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アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
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9-2:崩壊Ⅱ

   9-2:崩壊Ⅱ




 地震が起こった。

 縦揺れで強く、その場から動こうにも体の自由が一時効かなくなるような地震だ。

 2度目の経験ではあるが、やはり少女たちはソレに対応できず、しりもちをつく者もいた。

 時間にして10秒もない出来事だったが、強い衝撃というのは思考力を奪うのには有効だ。

 揺れが収まって、すぐに動けたのはスズハ、ナナル、カガミ、ララミィだった。

 カガミは近場にいた、ミユナ、ハナを両腕で抱え、バリアーの中に跳んで運んだ。

 ナナルは周りを見渡し、バリアーへの避難を叫びながら、動けなくなっている少女たちの背中に手をあてて、意識を現実に戻していった。

 その中でスズハはまず、ララミィに同グループのミラン、サクラコと非難するように指示した。

 ララミィは「わかった!」と行動に移した。

 スズハは次に、バリアーに運び入れた石の中から赤と紫を黄色の石をそれぞれ両手にいくつかとった。 



「アライズ!」



 スズハが言うと、赤の石が輝き、そこに更に紫の石が発動し、その赤はより強く輝きを放った。

 石は同時に発動すると、思考に従って順に効力を発揮するらしい。

 スズハはソレを出来るとわかってやったわけではなく、極めて感性的に行った。

 黄色の石が発動し、かなり薄めではあるが黄色い光がスズハを覆った。

 まるで、体が使い方を知っているようだ。

 避難しながら、横目でスズハを見ていたエリナはそう思った。

 スズハは思いっきり、天空に向かってその手に握られている赤い光を打ち上げた。

 その光は花火のように高く昇り、ちょうど村を囲うオレンジの壁より少し高めのところまで行くと、勢いが失われ、滞空しているような様子で瞬いた。

 スズハは同様にして数個、石を投合した。

 すると、スズハのほかにも空に上がる石が輝いた。

 スズハが周り見ると、カガミ、マユル、カエデが同様に空へ石を投げていた。

 これで空に弾幕を築けた。

 スズハは周囲を見渡した。

 村の少女たちはほぼバリアー内に収まっていた。

 最後にルキとタツコが入って全員……カナタはカガミの話によると自分の意志で村をすでに出たようで、それを追うのは今の状況でスズハの可能な範囲を超えていた。



   *



 エリナは少し困っていた。

 バリアーの中、とりあえずの安全地帯に入って安堵していた。

 しかし、その困惑の原因は今対応するべき黒ウサギではなく、バリアー内の少女にあった。

 最後にバリアーに入ってきたルキとタツコ。

 その二人を迎え入れるときに、エリナは無意識に能力を使ってしまいその心を読んでしまった。

 エリナの能力は、記憶や深層心理までは読めず、その表面の上澄み程度しか読めない。

 だが、それでも十分なほどにタツコの心の中には復讐の文言がびっしりと書き込まれていた。

 『読む』というよりは、『理解』に近い。

 一瞬でそのタツコの内面を解したエリナは思わず立ち眩み、よろめいた。

 そして、同時にルキがそのタツコをどうにか良い方向に助けてあげたいことも知った。

 エリナは、こういうシガラミが大嫌いであった。

 嫌悪というよりは、面倒くさい。

 面倒くさいというのは、大嫌いであると同時にエリナはこういうのを解消したい性分であるからだ。

 少なくとも。

 タツコが何かしでかさないように注視する必要がエリナにはできたのだ。



   *


 

 カナタは村から西側にだいぶ離れたところまで来た。

 もう遠くに指先ほどの塔のような形がうす光って見えているだけだ。

 それが見えるのも、今しがた花火のような光の粒がその村の天辺あたりに打ちあがり、瞬いて照らしているからだ。

 バギーの電池は切れて、もう動かなくなっていた。

 とりあえず、カナタはバギーを覆う形でオレンジの壁を球場に形成させていた。

 朝を待って、そこから更に西に進むつもりでいる。

 【ハートの城】を目指すのが良いのだろうが、この黒ウサギのいる森を一人で突っ切っていくほど無謀ではない。

 東はカザキがやられたこともあり、心理的に避けてしまった。

 消去法、西に海岸沿いに進むしかないのである。

 村を出るときにバギーに積んだ石袋から、適当に石を数個とる。

 才能がなくても、石の数を増やすだけでもいくらか生成物のクオリティがあがることが分かった。

 よほどに才能がない限りは食うには困らないだろう。

 袋の中の石が無くなったら、その辺にたくさん転がっているのだし。

 先ほど、生成したカップに二度目のコーヒーを生成した。

 石から生成された飲食物を口にするのは未だに抵抗感があるが、味は悪くない。

 カナタは遠く、村を見る。

 先ほど大きな地震が来た。

 もうじきだろう。

 そう思っているうち、カナタは目を細めた。

 夜の暗闇の中。

 より暗い闇の塊が村の空へと、バケツの水をひっくり返したようにブワっと広がっていく。

 カナタは他人事のように、(まぁ、頑張れ)と思ってその様子を眺めていた。

 

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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