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おばさんクエスト~あるあるだらけの冒険記~  作者: ぱんちゅう
第二章 激闘するおばさん編
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あるある055 「推しに情熱を注ぎがち」

翌日のコロセウムの反響具合は驚くほどだった。

一番人気のガイアが出場するだけに会場はガイアファン達で埋めつくされていた。

抽選でチケットを手に出来なかったファンは少しでもガイアに熱を伝えるべくコロセウムの外から応援をする。

それはセリーヌも同じなようで今日だけは気合を入れて勝負パンツを履いて来た。

何で俺がそれを知っているかって?

そんなのセリーヌを見ればすぐにわかる。

男も女も勝負を決める時は気合を入れるものだ。

ましてや憧れのガイアを応援するならばなおのこと。


「今日のセリーヌ、いつもと違う」

「これが恋をするおばさんの姿だ。よく覚えておくんだぞ」

「うん」


キルはポカンと口を空けたままセリーヌを見つめる。

その純粋な目に今のセリーヌはどう映ったのだろう。

可憐な女性が恋をしている姿か、はたまた年増のおばさんが欲情している姿か。

いずれにせよキルもおばさんの本質を知っておく必要がある。

大人になって行く上でおばさんと関わりを持つようになるのだから。

すると、会場が急に色めき立つ。

西門を見ると黒騎士ガイアが入場して来たところだった。

ガイアは黄色い声援など無視して静かにステージ上に登る。

こういう態度が余計にファン達の心を刺激して熱を帯びさせるのだ。

生まれつきのイケメンだからこそ出来る技なのだろう。


「さて、ファンの黄色い声援を浴びて入場して来たのは黒騎士ガイア。トーナメント戦第六試合では圧倒的な戦いを繰り広げました。『閃突』を発動させたランスをもろともせず打ち倒す、その強さ。この試合ではどんな戦いを見せてくれるのでしょう。それに対するは魔法使いキリア。圧倒的に不利な立場においても勝利の切符をつかんだ、その実力はいかに!」


