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おばさんクエスト~あるあるだらけの冒険記~  作者: ぱんちゅう
第二章 激闘するおばさん編
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あるある048 「他人のやることに無関心でいがち」

翌日、トーナメント戦第三試合首狩りのジーザスVS剣士ライアンの試合が組まれた。

ジーザスは優勝候補のひとりだけあって人気が高い。

ただその風貌と戦い方には恐怖すら覚えた。


「キヒョヒョヒョヒョ。さあ、私を楽しませてみせろ」

「気持ちの悪い笑い方をする奴だな」


首狩りのジーザスと剣士ライアンはステージ上で睨みあったまま動かない。

既に試合ははじまっているのだけれど、5分ほどこのままだ。

ライアンは隙を伺っているようだがジーザスは余裕気な素振りを見せている。

端からライアンなど敵とは認めていないよう。


「それにしても、あのジーザスって野郎は気持ち悪い風貌をしているな。全身、包帯に巻かれていて、まるで地獄から這いだして来た死神のようだ」

「恐ろしいのは見た目だけじゃありませんわ。戦い方も冷酷と噂されています。情け容赦なく相手を半殺しにするそうです」

「そんな奴が優勝候補のひとりだなんて世も末だな」


あんな奴と戦うことになるなんてライアンもツイていないな。

恐らくジーザスの圧勝だろう。


「エレンはどう見るんだ。この試合」

「そんなの知るかよ!それよりも酒だ!酒を飲ませろ!」


エレンは乾いた喉を掻きむしるように酒を懇願する。

昨日から一滴も酒を飲んでいないので気が立っているようだ。

今からこんなのだと先が思いやられるな。

あと、6日ほどコロセウムは続くから。

エレンにとっては地獄の日々となるだろう。


「セリーヌ。ライアンの情報はないのか?」

「ありますわ。ライアンさんは『連撃』のスキルと『一刀両断』の必殺技を取得しています」

「よく調べたな」

「お風呂でご一緒になったので、それとなく尋ねてみたんです」


色仕掛けか。

ライアンもスケベな奴だな。

まあ、セリーヌの色気の前にはどんな男でもノックアウトされてしまうだろう。

俺がひとりスケベそうな顔をしているとセリーヌが言い訳をして来た。


「そ、そんなのじゃありませんわよ。カイトさんが考えているようないやらしいことは全くしていませんから」


まあ、そう言うことにしておいてやろう。

それよりもだ。

この試合の行く末はどうなるかだ。

ジーザスの情報は全くと言っていいほどない。

どんな特殊能力を持っているのかやスキルや必殺技もわからない。

一方でライアンは『連撃』と『一刀両断』だ。

特殊能力はわからないが、それでも強力だろう。

予想しているよりも、この試合は面白くなりそうだ。


「お前が動かないなら、こちらから行かせてもらうぜ!」


ライアンは一気に間合いを詰めてジーザスに切りかかる。

ジーザスは避けることもせずに大鎌の柄でライアンの剣を弾く。


「くっ。やる!」

「つまらん!つまらんぞ!もっと私を興奮させてくれ」


ライアンは後ろに飛びのいて体制を立て直す。

普通の攻撃では効果がないと判断したライアンはスキルと必殺技の同時発動を狙う。

スキルと必殺技は似て非なるものだが融合させることも出来る。

そのためには特別な訓練が必要だが大抵の戦士は習得しているものだ。

ライアンは天高く飛び上がると剣を大きく掲げる。

そして落下のスピードを生かして剣を振り下ろした。


「食らいやがれ!」


『一刀両断』はその名の通り相手を真っ二つにする必殺技。

『連撃』は連続で攻撃するスキル。

それを融合させた攻撃はつまるところ『一刀両断の連撃』だ

