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アリス・アライズ ~ALICE・ARISE~  作者: アイザック・ゴーマ
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4-1:セカンド・モーニング

   4-1:セカンド・モーニング




 トイレは必要ないが、眠りは必要なのだ。

 逆に、食を摂らなくても眠れば回復するらしい。

 よくよく不思議な場所だ。

 夜闇の中、家の固い布団で横になりながら、ナナルは考えていた。

 恐らく。

 明日からは色々と状況が動く、村の。

 石に経済的価値が生まれた。

 まず、食料や食器、生活に使う道具などの必需品。

 次に娯楽や美容が高騰してくる。

 更に、それを支配的に運用する者がいれば……いそうである。

 もしやすると、今夜にも保管庫に盗みに入るものもいるだろうか。

 それはいい。

 まずいのは村の経済にみんなの意識が集中して、ここから出ることに意識が向かわなくなることだ。

 そこを、『操作』する必要があるかもしれない。

 ……ナナルはそう考えながら、意識を落としていった。




   *




 涼やかな空気が、ここの朝を知らせる。

 ここに季節があるのかもわからないが、思えば日中は過ごしやすく、朝だけ少し気温が下がる感じだ。

 できれば、もう少しフカフカのベッドで温かくして朝を迎えたいところだな。

 スズハはボヤーっとそんなことを思いつつ、身を起こした。

 隣ではナナルも身を起こしてはいるが、目は閉じていて、覚醒途中のようだ。

 他3人、サクラコ、ミラン、ララミィはまだ横になっている。

 ここに来て、2回目の夜を終えた。

 スズハは自らの服装を見る。

 スズハも他の少女らもずっと着替えていない。

 体臭が何故かひどくならないこの場所ではあるが、しわが残っていく制服の姿は精神にくるものがある。

 少女によっては、寝る間は下着姿になっているものもいるだろうか。

 下着姿で寝るには、さすがに寒すぎる。

 この状況が続くのは怖い。

 せめて、お風呂は欲しい。

 あと、着替え。

 贅沢なのはわかるけれども。

 スズハは小さくため息をついた。

 そして、心の奥底から、



「せめて、私も石で魔法が使えたらなぁ」



 そう呟き、二度目のため息をついた。

 言っても仕方ないなと、スズハは立ち上がり、家を出た。

 扉を開けると、広場を中心に円状に点在する家が見える。

 広場に何人か少女の姿が見えた。

 あれは、ハナさん、レネさん、ミナコさん。

 スズハは家の梯子を下り、広場に向かった。



「おはようございます、スズハさん」



 先に挨拶をしたのはミナコであった。

 おはようございますとスズハは3人に挨拶した。

 ハナもレネもそれに返す。

 ミナコの前には木の板を合わせて作った急ごしらえのような机がある。

 その上に紙があり、何か書いてある。

 スズハは聞いた。



「何してるんですか?」



 答えたのはミナコだ。



「今ね、これからの作戦会議をしていたの。

 少なくとも助けの来ないうちは、私たちは【ハートの城】を目指すことと、村の生活を充実させることが目標になるでしょ?

 だから、今日からは石の回収班、村の生活向上班、城へのルート確保班に分けたほうがいいんじゃないかって。

 その話の途中だったの。

 で、どうかしら、ハナさん」



「そうですね、ミナコさんの話は昨夜、村長側でも話し合っていました。

 ただ、班分けについてはまだ考える余地はあるということで、今日は昨日のように石回収を行う予定です。

 能力も個々によって乱用できないというか、キャパシティがあったりするので」



 ハナの返答に、ミナコは、



「……そうですね。

 事を急ぎすぎたかもしれません。

 それを理解した上で、無理をお願いをしたいのですが……。

 私と何人かに、石回収を一旦免除していただいて、この村にバスルーム、いえ、せめてシャワールームを作らせていただけませんか?」



 その提案に、レネもスズハも、そして、ハナも目を輝かせた。

 ハナはコホンとあくまで冷静な素振りで、

 


「ミナコさん、それはできそうですか?

