表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
18/45

4-3:カーストポイント

   4-3:カーストポイント




 村の生活を向上すべく会議が行われていたその頃。

 村の東側に石の回収に行った、エリナ・ミナコ・マツリグループはというと。 



「……あの子たち……」



 エリナは苛立ちを含む声をもらした。

 その目は、ミナコグループの少女たちに向けられていた。

 ミナコグループはリーダーのミナコとアンリが村で会議に参加しているため、ミハルとタツコとルキが回収に来ていた。

 その3人は客観的に見て、おかしな様子であった。

 ルキのみが石回収の作業を行い、ミハルとタツコはおしゃべりに興じていた。

 そして、それは今この瞬間だけでなく、作業が始まってからずっとである。

 少女がこれだけいれば、そういうこともあるだろう。

 エリナは考えた。

 だが、何故か、どうしても抑えられない憤りがエリナの中にあった。

 記憶のないせいで、いや、記憶がないのに、何故そんなことに怒りを感じるのか。

 エリナは自分を省みる。

 先の黒ウサギからの逃走時、確かにエリナは誰を犠牲にしても自分の生きる方法を優先していた。

 それがエリナ自身のアイデンティティとも確信していた。

 だのに、今。

 ルキという少女が不遇の扱いを受けていることに精神が憤慨している。

 もしかしたら、そんなことはどうでもよく、サボっているミハルとタツコに怒っているのでは。

 ならば、エリナはその二人を戦力として見限るだけである。

 しかし、この怒りは虐げるという行いへのもの。

 記憶。

 記憶がないから、その怒りの理由がわからず、苛立ちは募った。

 かつて、エリナは自分に何があったのか。

 答えは見つからないまま、エリナはルキに向かって歩き出した。

 


「ルキさん」



 エリナがルキに話しかけるのを見て、ミハルとタツコは狼狽えた様子を見せた。

 ふんっとエリナは微かに笑い、



「これ、私がとった分あげるから、少しお話いいかしら。

 相談したいことがあるのよ」



 ルキは不思議そうな顔をしたが、断る理由もないので承諾した。

 エリナはルキの隣に腰をおろした。



「ルキさん、電気が作れるし、すごい能力じゃない?」



 エリナの虚飾のない言葉に、ルキは素直に恥ずかしがった。



「いえ、そんなことはないです。

 電気だけあっても、できることなんてないですから」



「謙遜するのね。

 もう少し……いえ、それよりも。

 今後、その電気の能力を頼りさせてほしいのよ。

 今もあの車のバッテリーに充電してもらっているけど」



「あ、いえ、そんなことは全然。

 ……私の能力の使い道があるなら、喜んで」



「そう。

 まぁ、ルキさんはもっと自信もっていいわよ。

 私なんて、能力の特性ないんだからさ」



 エリナは笑ってそういうと、じゃあよろしくねと言って作業に戻っていった。

 ルキはほっと胸をなでおろした。

 正直、ミナコグループ内でのルキの立ち位置は最低であった。

 いつのまにかグループの雑用はルキが行うことになっていた。

 それは前日、石の搬入からのことであった。

 ミナコが主導的に仕事をふり、アンリもそれに続いた。

 それに伴い、ミハルもタツコも今日は作業をサボりはじめた。

 ルキの精神は、このわけのわからない環境下も手伝い、まいりはじめたところであった。

 そこに、グループのリーダー格でもあるエリナから助力を要請があった。

 ルキはおおいに精神的に救われたのであった。

 さてと、とルキは作業に戻った。


 ミハルは面白くなさそうな顔でそれをみていた。

 タツコが、



「これ、ミナコさんとアンリさんに言っといたほうがいいよね」



 と、ささやくようにミハルに言った。

 ミハルもそうだねと同意した。

 しかし、二人の表情は真逆のものだった。

 ミハルは、ルキがエリナと協力することによって自分の地位が堕ちるんじゃないかという恐怖。

 タツコは、まるで面白いものを見るように微笑していた。

 タツコは、その微笑を手で隠していた。

 そうして次第に二人は作業をし始めた。


 さらに、その様子を第三者から眺める少女もいた。

 マツリである。

 マツリははじめに持っていた、村を出ようという意思をすっかり失っていた。

 石の能力、このおかしな場所。

 一人でどうにかしていくにはあまりにも異常すぎた。

 今は、村で協力しながらこの場所からの脱出を目指していた。

 そのうえで、マツリはより人間観察を強めていた。

 より効率的に脱出を行うために。


 エリナが作業に戻ると、マユルが待っていた。

 マユルは呑気な顔で、



「エリリ、どうしたん?

 あの子がどうかしたん?」



「ああ、ちょっと交渉よ。

 これから、電気がいっぱい必要になると思うから、お近づきの挨拶ってところかな。

 機会があれば、うちのグループに引き入れるわ」



「おお、いいね!

 うちの能力もあの子いないと、ただのゴミ作る能力だしね!」



「ふふ、ゴミって……。

 マユル、あなたも頼りにしてるわ。

 これからもよろしくね」



 エリナのその言葉に、マユルは満面の笑顔を浮かべた。


アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