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アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
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5-4:夜の手前

   5-4:夜の手前




 なんとなく緊張した空気が夕食の場に流れていた。

 まだ、夕日が空を赤くしている。

 だが、広場の真ん中には白い石が山となった台車が複数おかれ、十分な明かりをとっていた。

 ごまかすように、話し、笑い声をあげる少女もいるが、すぐに沈黙が訪れる。

 そんな中、ずっと話続けているのは、村長側のハナとカガミであった。

 討伐隊として参加する者を紙に書き出し、作戦を話し合っていた。

 

 討伐参加者。


 〇スズハグループ。

  スズハ、ナナル、サクラコ、ミラン、ララミィ。


 〇エリナグループ。

  エリナ、マユル。


 〇ミナコグループ。

  ミナコ、アンリ、ミハル、タツコ、ルキ。


 〇マツリグループ。

  カナタ。


 〇カエデグループ。 

  カエデ、エミリー。


 カガミがコッペパンを片手に、



「まず、相手がどのくらいいるかを調べないといけないな。

 私と、……そうだな。

 カエデを連れていく。

 この後、準備して、まずはそれを調べてくる」



 ハナが応えて、



「……わかった。

 任せるわ。

 気をつけて、決して無理はしないでね。

 カガミなら見極め大丈夫だろうけど」



「ああ、それで相手が1体ならなるべく早めに倒したほうがいいな。

 増える前にな。

 2体以上いた場合が厄介だな。

 その場合の戦略をできる限り考えておいてくれ。

 罠の設置とか。

 ああ、オレンジの石も今回はちょっと持ってくな」



「ええ、了解しました」



 そんな会話を、パンを食べながら聞いていたナナル。

 その頭ではなんとなしに作戦を考えていた。

 聞いた限りにおいては。

 その特別な黒ウサギの能力は合体した質量を活かしての、自分の身を犠牲にしての森からの強襲。

 その際、ゴムが反動で行って返ってくるような高速の動作で仕掛けてくる。

 それが、夜ならどうなるかのデータはない。

 それでも。

 以前見た、合体黒ウサギの性能を見る限り、一足飛びな能力の応用はないだろうと推察された。

 ならば。

 相手が1体の場合。

 まずは相手をこちら側に寄せる必要がある。

 腕だけ切り落として破壊しても本体は生き残り、また進化して現れる可能性が高い。

 石で体を強化するか、オレンジの塔を作って、伸びてきた腕を固定し、その反動で本体がこちら側に寄ってくるはずなのでそれを破壊または固定して倒す。

 または、腕が伸びてきた瞬間にその腕の伸びていた先を森ごと破壊する。

 これは、そう難しくないと思われる。

 幸い、石の蓄えがある。

 大変なのは……。

 既に、その特別な黒ウサギが複数体になっている場合だ。

 だが以前の黒ウサギ戦から察すると、多くても5体あたりではないかとは思うが、それは確定できない。

 それでも、性質的に黒ウサギが少女を何故か狙ってくることを利用するほかないだろう。

 オレンジの石でまた小さい規模の塔を作り、囮とする。

 一番楽観するとすれば、そのオレンジの塔をつかんだ結果、反動で寄ってきたものを倒す。

 1体ならば、それでよい。

 ただ、2体目はそれを学ぶ可能性が出てくる。

 全員同じ動きをしてそれを一網打尽というのは楽観が過ぎるだろう。

 逆に、そこさえクリアすれば今回は解決できるはずではある。

 他の因子が無ければ。

 ナナルはミナコグループのほうを見た。

 明らかに様子がおかしい。

 一見、仲が良さそうな会話をしているが、そのぎこちなさはこの場の沈黙によっぽど際立って見えた。

 午後に少女たちが集められたときにはそんな様子はなかったはずなので、討伐メンバーを選出するときか。

 これだけの少女がいて、皆仲良くできるほうがおかしいだろうけど。

 ナナルはそう思った。

 思ったが、それがどういった自己の知識からきているのかはわからなかった。

 

 少女たちは夕食を終えた。

 まずは、様子見としてカガミとカエデが外の様子を見てくることとなった。

 討伐チームは二人が帰ってくるまで、待機とした。

 それ以外のものは家で待機することとなった。



   *



 村の入り口付近、

 カガミとカエデは石を色ごとに小さな袋に小分けにして装備していた。

 カガミが、



「カエデ。

 私に何かあったらすぐに村に戻れよ。

 私もそうするから」



 カエデは嬉しそうに笑い、



「了解っす。

 カガミさんなら、返り討ちにしちゃいそうですけどね」



「……そんな甘くはねーよ、この世界はさ」



 何か思うところがあったのかカガミは何処か遠くを見るようにそう言い、



「……そうだな。

 カエデ、お前には教えとく。

 石のまた別の使い方。

 これは私が先輩から教わったことなんだが、基本的にはあまり人には言うな。

 危険性もあるからだ。

 それはいろんな意味でな。

 うまく出来ないと自らの体も文字通り壊すし、また、この村の社会なんてすぐに壊れるだろう。

 それでも、私以外の誰かには教えとかなきゃな」



「……やめてくださいよ。

 死ぬ前の人みたいなこというの」



 カエデは少し怒ったような口調でそういうと、繋げて、



「でも、得しそうなことは手を出しとく質でね。

 石の別の使い方、教えてください。

 カガミさん」



 そう言った。

 カガミはその発言が愉快だったのか、心を許したものにしか見せないだろう笑顔を見せた。


アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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