 確か、ミナコさんは建築系が得意のようですが」



「自身があるわけではありません。

 私自身、得意な能力はそれですが、試したわけでもないので。

 でも、できるような気はします。

 それに、精神的に必要なものには違いないでしょう」



 スズハもレネも頷く。

 ハナも少し考慮した様子で、



「……ええ。

 その通りですね。

 わかりました、村長権限で許可します。

 その件は朝の集会で私からお話ししましょう。

 その場で、メンバーを選出するとします」



 ミナコは当然通る案だと思っていたのか平然とした様子で、ハナにありがとうございますと告げた。

 ミナコの内にある程度計画は進めてあった。

 ただし、一番の問題は水だった。

 幸い、ここの海は何故か真水なのでそれは良い。

 問題は水の給水。

 毎回、水を汲んでくるのであれば、問題はないが労力がかかりすぎる。

 すると、ポンプ式なりで村から海へパイプを通したいところである。

 だが、黒ウサギの存在が危険すぎる。

 仮に、奴らは大きくなることができたように、小さくなることも出来たら。

 パイプを通じて村の中まで入ってきたら。

 そこまでで、ミナコは思考を辞めた。

 そこの問題解決は作業メンバーに考えてもらえばよい。

 ミナコハ、ナナルなどは話してみたときにコミュニケーション能力もあり賢そうなので良さそうだと思った。

 ミナコはそうして、自分はどのように少女たちの支持を増やすかを検討しはじめた。

 シャワールームの使用には石を徴収したいところだが、そこは自由に使えるようにできたほうが支持を得るのは当然。

 お湯にしたりのエネルギー等を考慮すると、電気をルキに頼るか、それとも薪で火を作るか。

 どうあれ、ミナコは一度建築したら、継続的な報酬を得ることに良い気持ちになるものはいないだろう。

 なので、バスまたはシャワールーム建築時に製作チームに一括で村から報酬をもらい、あとの運営は村に丸投げするのがよい。

 それから、それから……。

 ミナコは既に出来上がった後のことに思考を巡らせていた。

 スズハはそんな謀を知らず、ミナコを尊敬の眼差しで見つめていた。

 それから、レネが朝食用のパンを生成するので、皆が集まってきたときに食べやすいようミナコとスズハで準備の手伝いをした。

 主にミナコは机や椅子を生成し、スズハがそれを運んで並べた。

 そのための石は村の保管庫からの使用が認められ、ミナコは存分に自分の力のキャパシティを試験した。

 レネがパンを無尽蔵で生成でき、生成後も疲労を感じないように、ミナコもまた生成が無尽蔵でできるようであった。

 ただ、レネが注意することには、



「一見、無尽蔵かもしれませんが、やっぱり、かすかな疲労はあります。

 くれぐれも無理はしないでください。

 あと、私はほぼ全種類のパンを作るのに適正はありますが、例えば、ケーキやドーナッツ。

 何故かはわかりませんが、少しパンとは逸れるとものすごっく疲れます。

 なので、大きなものを作る前には必ず、石を持ってビジョンを見るようにしてください。

 ぼやけていたり、直観で「いける」って思えないのは、実は能力があってなかったり、石が足りなかったりします。

 石を増やしたり、紫の石をつかったりすればクリアできるんですけど、あまりコストが高いのは相談したほうがいいと思います!」


 

 レネはミナコと比べると、小学生と高校生くらいに違うように見える。

 なので、レネはミナコの背の高さと自信の高さに気圧されているようだった。

 ミナコはそんなレネと小動物でもかわいがるように言葉を交わした。



「ありがとう。

 レネちゃんはやっぱり、ここの先輩だから頼りになるね。

 これからも色々教えてよ」



 レネは単純にその言葉を喜び、ミナコを信頼し始めた。

 だんだんと、少女たちは目覚め、広場に人が集まってきた。

 皆、朝食の準備を手伝いはじめたり、他愛のない会話をしたりしていた。

 ナナルもスズハの作業に加わった。

 途中から、カザキがプラスチックの皿やカップを量産し始め、それを配った。

 昨夜のガラスジョッキは、誰が作ったものかわからなかったが、おそらく適正がない者が無理に作ったものだったのだろう、朝にはひび割れて使えなくなっていた。

 そうして、声をかけるまでもなく、いつのまにか村の少女たちは広場に集合し、朝食とともに集会が始まった。

 

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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