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おばさんクエスト~あるあるだらけの冒険記~  作者: ぱんちゅう
第三章 帰郷するおばさん編
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あるある068 「エッチな洗礼を受けがち」

「セリーヌ。何もここまでしなくても……」


俺の頬は真っ赤に張れてタコ焼きのようになっていた。


「カイトさんがスケベなことは知っていますが、エレンさんを見捨てるなんて許せませんわ」

「何だ、そっちかよ」


俺はてっきり触手プレイでイカされているエレンに興奮していたことを咎められたのかと思ったぞ。

おばさんの体には興味ないが感じているところを見るのは刺激的だ。

あそこがムズムズすると言うか何とも言えない興奮状態に陥って……。

思い出しただけでも涎が出て来る。

だらしない顔を浮かべているとセリーヌが強めに言って来た。


「それよりもカイトさん。エレンさんを救う作戦を考えてください。このままでは大蚯蚓に食べられてしまいますわ」

「そうだったな。今は大蚯蚓と戦っていたんだな」


俺は我に返って作戦を考える。

大蚯蚓の攻撃手段は触手と粘液。

これを回避するすべはない。

穴を埋めるように大蚯蚓が顔を出しているから背後にも回り込めない。

唯一の弱点は目が見えないことだけだろう。

しかし、その弱点は触手が補っているようだ。

大蚯蚓にとって触手が目の代わりであり、手の代わりなのだ。

アンナでもいれば炎の魔法で攻撃を出来るのだが。

間接攻撃を出来るのはセリーヌの魔法だけ。

『ホーリーミスト』で視界を奪っても全く意味がない。

ならば『シールズ』で動きを封じこめるべきか。

だけど狭い通路の中では効果は限定的だろう。

やはりここは補助魔法を使うよりも攻撃魔法を使った方がいいな。

よし、決めた!