強力な一太刀が連撃となってジーザスを襲う。

ジーザスはステップを踏むかのように体を動かして攻撃をかわした。

しかし、ライアン優勢の攻防が進む。

その度にステージが豆腐のようにスライスされて行った。


「キョヒョヒョヒョ。そうだ。もっと私を楽しませろ」

「俺の攻撃をかわすなんて、なんて身軽な奴なんだ」


ライアンの予想ではジーザスは大鎌で攻撃を受けるはずだった。

しかし、ジーザスは予想のはるか上を行くスピードを見せた。

動きも素早いが、反応が桁外れに早い。

ライアンの攻撃を寸のところでかわして笑みを浮かべてみせた。


「これほどの奴だとはな。なら、本気で行かさせてもらうぞ!」


ライアンに余裕などは全くない。

ここで特殊能力を使わなければジーザスには勝てないと踏んだ。

特殊能力を使ってさえもジーザスに敵うかはわからない。

それほどまでにジーザスは強敵だと認識したのだ。


「これは俺の奥の手だ。お前にかわせるかな」


ライアンが意識を集中させると影が実態となって起き上がる。

そしてジーザスを挟み込むように剣を構えた。


「行くぞ!」


ライアンとライアンの影は同時にジーザスに切りかかる。

さすがに2人を相手にするだけあってジーザスは大鎌でライアンの攻撃を弾く。

そしてライアンの影に向かって大鎌を振り下ろした。

しかし、その場で大鎌は空を切る。


「どうだ。俺の『実影操作』のお味は?」

「キョヒョヒョヒョ。面白い。そうでなくてはつまらない」


ライアンの『実影操作』の特殊能力は自分の影を操る能力だ。

しかも攻撃の時だけ実体化するので影はほぼ無敵と言っても過言でない。

弓使いタックの『物質増殖』に似ているが『実影操作』が操れるのは自分の影のみ。

それでもタックの特殊能力に引けをとらない特殊能力と言えるだろう。


「強がるのもそれくらいにしておけよ。お前が優勝候補だからと言って今回も勝てる保証はないのだからな」

「キョヒョヒョヒョ。なら、それを証明してみせろ」


ジーザスは気持ちの悪い笑みを浮かべてライアンを挑発する。

その様子からみてもジーザスにはよほど余裕があるのだろう。

ライアンに「どうぞ切ってください」と言わんばかりに両手を広げて構えている。

その態度はライアンの動揺を誘おうとするためのジーザスの作戦なのか。

ライアンは先ほどまでの冷静さを失って奥歯をキツク噛み締める。


「この野郎、舐めやがって!」


ライアンは高く飛び上がりジーザスに向かって切りかかる。

それは『一刀両断』と『連撃』の合わせ技で、そこに『実影操作』が加わった必殺の攻撃。

二人のライアンの斬撃がジーザスに襲いかかる。

前後を挟まれたジーザスに逃げ道はない。

しかし、ジーザスは回避行動もせずに大鎌を構える。

そして、その場で舞うが如く大鎌を振り回しながら一回転するとライアンが吹き飛ばされた。


「そんな……」


ライアンの体に十字の傷が刻まれて鮮血が飛び散る。


「グハッ」


ライアンはそのままステージの上に投げ出された。


「今の攻撃は見えたか?」

「はぁ?そんなもの見ているかよ」


エレンはかったるそうにしながら俺の質問をスル―する。


「私はかろうじてですが見えましたわ。あの方はライアンさんの攻撃を打ち返しつつ斬撃を加えました。自分の体を高速で回転させることで発生する遠心力を利用したのです」


だから見えなかったのか。

セリーヌでかろうじて見えるぐらいだから俺に見えないのも無理はない。

俺の目にはただライアンが吹き飛ばされたようにしか見えなかったのだらか。

しかし、あのジーザスって奴は想像以上に強い。

あいつが決勝戦へ勝ち上がって来るならば優勝の行方もわからなくなるだろう。

