3-2:石の価値
tips
*マツリグループ
マツリ:ボーイッシュな赤の短髪
鋭い目つき、 身長は低く、小柄ではある。
赤いワンピース型の制服
カザキ:明るい髪を肩まで伸ばし、両サイドでおさげ
身長はマツリよりは高いくらい
人懐っこい雰囲気
白いセーラー服
サラ:はずむような金髪のポニーテール
紺の制服
アキ:黒の、首ほどまであるショートボブ
少し神経質な雰囲気
このグループの中では背が一番高い
緑色の制服
カナタ:腰ほどまである暗めの髪を三つ編みにしている
あまり喋らないが、大志のあるような瞳
桜色の明るい制服
3-2:石の価値
カガミ・ミユナを先頭とするスズハグループ・カエデグループは村に帰ってきた。
まだ、東側グループは帰っていないようだった。
カガミは疲れている皆を苦笑いして見ながら、
「よーし、石の分別するぞ。
それから倉庫までの収納。
そこまでが一日の仕事だ。
ミユナ、教えてやってくれ。
私は放送でハナたちに帰ったことを伝えてくる」
「わかった、カガミン。
皆さーん、あの、えーと、まずグループで自分用の石を家にしまってきてください。
石の分配等のルールは各グループにお任せだそうです。
ただ、争いの起きないように。
その後に台車につんだ石の色分けをして倉庫への搬入までが村のノルマです」
こんなわけのわからない場所にまで来て、やらなければならないことがある。
少女たちの中に不満がないわけではない。
それでも、わけのわからない状況だからこそやれることはやるしかない。
そんな矛盾した想いを抱えて、作業は行われた。
スズハグループは石集め係と台車係の人とが不公平にならないように、石を部屋の隅に全部まとめておくことに決めた。
石を使いたい場合はリーダーであるスズハに許可を得て使用分だけ持っていく。
当面はそうやっていこうと提案したのはナナル。
各自で保管すると盗まれるなどして誰かのものが無くなったときに大変だからだ。
一つにまとめておけば、そういった悪心のあるものが悪さをしても、いくらか全体で対処できる。
それでも念の為、それぞれ一つかみ程度の石をポケットに入れておいた。
万が一にも黒ウサギに襲われたときに対処できるようにだ。
(もちろん、良し悪しだし、個別のロッカーでカギをかけれるのが一番だけどね。
そんなものはないし。
そう、当面はこれでなんとかなる。
ただ、石の価値が変動した場合はまた違う方法を取り直す必要があるだろうけど)
ナナルはそう思いながら、部屋の隅で小さく山を作る石の塊を眺めた。
石が上手に使えないうちはただの石。
しかし、この石は黒ウサギを倒す以外にも使い道がある。
生産の力である。
その力の活用性がどこまでのものかはわからない。
だが、能力の有無と価値でこの村の様相が一変してしまうことは想像に難くない。
カエデグループは石の保管に二つの方法をとった。
家用に、石を回収分の2/3程度、残る1/3を分け合って個人で持つ。
家用は家の隅にまとめておき、個人用はそれぞれの枕元に。
石の分別、搬入ともに滞りなく行われた。
搬入は、大きな麻袋のついた台車に石を詰め、村入り口から一番奥にある家に収められた。
その家は他と違い、高床式ではなく地面に直に建てられていた。
今まで集められた石と思われる多くの麻袋が石の色ごとにまとめてあった。
盗もうと思えば簡単に盗めるような状態だが、そこまでする価値はないのかもしれない。
作業中、スズハがミユナに、
「あの、ミユナさん、この石を入れる袋は誰かが作ってるのですか?」
「今は私が作ってるよ。
布みたいなものを作るのが得意みたいなの、へへ。
あの台車とかスコップとかの金属製の物はチヅル。
皆もそのうち、得意なもの作れるようになると思うわ」
「へぇ! すごい!
え~、私も何か作れるのかなぁ!
なんか楽しみになってきたなぁ!」
「ふふ、私も楽しみだわ。
みんなが何ができるのか」
西側グループが分別した石を蔵とされるに家に収めている頃。
東側に行っていたグループが帰ってきた。
東側グループの帰還の姿に西側に行った誰しもが(それはカガミもミユナも)驚かされた。
行きの時点ではなかった、バギーカー(といえばよいのか砂場でも力強く走行できる見た目の車)で帰ってきたのだった。
それも4台も。
3台に少女たちが乗り、1台にコンテナのようなものがついており、そこに石が詰められていた。
「どうしたんだ、これ!!」と、カガミは驚嘆を隠せなかった。
ハナが経緯を言った。
「あ、遅くなってごめんね。
色々あって。
アレね。
最初、普通に説明と石の回収を始めたんだけど、その最中に、あの子……あの背の高い……
マユルちゃんだったわね。
……が、なんか、石から作っちゃったのよ。
なんか集まってコソコソしてたのは見てたんだけど。
しかも、ガソリンがいらない電気式で。
だけど、ガソリンもなければ、電気もないでしょ。
そうこうして皆で騒いでいるうちに、あの子。
えーと、ルキちゃん。
なんか、バッテリー部分に手を当てて、もう片方の手に石をもってね。
……うまく説明できないけど、充電、しちゃったのよね。
そんなこんなしてたら、回収した石をだいぶ使っちゃてて、その分拾うのに時間かかっちゃの。
それでも、大きな収穫というか、それ以上かも」
カガミはそれを聞いて、そうだなと返した。
カガミも石の使い方は感覚的にできるかもしれないができた質なので経緯に疑問は抱かなかった。
カガミは、
「もしかしたら、今度こそ、この変な場所から出られるかも……」
そう呟いた。
アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。
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