「セリーヌ。『ホーリーランス』で大蚯蚓を貫いてくれ」


『ホーリーランス』はプリ―ストが使える攻撃魔法のひとつ。

聖属性を持っており聖なる矢で敵を串刺しにする。

闇属性を持つ敵には最も効果を発揮する。

大蚯蚓がどんな属性を持っているのかわからないが、四六時中、地中にいるから効くかもしれない。

セリーヌは俺の指示を受けて魔法の詠唱に入る。


その間もエレンは大蚯蚓の洗礼を受けていた。


「ハアハアハア……アッ。ウンッ……アッ。カイト……早くしてくれ」


声だけ聴いていてもすごくいやらしい気分になってくる。

エレン、感じ過ぎだぞ。

お前はそんなに敏感だったのか。

大蚯蚓にイカされた日には目もあてられなくなる。

変なプレイが開花するかもしれないからな。

そんないやらしいことを考えている間にセリーヌの詠唱が終わる。


「亜空より飛来せし流星、一閃の刃となりて、悪しきものを消滅せよ『ホーリランス!』」


セリーヌの正面に大きな魔法陣が浮かび上がると九つの聖なる槍が生み出される、

それは眩いばかりの聖なる光を放ちながら切っ先を大蚯蚓に向けた。

そして次の瞬間、宙に軌跡を描きながら大蚯蚓の体に突き刺さった。

大蚯蚓は地鳴りのようなうめき声をあげながら悶え苦しむ。

エレンは放り投げ出されて地面に転げ落ちた。


「ハアハアハア。やっと解放されたぜ。この野郎、好き勝ってやってくれやがって」


エレンは粘液にまみれ全裸のまま大剣を握り直す。

そして切っ先を大蚯蚓に向けると大剣を構えた。


「おい、エレン。そんな格好で戦うつもりか。服くらい着ろ!」

「誰も見ていないんだ、構わないだろう」


俺が見ているんだよ。

粘液まみれの全裸のおばさんが大蚯蚓と戦おうをしているのだ。

これはどんな状況かと説明しろと言われたら何も言えない。

それにさっきから背中に突き刺さるセリーヌの鋭い視線が痛いのだ。

俺が粘液まみれの全裸のエレンに興奮しているのではないかと思っているらしい。

そんなことがある訳もないのに……いや、あるか。

少しだけだが全裸のエレンよりも粘液まみれってところに興奮を覚える。

普段ではありえないシチュエーションにドキドキが止まらないのだ。


「なら、その格好でいい。大蚯蚓を倒せ!」

「言われるまでもない。食らいやがれ!」


エレンは全裸のまま大剣を振り上げて大蚯蚓に切りかかる。

大蚯蚓は『ホーリーランス』を受けているので思うように回避できない。

そしてエレンの斬撃が大蚯蚓の触手を狩り取った。

大蚯蚓は激しく悶えながら体をうねらせて奥へ逃げ込んで行く。


「逃がすかよ!」


エレンは全裸のまま逃げて行く大蚯蚓を追い駆ける。

俺とセリーヌもその後に続いた。

しかし、大蚯蚓の逃げ足の方が早くて見失ってしまう。


「ちくしょう。あの野郎、どこへ行きやがった」


周りにある横穴を見渡しても大蚯蚓の姿は見えない。

横穴が複雑に迷路のように伸びているため追い駆けるのも困難だ。

下手に横穴に入り込んだら迷ってしまうだろう。

俺達は仕方なく大蚯蚓を討伐することを諦めた。


「私の手でとどめをさしてやりたかったのに」

「仕方ないだろう。命があっただけもよかったと思え」

「さんざん私を弄んだのだからな。ケチョンケチョンにしてやりたかった」


何だよ、そこか。

お前も結構、気持ちよさそうにしていたじゃないか。

まあ、でも大蚯蚓にイカされたとあっては屈辱だ。

今後、大蚯蚓にイカされたおばさんとして生きることになるのだから。