ジーザスの戦い方を調査する上でも、この試合は見逃せないな。


「おい、エレン。この試合をしっかりと見ておけよ。あのジーザスって奴は必ず決勝戦へ進むぞ」

「はぁ?私には関係ない。それよりもちょっと風にあたって来る」

「おい、エレン。何を勝手なことを言っているんだ」


俺の制止を振り切ってエレンは虚ろ気な表情でひとり席を立った。


「あいつは何を考えているんだ。自分がトーナメント戦に出てるのを忘れているのか。優勝賞金がかかっているんだぞ」

「まあ、そんなに興奮しないでください、カイトさん。エレンさんもわかっていますわ」

「セリーヌは呑気でいいよな。俺はあいつが負けるんじゃいかと心配しているんだぞ」

「エレンさんなら大丈夫です。それよりも試合の続きを見ましょう」


セリーヌの自信がどこから来るのかはわからないが、俺は不安でしょうがない。

こんな戦いを目の前にしたら余計に心配になって来る。

ジーザスは倒れているライアンに向かって歩いて行く。

そして大鎌を振り上げると柄でライアンの傷口を突いた。


「ぐわぁぁぁぁ!」


会場にライアンのけたたましい悲鳴が鳴り響く。

その悲鳴に興奮しながらジーザスは不気味な笑みを浮かべる。


「キョヒョヒョヒョ。なんて爽快な悲鳴なんだ。もっと私を楽しませてくれ」


ジーザスは大鎌の柄でライアンの傷口を抉り取る。

その度にライアンの地を裂くような悲鳴が鳴り響いた。


「これじゃあ拷問じゃないか。審判は止めさせないのか?」

「まだ、ライアンさんは死んでいませんから試合は継続中なのですわ」

「それにしたってよ。これじゃあ試合とは言わないだろう」

「ライアンさんが白旗を挙げるまで続きますわ」


ジーザスの行動に観客席からも悲鳴交じりの叫び声が鳴り響く。

見ているこっちでさえ嗚咽を覚えそうな凄惨な光景に目を塞ぎたくなる。

ライアンの血はステージ上に溢れ出して血の海を作っている。

その中でひとり不気味な笑みを浮かべてライアンをなぶりものにする、ジーザス。

その光景は死人に纏わりつく死神そのものだ。


「こんなのってありかよ」

「それがコロセウムですわ」


俺が思っていた以上にコロセウムとは非情な場所のようだ。

ただ単に戦士達が集まって試合をするところではない。

ルールを逸脱しなければ殺し合いも許される場所なのだ。

頂点に立つ者には越えなければならない壁がある。

それがどんなに険しかろうが非情だろうが関係ない。

強者には、その強さをを裏付ける確固たる背景があるのだ。

俺達はジーザスの非情な行動を目の当りにしながら試合の観戦を続けた。





その頃、エレンはひとりコロセウムを出て街を彷徨っていた。

ふ抜けた顔をしながら酒を探し回る。

少しでもアルコールを体に入れないと気が狂ってしまいそうになっている。


「酒……酒はないか」


傍から見たら今のエレンは腐ったゾンビのようだ。

おぼつかな足取りで顔に生気も宿っていない。

ただ目の前に浮かぶのは酒の幻。

それを仰ぐようにしきりに手を翳している。


「酒……酒をくれ」


今にも崩れそうなエレンに手を差し伸べた男がいた。

男は豊かな髭を蓄えた30代ぐらいの赤茶髪の男性。

エレンを抱きかかえるように起こすと尋ねて来た。


「酒が飲みたいのか?」

「そうだ……酒をくれ」

「わかった。いい酒場を紹介してやる」


髭の男はもたれかかるエレンを連れて裏路地へ足を向ける。

裏路地は日当たりが悪くジメッと湿気っている。

人通りはなく痩せこけた野良犬がゴミを漁っていた。


「おい、こっちは酒場じゃないだろう?」

「安心しろ。酒場はこの先にある。馴染の客しか入れない隠れ家だから普通の客は来ない。俺といれば顔パスで入れるぞ」


髭の男の案内で裏路地の地下へ降りると、こじんまりとした酒場があった。