ここに来て司会者の熱が増しているのは気のせいか。

観客のほとんどが女性なだけにいつもよりもテンションを上げているように見える。

まさか、ガイアのおこぼれでも狙おうとしているのか。

ムリムリ。

ガイアファンは一途だから推しは曲げないのだ。


「それではトーナメント戦第九試合魔法使いキリアVS黒騎士ガイアの試合をはじめます!」


会場に銅鑼が鳴り響くと同時に黄色い声援が波のように押し寄せる。

それは大きな唸りとなって会場を埋め尽くした。

隣で応援しているセリーヌも同じ。

自前で作った団扇を片手に黄色い声援を送る。


「ガイアさまー!こっちを向いてー!」


おいおい、ここはコンサート会場じゃないんだぞ。

そんな応援の仕方があるか。

応援するならもっと励みになるような言葉を言え。

すると、セリーヌの声が届いたのかガイアがこちらを見た。


「キャァァァ!ガイアさまと目が合っちゃった!」


セリーヌは顔を真っ赤にさせながら悲鳴交じりの嬉し声をあげる。

熱の入れようからすればアイドルを応援している10代のファンと同じだ。

ガイアが動く度に歓喜の声が巻き起こる。

「こっちを見てくれた」だの「目が合った」のだと願望を口にしながら。

それは紛れもない思い込みである。

何万といる会場の中から一人だけを見つめるなんてあり得ないのだから。

そうは思っていたのだがガイアはこちらをギロリと睨んでいる。


「何だよ、あの野郎。私に喧嘩でも売っているのか?」


エレンは気を荒立てながらガイアをギロリと睨み返す。

ガイアの視線とエレンの視線はぶつかり合って火花を散らす。

すると、エレンは飛びかかるような勢いで手すりに身を寄せた。


「おい、エレン。決着は決勝戦でつけろ」

「わかってる。だがな、あいつを見ていると虫唾が走るんだよ」


エレンもイケメン好きだと思っていたがガイアはお好みじゃないようだ。

どちらかと言うとガイアは冷酷さを秘めたような凛とした顔立をしている。

青い瞳は鋭く、見る者の心を突き刺すかのようだ。

ジーザスではないけれど冷たい印象を与える。

そんなクールさに惹かれる世の中の女性は多い。

セリーヌもその一人だ。

今も頬を赤らめてぽ~っとしている。


「おい、セリーヌ。しっかりしろ!ガイアの情報は調べたんだろうな?」

「もちろんですわ……。ガイアさまは出身国は不明の騎士。年齢は私達と同じくらいでしょうか。噂ではどこかの国の騎士団長をしていたらしいとのことです」

「それでスキルや必殺技の情報は得られたのか?」

「それは全然ダメです。ガイアさまは他の方と接するタイプではないので情報も皆無です」


まあ、それははじめから想定していた。

ジーザスと同じく試合では圧倒的な差を見せつけて勝ち上がって来たから。

だからこそ、この試合でガイアの実力を推し量る必要があるのだ。

しかし、相手は近接戦闘に向かないキリアだ。

圧倒的にキリアが不利だろう。

ベルモットとの試合ではキリアの戦術がうまく行ったが、それがガイアに通じるとは思えない。

そのことはキリア自信がよく理解しているだろう。

試合がはじまってから数分。

キリアは動くことなくガイアの様子を伺っていた。





キリアにとってこの試合での勝算は全くなかった。

ガイアの圧倒的な力を脅威に感じていたからだ。

だけど、簡単には負けられないと心に決める。

それは魔法使いの発展のため、そして何より自分のためでもある。

キリアが魔法使いを目指したのは特殊能力を開花させたからではない。

以前に指導していた師匠が魔法使いだったからだ。

キリアの『自動追尾』の特殊能力は魔法よりも弓向きの力だ。

物理的な攻撃の方が相性がいい。

そのことは指導していたキリアの師匠が一番よく理解をしていた。

だからキリアには魔法使いでなく弓使いを薦めた。

エルフの知り合いがいたのでキリアをエルフの村に預けることに。

しかし、キリアは弓をマスターすることよりも魔法を覚えることを優先させた。

見よう見真似で師匠の魔法を覚える毎日を送る。

それはひとえに師匠の認められたかったからだ。


そんなあくる日、キリア達の前に凶悪なモンスターが現れた。

そのモンスターは口から炎を吐きエルフの村を焼き尽くして行く。

エルフ村は一夜もせずに灰と化してしまった。

キリアはエルフ達の計らいで命からがら逃げて来た。