そんなくだらないことを考えているとセリーヌが声を荒げた。


「カイトさん!それよりもこれからどうするつもりですか!このまま先へ進みますか?それとも引き返しますか?」

「このまま先に進む。手ぶらでは帰れないからな」


本当のところは、この粘液をなんとかしたい。

さっきから体に纏わりついて気持ち悪いのだ。

しかも悪臭を放っているし、まるで馬糞にまみれた気分だ。

それはエレンも同じようで鼻をつまみながら粘液を払い落していた。


「どこかにシャワーでもあればいいんだけどな」

「こんなダンジョンにシャワーなんてあるかよ」

「エレンさんもカイトさんも離れて歩いてください」


俺達を馬糞扱いするなよ、セリーヌ。

お前を粘液まみれにさせてもいいんだぞ。

俺達は仲間なんだ。

ならば仲間の痛みは知ってもらわないといけない。

俺が冗談で粘液をセリーヌになすりつけようとすると、鋭い視線が返って来た。


「カイトさん!そんなことをしたら一生許しませんからね!」


冗談の通じない相手だ。

俺達はそんなくだらないやりとりをしながら次の扉を押し開けた。

すると、さきほどと同じように地下二階へ通じる階段が姿を現す。

俺達は警戒をしながら階段を降りて行った。





地下二階は地下一階とは違っていて大きな広間が広がっていた。

魔光石は壁伝いに続いていて壁際だけを照らしている。

なので大広間の中間は暗闇だ。

俺達は魔光石の灯かりを頼りに壁伝いに進んで行く。


「ここにモンスターはいないよな」

「気配は感じとれませんからいないかもしれませんね」

「でも、気を抜くなよ」


大広間の暗闇に視線を移してみるが何も見えない。

ただ暗い闇が静かに広がっているだけだった。

すると、不意に地を這うようなカサカサと言う音が聞えて来る。

それは一匹だけではなく複数の音が複雑に重なっていた。


「何だ、あれは!」


エレンが見ている方を見やると暗闇の中で炎の揺らめきが見てとれた。

それはひとつではなく複数も。

水が湧き出るように暗闇に広がって行く。

そしてものの数分の間に炎の絨毯を作り出した。


「今度は百足か」


炎を纏っていたのは足が何本も生えている百足。

炎は甲羅の上で燃えていて腹側は燃えていない。

しかも大きさが3メートルほどある巨大な百足だ。

セリーヌは青い顔しながらブルブル震えている。


「カイトさん。私はご遠慮させてもらいますわ」


蚯蚓に続いて百足なんて昆虫嫌いなセリーヌにはきつい相手のようだ。

火炎百足の相手は俺とエレンンが努めよう。

地下一階とは違ってここの空間は広い。

頭上に高く飛び上がれるし、背後に回り込むことも出来る。

後はどうやって火炎百足を倒すのかだ。


「考えるまでもない。ぶちのめすだけだ!」


エレンは大剣を高く掲げながら火炎百足の群れに突っ込んで行く。

すると、火炎百足はサササッと広がってエレンを回避した。

思っている以上に動きは素早いようだ。


「野郎、逃げるんじゃねえ!」


エレンは大剣を振り回しながら火炎百足に攻撃をしかける。

その度に火炎百足は攻撃を回避して大きく広がる。

それはまるでエレンを誘い込むかのような動きだ。

しばらくするとエレンはすっかり火炎百足に囲まれていた。


「この野郎、それで私を捕まえたつもりか」


火炎百足は攻撃と言う攻撃はして来ない。

ただ獲物を中央に寄せ集めて取り囲むだけだ。


「くぅ、熱い……」


エレンの額に一筋の汗が伝う。

それが狙いか!

