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アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
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6-3:夜に蠢く

   6-3:夜に蠢く




 村の中央、広場。

 真ん中には白い石が積まれた台車による明かりがあり、そのすぐ傍に少女たちは集まっていた。

 木の机、その上に白い紙を生成し、そこにカガミが村、そして、先遣して見つけた超巨大黒ウサギを描き込んでいた。

 村にはオレンジの壁の塔を描き、その黒ウサギがそれよりも大きいことを視覚的に示した。

 ハナはそれを見て、



「本当にこんな巨大なのがいるの?!

 だって、朝が来たら死んじゃうじゃない?」



 カガミは答える。



「いたもんはいたんだから仕方ない。

 なぁ、カエデ。

 ……ほら。

 でも、ハナの言うのはもっともだ。

 私もそう思う。

 でも、いるからには何かしら理由というかあるはずだ。

 あと、例の。

 目的の黒ウサギは見つけられなかった。

 この巨大なのに取り込まれたのか。

 それとも、まだ何処かに潜んでいるのか。

 ともかくだ。

 この大きいのが一気に攻めてきたら、私たちは一網打尽だ。

 その気であれば私たちはとっくにやられているだろうから、刺激しない分には大丈夫なのかもしれない。

 それでも、準備はしておいたほうがいい」



「そうね。

 朝になって、おとなしく消滅してくれるといいけど。

 それに期待するのはよしましょう」



「つっても、現状で何かできるかというと手はないんだよな。

 あの巨大さ。

 核のウサギまで攻撃が通らない。

 通らないし、その攻撃でこっちにヘイトが向いたら即終わりだ。

 こっちに気づかれたときのことを考えて今のうちに避難する方法を考えるのが関の山だな」



 他の少女たちはその話を聞きながらヒソヒソと何かしら話していた。


 ナナルはスズハに、



「ねぇ、スズはどう思う?」



「え?

 どうって……うーん。

 今、すぐに攻撃してこないなら刺激しない限り大丈夫なんじゃないかな?」

 

 

「そっか。

 スズハがそう感じるならそうなのかも」



「え!

 いやいやいや!

 私の感性をそんなに信用されても!」



「ふふ。

 いや、捨てたもんじゃないと思うよ」



 ナナルはそう言って、ふむと考えこんだ。

 実際、スズハの感性を信頼しきっていた。

 そのうえで、その巨大な黒ウサギを考えた。

 何があればそのような黒ウサギが生まれえるのか。


 1案。

 ターゲットが私たちではなく他にある。

 アレはこの夜に誕生したというのが一番わかりやすい。

 例えば、私たち以外の少女がその付近に存在した。

 それをターゲットとして必要となり巨大化した。。

 であるなら、目的を達した後に標的をこの村にする可能性もある。

 いや、この村のオレンジの壁だってだいぶ目立つものだから目的を達さなくとも……。

 待って。

 そんなに巨大になる必要性とは……。

 違う。

 少なくともアレらは必要でなければそういう変化は起こさない。

 高い壁を越えるために合体し高くなる。

 森の中から少女を捕獲するために身を犠牲にしてまで爬虫類の舌のような能力を得た。

 なら、やはり、ここが初めから目的なのでは。

 スズハの危機察知能力が対象が遠すぎて働いていないのか。


 2案。

 そもそも、一定期間でそういう風に合体するものである可能性。

 この場所は未だわからないことが多い。

 黒ウサギと呼ばれるそれも同じだ。

 もとより、月に一度くらいにそのように巨大化し、太陽で滅される……。

 生命体としてはおかしいが、そういう可能性はあるか。


 3案。

 やはり、その巨大化の理由が私たち村にある。

 それが現状では一番わかりやすい。

 他の知らない可能性は想定が広すぎる。

 だが、なら何故すぐに私たちを攻撃しないのか。

 出来ない?

 または、している最中?

 

 それらを考えたうえで、しかし、できることは朝が来てソレが消滅するのを祈ることだけなのではないか。

 そも、ソレに対抗できる戦力がない。

 

 エリナが発言した。



「とりあえず、天井を塞ぐのはどうかしら」



 カガミが返す。



「天井を?

 どうやる?」



「このオレンジの壁の上に物理的なもので蓋を作るイメージかしらね。

 いや、一番上でなくてもいいわ。

 オレンジの壁は物質は通すけど、黒ウサギだけ通さないわけじゃない?

 だから、こう……」



 言いながら、エリナは村の絵に蓋を描き足した。



「柱と天井をとりあえず作る。

 質量がどう左右するかそこはわからないけれども。

 少なくともアイツラ、オレンジの壁には物理的作用を働かせられない。

 だから、この蓋の上にオレンジの石で密に格子状にして更にオレンジの蓋をつくるの。

 このオレンジの蓋でできる壁は高い壁にする必要はないわ。

 ただ、どうしても隙間ができるだろうからそこが難点かしら。

 どう?」



「ふむ。

 まぁ。

 実際、現状できる悪あがきはそれくらいなものかもしれないな。

 きちんと蓋の役目をするかはわからないが、ないよりはな。

 あと、一応、非難の準備もしておこう。

 一時的な避難だから、バギーがもう数台欲しいところだが」



 カガミはマユルを見る。

 マユルは、



「オーケー!

 多分、4台が1日の限界だけど。

 それだけあれば足りるよね!」



「ああ、十分だ。

 あと、村を出た後、他の黒ウサギに襲われないよう石も持ってな。

 そんなところでどうだ、皆?

 何かアイデアがあれば言ってくれ」



 エリナは「アイデアを言ってくれ」はいい言い方だと感心した。

 マイナス要素は前提としても、そんなに議論している時間はない。

 エリナはマユル一人ににあまり無理させるのは反対だが、現状、他に人を移動させる手立てがない。

 だから、反対するにしても他のアイデアが出ない者の口を封じる言い回しとして良い。

 それに、今回は緊急事態もあって、能力強化として紫の石を倉庫からもらえるだろうから、マユルの負担も少なくなるはずだ。

 

 ミナコは思った。

 性格上のため、緊急のためだろう。

 カガミのリーダーシップが際立っている。

 ハナが適格でないとは言わないが、この村は明らかにカガミの村だ。

 彼女がいなくなれば……。

 ミナコはそんな思考を泳がせながら、



「じゃあ、私がその天井を作る役目を担いましょう」



 と、笑顔で言った。

 ハナがそれらをまとめるように、



「では、ミナコさんにまず天井つくりをお願いします。

 その構造をナナルさん、エリナさんとまず計画してください。

 それには私も加わります。

 マユルさんはバギーをお願いします。

 他の方も避難の準備をフォローしてください。

 レネ、チヅル、ミユナもそちらで協力してください。

 石が必要になったら惜しまないで、倉庫から使ってください。

 天井構築後、天井にオレンジの石を設置します。

 そのため、その時にまた作業するメンバーを編成します!

 カガミとカエデさんにはもう一度、偵察をお願いします。

 くれぐれも無茶をしないように」



 カガミが答えた。



「了解した。

 カエデ、もう一回いけるか?」



 カエデはへへと笑い、



「もちです!

 何回だって!」



 そう答えた。

 そうして、各自作業を開始したのであった。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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