3-3:ストーンスキル
tips
*カエデグループ
カエデ:胸あたりまである明るい色のポニーテール、小麦色の肌
気の強そうな目つき。
背は高く、細身ではあるが鍛えられていて筋肉質
メイド服
スミレ:肩ほどまでの黒のツインテール
悪だくみの好きそうな顔
小柄、バニーガールの衣装
エミリー:腰ほどまでのウェーブかかった金髪、
迷彩柄の兵隊のような服装
身長が低め
カナメ:茶色の髪をしばってひとつおさげにしている
釣り目だがアンニュイな表情
もともと鎧のようなものを着ていたが今はその下に来ていたドレスのような洋服姿
3-3:ストーンスキル
とにもかくにも。
村のノルマである石の回収と搬入を済ませ、少女たちは皆が休息についた。
ただ、村に帰るなりマユルは搬入作業まで意識を保てなかった。
エリナとメアリによって家に連れていかれた後、いびきをたてて寝落ちしてしまっていた。
どうやら石を使って何かを成すということは、体力を消費することらしい。
しかし、バギーの充電をやってのけたルキは元気なので、生み出すものの相性であったり規模であったり条件はあるのだろう。
エリナはそう考えつつ、自分用の石を眺めていた。
場所はエリナグループの家。
円を作るように、エリナ、レイリ、メアリ、ヤヤは中央に座っていた。
マユルは端のほうで熟睡している。
エリナグループでは石の分配を個人用に毎回20個ずつ、残りを室内の入り口側隅に集めておくことにした。
石を特別に必要とするときは、リーダーのエリナに許可を取ることに決まった。
これは……マズイ。
エリナは一見わからないが、内心では焦りがあった。
早々にエリナ自身が石で生み出せる結果を示せないと……
(示せないと……何だ?)
その焦燥感の正体がわからず、エリナは困惑した。
メアリがマユルを見て、
「ウケル!
マユ、めっちゃいびきかいてんじゃんね!」
ヤヤが答えた。
「ア、ハハ!
ね、お父さんみたい!」
レイリは話に加わらず、石をとっては置き、とっては置きを繰り返していた。
そんなレイリを不満げにメアリは見ながら、
「レイリぃ、おしゃべりしようぜー。
石眺めてたって、つまんないべー」
レイリは気難しそうな顔をメアリに向けると、
「ごめん、私、多分、おしゃべりがあんまり得意じゃない。
ごめん。
……だけど、石触るのも多分、無駄じゃないかも」
「え?」
メアリに加え、エリナも驚きの声をあげた。
レイリは手元の黄色い石を一つ持ち、皆に見えるように示すと、
「石ごとに触ってると、思い浮かべられるものがある。
例えば、この黄色い石。
私は他の石だと何も浮かべられない。
何個持っても。
でも、黄色い石は、なんとなく、浮かぶ。
一つだと、文房具。
鉛筆とか、消しゴムとか。
3つぐらい持つと、ハサミとか、接着剤みたいのが頭に浮かんでくる」
「それ、マジ?
じゃあ、やってみなよ!
ほら、私の黄色い石あげるから。
じゃあ、ハサミ!」
メアリは面白がって、自分の持ち分から黄色い石を3つレイリに渡した。
レイリは、押し切られる形で、
「……わかった。
えーと……アライズ?」
わ!?」
レイリの持つ黄色の石が強く発光し、驚いたレイリはその光を落としてしまった。
カチャン!
その光は床に落ちて金属音を立てた。
おお、とメアリとヤヤは声を上げた。
エリナも静かながら、目を見開いていた。
ハサミが生成されていた。
生み出したレイリも驚いた様子だ。
メアリはそれを見て、
「すっご!
すっご!
やるじゃん!
レイリぃ!!
え、ちょっと、教えてよ!」
「あ、うん。
まず、石を色ごとに分けて。
それから……」
レイリは皆に自身のやった過程を教え始めた。
マユルがバギーを生成したのを見て、石でできることが直感的に浮かぶ可能性を考えたのが始めだったという。
そこからしばらく、皆、石をいじっていた。
窓から夕陽が見える。
エリナは思った。
そろそろ、放送がかかり、交流会が始まる時間だろう。
村全体の少女たちが集まり、親睦を深める会らしい。
この石の話をする代わりに交渉して、石をもらう方法もあるだろうか。
いや、今頃、他の家もこの方法を思いついているだろう。
これで交渉できるのは相当限られた状況だろう。
今は、もしもこの方法がわからない少女がいたらタダで教えて、信頼度を稼ぐくらいが関の山か。
エリナグループ、現在の能力開発の具合。
マユル、バギーを生成実績。
レイリ、文房具等小物類(黄色い石)。
メアリはアクセサリー類が得意なようだった。
思い浮かんだのはピアスであったり、ペンダントであったり。
しかし、石1つだとシンプルなものばかりで、デザイン性や質の良いものは石がその分たくさんいるようだ。
メアリは3つ使って、小さなハートのピアスをやっと生成できた。
ヤヤは、布であった。
黄色い石1つで1m×1mほどの生地。
石を増やすと、生地の質をいくらか良いものに変えられるようだ。
更に、青い石では布製品への可能性が浮かんだ。
4つ以上から、衣服類。
10以上だと、枕や布団。
試しに20以上の石に集めて手を当てて見たら、ソファやベッドが浮かんだ。
メアリに頼まれて、メアリの石から青10個使って、枕を作ってみた。
家に初めから用意されていた固い枕に比べれば、だいぶ良いものでメアリは満足した。
そのメアリを見て、ヤヤもホッとした様子であった。
エリナは、……何も浮かばなかった。
エリナは、当然ショックを受けた。
この妙な世界のアドバンテージともいえるべき能力。
それが自分だけ使えないというのは相当いたい。
エリナの消沈する様子に皆、慰めの声をかけた。
それがむしろ、エリナにとっては惨めさを加速させた。
笑顔で振るまって気丈に見せたが、さすがに隠し切れなかった。
エリナは石の能力の可能性をあきらめはしなかったが、可能性は薄いものとして、すぐに舵をきりなおすことを余儀なくされた。
エリナはこれから、能力者のトレードをどう円滑に進めるかに思考をシフトしていた。
そのためにはこれから始まる交流会。
そこでの情報交換が大切である。
エリナがそう思っていると、ちょうどよい具合に放送が入った。
「皆様、これから、交流会を始めます。
村の中央広場に集合をお願い致します。
食事、石の能力開発、親睦会を兼ねています。
どうぞご参加ください。
繰り返します……」
アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。
誤字、脱字は随時修正していくぜ。
特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。
リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。