自信の炎を利用して獲物を焼き殺す仕留め方なんだ。

それを示すかのように火炎百足はジリジリとエレンに近づいていた。


「エレン!そこから離れれろ!そいつらの狙いはお前を焼き殺すことだ!」

「焼き殺すだと。ふん。つまらないことをしてくれる」


エレンは両足を踏ん張ると大剣を大きく振り回しながら旋風を巻き起こす。

そして回転力の増した旋風は竜巻となって火炎百足を飲み込んで行った。

火炎百足は宙に巻き上げらてボトボトと投げ飛ばされる。


「見たか、カイト。これが私の編み出した必殺技『大旋風』だ」

「いつ覚えたんだよ?」

「今だ」


必殺技と言うのは即興では覚えられない。

まず、型を覚えてから試行錯誤を繰り返して身に着けて行くものなのだ。

エレンのように戦いの中で身に着けるなんてことは普通あり得ない。

それをやってのけたエレンはよほどの馬鹿か実力者かのどちらかだ。


「カイトさん。まだ終わっていませんわよ」


辺りを見回すと火炎百足が体を捩って起き上がっているところだった。

こいつはとどめを刺さない限り何度でも這い上がって来るだろう。


「エレン。火炎百足にとどめをさせ!」

「言われるまでもない!おりゃぁぁぁ!」


エレンは頭上高く飛び上がると火炎百足の頭を目掛けて大剣を突き刺す。

すると、火炎百足は苦しそうに悶えながら体を捩る。

そしてすぐに消沈すると黄色の魔石に姿を変えた。


「よし、まずは1匹だ」

「まだまだいるぞ。とっとと片づけろ!」

「カイトもそんなところで傍観しているなら手伝え」

「お、おう」


こんなにも群れているんだから当たらない訳がない。

俺は小剣を掲げながら火炎百足に向かって行った。

しかし、火炎百足はすぐさま回避して距離をとる。


「カイト。そいつらは目が見えない。頭上から狙うんだ!」

「頭上か。よし、おりゃぁぁ!」


俺は小剣を掲げながら高く飛び上がる。

落下のスピードを生かして火炎百足の頭を目がけて小剣を突き刺した。

生きたタコがピックで刺されたかのように火炎百足は暴れ回る。

そしてすぐに消沈して黄色の魔石に姿を変えた。


「やったぞ。一匹仕留めた!はじめてモンスターを仕留めたぞ!」

「そのくらいで喜ぶな。まだいっぱいるんだ」

「わかってるよ。ちょっと嬉しかっただけだ」


俺とエレンはその要領で次々と火炎百足を仕留めて行く。

火炎百足はこれといった反撃をすることもなく魔石に姿を変えた。

そしてその場にいた火炎百足の半数を倒すと残り火炎百足は逃げて行った。

ちょうど火炎百足が這いだして来た穴が逃げ道となって。

俺達は追撃することを止めて落ちていた魔石を拾い集める。


「黄か。シケていやがるぜ」

「それでも12個も集まったぞ」


黄色の魔石は一つあたり銅貨3枚だから×12で銀貨3枚と銅貨6枚にもなる。

これはマビジョガ島の調査の報酬に次ぐ高さだ。

もっと倒しておくべきだったな。

惜しいことをした。


「それでは先を急ぎましょう。また襲って来るかもしれませんし」

「セリーヌは火炎百足が苦手なだけだろう。あいつらそんなに強くないし、ここで小遣い稼ぎをしようぜ」

「いけません。私達は先を急いでいるんです。キルさん達も心配していることですから行きますわよ」


セリーヌはさっさとひとりで先へ進んで行く。

エレンも歯ごたえのない相手だったからすぐに諦めたようだ。

俺は後ろ髪を引かれる思いでふっきるとセリーヌ達の後を追った。





大広間を抜けるとすぐに第三の扉があった。

階段を降りて行くと今度は綺麗に象られた部屋に辿り着いた。

壁も床も綺麗に加工されていて、明らかに人が造った部屋だと言うことがわかる。

それに等間隔に台座が並んでいて、その上に大きな棺が20個ほど置いてあった。


「ここは墓場か?」

「恐らく島民達が埋葬されているのではないでしょうか」

「それにしては大きな棺だな」


エレンはおもむろに棺の蓋を押し開ける。

すると、急に棺が揺れ出して中から巨大なマミーが姿を現した。

俺達は距離をとって武器を構える。

巨大なマミーは両手を前に突き出してのっそりのっそりと近づいて来た。


「今度はマミーか。また『大旋風』で吹き飛ばしてやるぜ」

「馬鹿を言うな。こんな狭い所で使ったら俺達も巻き込まれるだろう。却下だ」

「ちぃ、注文の多い野郎だな。なら、一匹づつ仕留めるだけだ!」


エレンは大剣を掲げてマミーに切りかかる。

エレンの斬撃はマミーの体を捉えて直撃を与えた。

しかし、マミーは苦しむことなく距離を縮めて来る。


「何だよ、こいつら。無敵か?」

「体が腐っているから効かないんだ」

「なら、どうやってとどめを刺すんだ?」


ギルドで情報を集めて来なかったからまったく作戦が浮かばない。

弱点もわからなければ攻撃方法もわからないのだ。

