時間はかかるだろうけどもう少し我慢しましょ」



「……ええ。

 ありがとう、エリナさん少し落ち着いたわ」



 強がりではあるが、ひとまず、ミユナは落ち着きを取り戻した。

 何も知らないがゆえのエリナの優しさに純粋に感謝した。

 エリナはその様子を見てポンポンとミユナの肩をたたき、自分のグループメンバーのあたりに去っていった。

 ミユナはその場に座り込み、空の黒ウサギを見つめた。




   *




 エリナはその能力をより高めていた。

 今では、触れた対象から任意の情報を掘り出すことができるようにまでなっていた。

 ただし、ちょっとしたキーワードで相手から記憶を浮上させる必要はある。

 加えて、失われている記憶までは無理なようだ。

 そういうわけだから。

 ミユナに触れたことでこの村の秘密をゲットするに至った。

 そこから察するに、どうやらミナコはハナの能力によって殺害されたのだ。

 しかし、結局のところ、その情報は現状を打開することに使えるものではない。

 あの超巨大黒ウサギをなんとかしてからのことだ。

 空を自由に飛べて、あの平べったくなっている黒ウサギを紙をハサミで切るみたいにできる能力があれば楽なのだが。

 時間はたぶんあまりない。

 浮いてるように見えて、あの黒ウサギは落ちてきているはずである。

 夜の闇のせいで距離感が掴めないものの、それは確実なはず。

 ある一定のラインを超えれば、次の行動をあの黒ウサギはとるに違いない。

 それが、一旦退いて、また同じように空に上がるものなのか、別の方法を試すものなのか……。

 エリナはそう考えると、自分の能力がひどく役に立たない現状に腹立たしい気持ちも幾分かわいてくる。

 どうして、人の心を読むなんて能力なのか。




   *




 アレをどうにかしなくちゃ。

 朦朧とした思考が漂う。

 どうしていいのかわからない。

 少し疲れていた。

 一度寝たほうが良いかもしれない。

 だけど、本当に寝ることができるほど今は安全なのか。

 アレは何か考えている。

 安全に安心している私たちが一番油断しているのだから。

 それはアレも同じこと。

 アレはいくらかの反撃をもらっても、決して打倒されることはないだろうという余裕がある。

 それだけ圧倒的な戦力の違い。

 どうにかしなくちゃ。

 安らかに眠れるように。

 どうにかしなくちゃ。

 ―――――――――ように。

 スズハは眠たげな眼を空に向けている。

 ギリっとその手の内にある数個の石が音を立てる。

 その石からプリズムのようにさまざまな色の光が漏れ出すのをナナルは見た。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