4-4:投合の友
4-4:投合の友
西側、石回収班。
スズハグループはしっかり者のナナルが会議で不在であった。
それでも、ララミィ以外は真面目なメンバーなので作業はスムーズに進んだ。
ララミィも遊び感覚で石集めを楽しんでいるので問題はなかった。
カエデグループも順調な石回収を行っていた。
カエデとエミリーは競って回収に努めたし、スミレは退屈そうにではあるが真面目気質なカナメと黙々と回収作業を行っていた。
前回と違い、会議のためにカガミとミユナが先導していないのであるが、作業は問題なく行われていた。
しかし、それでも時間の経過とともに変化は起こり始める。
先に言葉を紡いだのはスミレであった。
「ねぇ、もっと楽に石集められるようにできないかな?」
答えたのは、近くにいたカナメだった。
「え? できるかな? 何か思いついたの?」
「ああ、うん。
これって、あの黒ウサギが日光で変わったものなんでしょ?
ならさ、罠をはって、例えば大きな穴ね。
一か所に集めておけば回収も楽になるんじゃない?」
「うーん、でも、アイツラ合体して大きくなったりするしなぁ。
知恵がないわけじゃないと思うんだよ。
下手なことするのは危ないんじゃないかなぁ」
「ちぇー。
でも、もっと楽したいよぉ」
「そうだねぇ」
ほのぼのとした会話であった。
誰しもこの地味な作業に飽き始めていたのである。
だから、なんとなく聞き耳を立てていたスズハが話に混じった。
「あの、だったら、なんだけどさ」
スミレとカナメはスズハの話を聞く姿勢をとった。
すると、他の少女たちもなんとなしにスズハの話を聞いた。
「あの森の中に今でも黒ウサギがいるんでしょ?
そして、日光が出ている間はほとんど無力なら。
燃やしてしまうのはちょっとダメだとしても……。
例えば、日光側から赤の石で爆撃しかけてみるとか、紫の石で強化して」
「それはちょっと……」
カナメが意見を言おうとした矢先、遮るようにカエデが言った。
「へぇ、面白そうじゃん。
この際、燃やすのもアリな気はするけどね。
どうせ、あの城とかいうやつを目指すならな。
まぁ、それをやっていないセンパイたちでもないだろう。
だが、私はやってみたい!」
更に話に乗ったのはエミリーだった。
「イシハジュウブントレテマスシ!
ダメトモイワレマセンデシタシ!
タノシソウデス!!」
空気は完全に森への侵略に移り変わった。
カナメがあわあわと不安を隠せずにいるが、理屈では日光側にいる限りは安全は担保されているので皆が乗り気だった。
カエデが赤の石と紫の石を右手に持つ。
森までは20mほどの距離まで近寄った。
森に何かがいる気配は感じないものの、暗く、薄気味悪い雰囲気だけは皆が感じていた。
カエデが石を振りかぶり、
「アライズ!」
その声とともに、石は昼間でもわかるほど激しく赤く光り輝いた。
「……っせーのっ!!!!!!!」
カエデの様になった投球フォーム。
森めがけて一直線に赤い弾道が描かれた。
紫の石で強化されていることもあってか、その速度は人間がおよそ再現はできないだろうライフルの弾のような弾速であった。
光が森の中に侵入する。
数秒はなかっただろう。
最初に炸裂した赤い発光、次にけたたましい爆音とともに立っているのが難しいほどの爆風が吹いた。
カエデ含め、ほかの少女たちも思った以上の石の効果に、やりすぎだという感想を隠せなかった。
目の前にあった森に、10mほどの大きな円形の空間が出来上がっていた。
クレーターのような穴ができている。
煙がたち、木々は蒸発したかのようにその根っこの残骸などに面影を残す程度である。
そして、その中に一瞬ではあったが、光が差し込んだことでその躰の崩れていく数体の黒ウサギの姿をその場にいた少女たちは見た。
続いて投げ出すもののいないほどの威力であった。
言葉を失った少女の中、最初に声を上げたのはララミィだった。
「うおおお! すごーい!!」
その声に我に返ったスズハが続いた。
「これは……カガミさんに相談したほうがいいかもね」
「アイヤ、マッテクダサイ!」
エミリーがスズハに手の平を向け、言った。
「ドウセ、オコラレルナラ!!
ワタシモヤリタイデス!!」
「ええ!?」
スズハの動揺をよそに、エミリーはすでに手に石を握っていた。
これまたカタチのよい投球フォームを見せるエミリー。
ッシュっと光は再び放たれた。
ッチュドーン!!!!!
二度目となると滑稽な、ギャグのような爆発が起こった。
爆発の規模でいえばカエデよりはかなり劣るものであった。
それでも5mほどのクレーターが出来上がった。
エミリーはその爆発規模に不満そうな顔を一瞬したものの、ストレスの解消としては満足したのか笑顔でつないだ。
すると、次にスミレが投げた。
そうして、なんとなしに皆が次々投げ始めた。
カエデに適性があったのか、ほかの少女の爆発は大きくて2m程度の威力しか現れなかった。
まるで、ゲームかなにかで森というオブジェクトを消去したかのように、少女たちの目の前に広い荒地が生成されていた。
(ただし、森もまた広大で、荒れ地の向こうには更に森が続いている。)
投合した少女たちは皆、満足そうな顔をしていた。
スズハやカナメも最終的には半ばヤケになり投げていた。
投げ終わった後、少女たちはみんなでわけもわからず笑いあっていた。
広い荒れ地の中にはたくさんの光る石と、黒い石が大量に散らばっていた。
アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。
誤字、脱字は随時修正していくぜ。
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