火炎百足の時は何とか戦い方がわかったがマミーはわからない。

全身が腐っているならばどこを攻撃しても効かないだろう。

俺は思考を巡らせて攻撃方法を考える。


「カイト。考えるだけ無駄だ。こいつらは塵になるまで刻むだけよ」


そう言ってエレンは大剣を振り回しながら斬撃をマミーに加えて行く。

すると、マミーは細切れのように崩れ去って小さくなった。


「ほら、私の言った通りだったろう。こいつらにはこれが合っているんだ」

「そんなことありませんわ。見てください」


小さくなったマミーに視線を向けると細切れになった肉片が寄り集まり再生している。

そしてすぐに元の姿に変わると再び近づいて来た。


「こいつら不死身かよ」


不死身なモンスターなどこの世には存在しない。

何かしら弱点があって、そこを突けば倒せるはずなのだ。

ただその弱点が何かまではわからない。

もし、こいつらが操られているだけのただの人形だったら操っている奴を倒せばいいだけ。

しかし、この部屋にはマミーを操っている者はいない。

ならば何かしらマミーに弱点があるはずだ。

俺はマミーをよく観察しながら弱点を探す。

すると、マミーの額に埋め込まれている魔石を見つけた。


「エレン!マミーの額にある魔石を破壊しろ!きっとそれが弱点だ!」

「あれだな。うぉらぁ!」


エレンは大剣の切っ先をマミーの額に向けると勢いよく飛び出した。

その刺突はマミーの額にある魔石を目掛けて閃光の如く貫く。

すると、魔石は粉々に砕けて、マミーもろとも消え去った。


「俺の言った通りだったろう。その調子で他のマミーも倒せ」

「カイトも遊んでいる暇があるなら手伝え」

「俺は遊んでいるんじゃない。的確な指示を出しているんだ」

「そんなんじゃ、いつまで経っても弱いままだぞ」


エレンの鋭い指摘に返す言葉もない。

確かにエレン達にばっかり指示を出していても経験値が上がらない。

マミーはそれほど強そうな敵じゃなさそうだし、ここはいっちょやってみるか。

エレンの目の前に立ちはだかっていたマミーに剣を向けて宣言する。


「おし、エレン。そいつは俺がやる」

「格好はどうだっていい。早くとどめを刺せ」

「言われるまでもない。おらぁぁぁぁ!」


俺はエレンを踏み台にしてマミーの顔の前まで一気に飛び上がる。

そして空中で小剣を構え、魔石目がけて刺突を放った。

すると、マミーはすぐに反応し両手で俺を掴んだ。


「何で俺の場合だけ、こんな風になるんだよ。離せ、この野郎!」


俺はマミーの手の中でジタバタと暴れ回る。


「亜空より飛来せし流星、一閃の刃となりて、悪しきものを消滅せよ『ホーリランス!』」


俺をフォローするようにセリーヌがマミーに向かって『ホーリーランス』を放つ。

魔法陣から飛び出した聖なる槍はマミーの魔石を貫き粉々に砕いた。


「カイトさん。私が後からバックアップしますわ。思いっきりやっちゃってください」

「助かったぜ、セリーヌ。今度こそ仕留めてやるぜ」


俺は小剣を持って立ち上がるとマミーを目掛けて突撃して行く。

エレン達ばかりにカッコイイところを持って行かれてたまるか。

俺だってやれるんだ。

なんて言ったって俺は勇者になる男だからな。


「おらぁぁぁ!」


俺とエレンとセリーヌの活躍で20体いたマミーを全て塵に変えることが出来た。

内訳は俺が2体、エレンが12体、セリーヌが6体だった。

2体なんて10分の1でしかないが俺にとっては大きな収穫だ。

これで少しは経験値を増やすことが出来ただろう。

ただ、魔石を全て破壊してしまったので何も採取できなかった。

くたびれ儲けの銭失いだ。


「けっ、シケてやがるぜ。棺の中には何も入っていないぞ」

「お宝があるかと思ったんだがな」


普通、こういう棺の中には死体といっしょにお宝が入っているものなのだが。

歴史的に見ても古の墓が見つかった時はいっしょにお宝も見つかったと言う記録が残っているくらいだ。

まあ、そう言う場合はたいてい王族の棺に限られて来るのだが。

入っていたのは塵に変えたマミーだけだから、こいつらは位の低いモンスターなのだろう。


「ここで行き止まりのようですわね」


部屋の奥を見回すが扉らしきものはない。

フラットな壁が競り立っているだけだった。


「けっ。結局、お宝はなしかよ」

「そんなにしょ気るな。ダンジョンを調査出来たんだ。帰って報酬をもらえばいいさ」

「それでは戻りましょう。キルさん達も心配していますわ」


俺達が地下三階の部屋を出ようとするとゴゴゴ……と音を立てながら入口の扉が閉まりはじめた。


「おい、扉が閉まるぞ!走れ!」


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