けれど、生き延びたのは数名のエルフとキリアだけだった。

そんな戦力では到底、凶悪なモンスターには対抗できない。

手をこまねいていたキリア達だったが、師匠が遅れて駆けつけた。

師匠は躊躇うことなく魔法を発動させて凶悪なモンスターを対峙する。

しかし、凶悪なモンスターは魔法耐性を持っていてほとんど魔法は効かなかった。


追い詰められるキリア達。

凶悪なモンスターはキリアに向かってブレスを吐き出す。

その時、師匠が身を挺してキリアの命を救ったのだ。

その代り師匠はブレスの餌食となり灰と化してしまう。

その光景を目の当たりにしたキリアの心に深い傷がついた。


それから数年。

キリアは一人前の魔法使いとなるため修業を続けて来た。

そのおかげで炎の魔法をマスターし、かつ特殊能力を活かした戦い方も出来るようになった。

それもこれもすべてあの時、師匠がキリアを救ってくれたからに他ならない。

キリアは全ての魔法使いのため、そして師匠の期待に応えるためにコロセウムに出場したのだ。

そんな覚悟を持っているキリアだったがガイアの前には足元にも及ばない。

そのことは戦う前からわかっていた。

だからこそ、この試合でガイアの実力を引き出せることが出来たら吉だろうと考える。


「あなたの強さはわかっているわ。けれど、私も負けられないのよ」

「……」


キリアは杖を翳して魔法の詠唱に入る。

そんなことにも顔色を変えずにガイアは凛とした視線でキリアを見つめる。

まるで、キリアの魔法を待っているかのような態度だ。


キリアは考える。

ここで力を出し惜しみしていてもガイアには勝てないことを。

ならば、キリアが持っている最大限の力を発揮するべきだと。

特殊能力の『自動追尾』と最上級魔法『エクスプロード』との相性は悪い。

破壊力で攻めるならば素直に最上級魔法『エクスプロード』を選ぶべきなのだ。


「深淵より生まれし業火、その灼熱を拠り所に、全てを消し去れ『エクスプロード!』」


キリアが両手を翳すと赤色の魔法陣が目の前に現れる。

同時にガイアを取り囲むように魔法陣が浮かび上がった。

暗黒色に染まった空から一筋の閃光が走ると赤いエネルギーの球体が降りて来る。

それは周りのエネルギーを吸い込みながら体内にエネルギを蓄積させて行く。

そして臨界点まで達すると一気にエネルギーが解放させた。

球体はガイアを飲み込み爆発しながら膨張をして行く。

同時に、放射状の衝撃波がガイアの回りに広がると轟音が轟いた。


「これでひとたまりもないでしょう……って!」


ステージを覆い尽していた黒煙の中からガイアが姿を現す。

しかし、傷一つなく、その場に立っていた。


「そんな、『エクスプロード』が効かないなんて……」


魔法耐性でも持っていると言うの。

そんなのあり得ないわ。

人間は衝撃耐性や魔法耐性などの耐性のスキルは持つことが出来ない。

それはあまりに人間の肉体が脆弱だからに他ならない。

耐性は全くダメージを受けないのではない。

ダメージを減少させるために攻撃を受けるのだ。

そうすることで初めて耐性が発動される。

だから、モンスターのような堅牢な肉体でなければ攻撃に耐えられないのだ。

しかし、ガイアは『エクスプロード』をものともしなかった。

何が起こったのかはキリアには理解できなかった。


それもそのはず。

ガイアは『エクスプロード』が着弾する、その瞬間に一気に覇気放出させ全身を覆たのだ。

いわゆる覇気の鎧を身に着けたようなもの。

覇気のバリアで身を守り『エクスプロード』の爆発を凌いだのだ。

ここまで器用にも覇気を操れるのは限られた人間だけ。

ガイアはまさに達人クラスの騎士なのだ。





俺達は目の前で起きた光景に唖然としていた。

『エクスプロード』の直撃を受けて立っていられる人間などいないからだ。

同様に観客達からもどよめきが巻き起こる。

人知を超えた光景に思考回路が追い付いていないよう。


「こんなことがあり得るのか?『エクスプロード』を防ぐなんて」

「あり得ない話でもないぞ。あいつは覇気を操っていたからな」

「覇気だけでそんなことが出来るのかよ」

「出来るも出来ないも何もあいつはやってみせたからな。これは決勝戦が面白くなって来たぜ」


エレンは嬉しそうな顔をしながらガイアを見やる。

まるでおもちゃを買い与えられた子供のような喜びようだ。

エレンは自分より強い相手と戦うことに興奮を覚えるタイプ。

だから、それがどんなに危険なことであっても変わりないのだ。

俺はますます心配になって来た。

あんな強いガイアを相手にどうやって戦えばいいのかさえわからなくなる。

いくら戦術を練ったところで敵わない気がしてならないのだ。


「さすがはガイアさまですわね。ますます惚れましたわ」

「セリーヌ。お前は呑気でいいな。俺は心がチリチリして痛いよ」


おばさんの熱はますますヒートアップしているようだ。

それはセリーヌだけでなく会場にいるガイアファン達も同じ。

黄色い声援を送りながらガイアを応援していた。


「でも、これであいつの勝ちは決まったな」

「だな。残念だが、もうキリアに打つ手は残されていないだろう」


ステージ上を見るとキリアが唖然とした顔で突っ立っていた。





キリアは目の前の現実に絶望をしていた。

自分が使える最上級の魔法が効かなかったのだ。

もう、使える手は残されていない。

たとえ、ここで特殊能力を発動させたところで結果は見えている。

魔法を撃ち消されてしまうだけ。

ガイアの操る覇気には対抗できないのだ。

それでもここで引く訳には行かない。

戦わずして負けるなんてキリアのプライドが許さないからだ。

キリアは決意を固めると再び両手を翳して魔法の詠唱に入る。


今持っている全ての力を結集させて目の前のガイアを打ち倒すのだ。

それだけが今のキリアの目標。

迷いなどない。

あるのは勝利に対する執念だけ。

覚悟を決めた者は何よりも強い。


「灼熱の大地より生まれし炎、爆炎となりて大地に降り注げ!『ファイアーボール!』」


キリアの魔法陣から生み出された無数の火球はガイアを目掛けて飛んで行く。

それは暴雨の如く嵐となってガイアに降り注いだ。

ガイアは火球を避けることなく覇気で打ち消す。

それでもキリアは手を止めることなく火球をガイアにぶち込んだ。


「これだけじゃ終わらせないわ。まだまだ魔法はあるんだから」


そう言ってキリアは再び魔法の詠唱に入る。

『早唱』のスキルを発動させながら次の魔法を放つ。


「天より授かりし聖なる槍よ、炎の魔人と一つとなりて大地を貫け!『フレアランス!』」


ガイアの周りを取り囲むように無数の炎の槍が現れる。

そしてガイアを串刺しにするように勢いよく突き刺さる。

しかし、これもガイアが生み出した覇気によって一瞬でかき消されてしまった。


「わかっているわ。あなたが強いってことは。だけどね、私も負けられないのよ!」


キリアは習得している炎の魔法を片っ端から発動させる。

『イラプション』、『インフェルノ』、『メテオスォーム』と。

そのどれもがガイアの覇気によってあっさりと防がれてしまったのだ。


「何よ!ズルいわ!戦わないで勝つなんて。認めない。認めないから!」


キリアは半ば狂乱しながら炎の魔法を乱発させる。

けれど、心が乱れているので的が定まらない。

ガイアは状況を冷静に分析しながら最適な行動をとった。


「何でよ!何で私に勝たせてくれないの!私は……私は!」


キリアはその場に崩れ落ちて涙ぐみながら叫ぶ。

悔しい気持ちを拳に込めてステージを何度も叩きつけながら。

圧倒的な強さを誇るガイアの前ではキリアは赤子同然。

それはかつて師匠の命を奪った凶悪なモンスターを目の前にした時と同じだ。

もし、あの時、自分に今のような力があったとしたら師匠を救えたはず。

いっしょに凶悪なモンスターを倒してみんなで笑っていたはずなのだ。

だから余計にやり場のない想いだけがキリアを飲み込んでいた。


「お前はよくやった。後は私の仕事だ」


状況を察したのかガイアが思いがけない言葉を口にした。

その言葉は今のキリアに深くさっさった。

まるで師匠から言われている言葉のように聞えたから。

だから余計に涙が溢れて来て。

極度の緊張から解放された心が平穏を取り戻す。

体に入っていた力も抜けて本来のキリアが戻って来た。


「何よ、仕事って。カッコつけないでよ」

「……」


ガイアは冷淡な顔つきでキリアの前に手を差し伸べる。

その手をじっと見つめながら。


「負けたら許さないからね」


そう小さく呟いてキリアはガイアの手をとった。


「これで試合終了です。トーナメント戦第九試合の勝者は黒騎士ガイア!」


司会者が試合終了の合図を告げると観客席から歓声と拍手が湧き起こる。


「よくやった!お前は立派な魔法使いだ!」

「あなたの雄姿に励まされたわ!」

「お前は証明したんだ!魔法使いでも戦えることを!」


激闘を繰り広げたキリアを称える声が耳に届く。

その言葉にキリアは少しだけ今の自分を褒めたのだった。


「勝ってよね。絶対に優勝してよね。でないと私が負けた意味がなくなるから」

「健闘する」


ガイアはひと言だけ答えると声援を受けながらステージを後にした。





「最後まで気障な野郎だな」

「それがいいんですわ。ガイアさまくらいのクラスになるとカッコよくなくては様になりませんもの」

「カッコイイね。そんなのが好きなのか、セリーヌは?」

「男性はクールで強くてカッコいいのが一番です」


それはどんな女子でも同じだろう。

イケメンで強くて、さらに経済力も求めて。

女子と言う生き物は生まれながらにおばさんの要素を持っているのだ。

どんなに可愛らしく可憐な少女に生まれても30を過ぎればおばさんになってしまうのだ。

儚い。


「それじゃあ私はここでお邪魔させてもらいますわ」

「どこへ行くつもりだ、セリーヌ?」

「ガイアさまのフィギュアを買いに行くんですわ。今、コロセウムの売店で発売中なんです。限定品なので早く行かないと」


そんなものまで売っているのか。

いつ作ったんだ。


「カイトさん、ニムさんを頼みます」

「お、おい。セリーヌ!」


セリーヌはおぶっていたニムを俺に渡すと急いで売店へ向かった。


「ウッ、ウッ……」

「おい、ニムがぐずり出したぞ。どうにかしてくれエレン」

「またおっぱいか?」

「おい、エレン。こんなところで乳を出すな」


こんな大勢の前で授乳なんてあり得ないだろう。

少しは羞恥心を持ってもらいたいものだ。


「ニムはおむつを取り替えて欲しいんだよ」

「やったのか?」

「大きい方をな」


エレンがニムのお尻の匂いを嗅ぐと顔をしかめる。

こんなところで大をするなんて根性が座っている。

もしかしたらニムは将来大物になるのかもしれない。


「とりあえず控室に行くぞ」

「替えのおむつはあるのか?」

「そんなもの持っている訳ないだろ」

「じゃあどうするんだよ」

「布を巻いておけば大丈夫だ」


さすがは子持ち。

一応、母親らしいところは持ち合わせているようだ。

まあ、そのくらい出来ないと子育てなんて無理だからな。

俺達は急いで控室に向かった。

途中で医療センターによってきれなな布をもらって。

エレンは手慣れたようすでニムのおむつを外す。

すると、ぽわ~んと生温かいうんこの匂いが広がった。


「やってる、やってる」

「大物だな」

「カイト。足を持っていてくれ」

「こうか?」

「違う。こう足を閉じるように持つんだよ」


エレンに言われるままニムの両足を揃えて持ち上げる。

その間にエレンはおむつを取り替えてニムのお尻を拭った。


「へぇ~。さすがは子持ちだな」

「こんなの毎日やっていたからな。よし、出来た」


すっきりしたのでニムは満面の笑みを浮かべる。


「それじゃあ宿屋に戻って作戦会議だ」

「何の情報も得られていないのに作戦なんか立つのかよ」

「立つんじゃなくて立てるんだ。決勝戦は三つ巴戦になるし今までのような戦い方は通じなくなるだろうからな」


結局、ジーザスもガイアも何も情報が得られなかった。

特殊能力をはじめ、スキル、必殺技さえも。

裏を返せばそれすら使わずに勝ち上がって来た強敵と言うことだけははっきりしている。

だからこそ戦術が必要なのだ。

戦術をなくしては勝利は掴めない。

エレンには何としてでも優勝してもらわないといけないからな。


「セリーヌはどうするんだ?」

「ほっておけ。熱が冷めたら戻って来るさ」


とは言ったもののセリーヌは夜になるまで戻って来なかった。

何でもガイアファンとフィギュアの奪い合いをしていたのだと言う。

そんなに熱中するほどの価値があるものに見えないが、ファンからしたら手が伸びるほど欲しいものなのだろう。

限定品と言う切り口がおばさん心をくすぐったのだった。


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