酒場の入口には黒服の男が2人立っていて人定めをしている。

酒場で雇っているボディーガードらしく2人とも屈強な体つきをしていた。

髭の男は黒服の男達に軽く挨拶をすませるとエレンを連れて酒場の中へ入って行った。


「俺と彼女にいつものやつを頼む」

「……」


酒場のマスターはエレンをギロリと睨みつけて無言で酒の用意をする。

そしてグラスに並々の酒を注ぐと髭の男とエレンの前に差し出した。

それを見てすぐさまエレンははぎ取るようにグラスを掴み一気に酒を飲み干す。


「ぷはー。生きかえる。おやじ、もっとよこせ」

「……」


酒場のマスターは空になったエレンのグラスに並々と酒を注ぐ。

するとエレンは再び一気に酒を飲み干した。


「ぷはー。これだよこれ。やっぱ酒はこうじゃなきゃな」


すっかり上機嫌になったエレンは髭の男に肩を回して話かける。


「お前はいい奴だな。気に入ったよ。私はエレンだ」

「俺はアブダル。商人をやっている」

「商人か。どおりで金回りがいいんだな」


アブダルはグラスを傾けて酒の中の氷を揺らす。


「気に入ってくれたのなら、嬉しいよ。思う存分、飲んでくれ」

「やけに気前がいいじゃないか?」

「臨時収入があったのさ」

「商人ともなると違うんだな。私は仲間と冒険をしているがいつも懐が寂しよ」

「仲間がいるのか……」


エレンの言葉を聞いてアブダルの顔が少し曇る。


「どうした?」

「いや、何でもない。気にせず飲んでくれ。俺はトイレに行って来る」


アブダルは席を外してひとりトイレに向かった。

すると、酒場にいた他の客も立ち上がりアブダルの後を追う。

エレンはそんなことも気にせずに久しぶりの酒を満喫するのだった。


「おい、オヤジ。そっちの酒も頼む」

「……」


エレンはカウンターの後ろの棚に飾ってあった高級そうな酒を注文した。

酒場のマスターは少し怪訝そうな顔を浮かべながらエレンに酒を作る。

エレンの注文した酒はブランド物の酒で献上品にもなっている高級品だ。

普通に頼めば一杯あたり銀貨1枚はするだろう。

それを惜しみもなく浴びるように飲むエレンは酒場のマスターの目に好奇に映ったのだろう。

いくら自分がお代を払わないからと言っても遠慮がない。

と言うよりも、おばさんの中に遠慮の文字はないのだろう。


酒を飲みはじめてからどれくらい経ったのだろうか。

エレンはいつものようにすっかりと出来上がっていた。


「おぃ、おやぁじぃ。そぉっちのもよこせぇ」

「……」


酒場のマスターも慣れて来たのか嫌な顔ひとつせずにエレンの注文に応える。


「ぷはー。こいぅつも、うめぇや……ヒクッ」


エレンはカウンターに突っ伏してグラスを傾けながら氷を転がす。


「なぁんらか、眠くぅなって来たぁなぁ……ヒクッ。おやぁすみぃ……」


だんだんと重たくなる瞼に逆らえずにエレンはそのまま眠ってしまった。

酒場のマスターはエレンの体を揺すって眠っているのか確かめる。

そして他の客に合図を送るとアブダルが席に戻って来た。


「眠ったようだな。例の所へ運び出せ」

「この大剣はどうしますか?」

「金になるだろう。そいつも持って行け」

「畏まりました、親分」

「その呼び名は止めろと言ったろう」

「申訳ございません」


客に扮していたアブダルの仲間達がエレンを抱えて酒場の外へ運んで行く。

アブダルは懐から金貨を取り出すと酒場のマスターに渡した。


「また、頼んだぞ」

「いつでも歓迎しますよ」


酒場のマスターはニヤリと笑みを浮かべて金貨を握りしめた。





コロセウムのトーナメント戦第三試合は続いていた。

ライアンは白旗を挙げることなくジーザスの拷問から逃れた。

それはライアンの意地が優ったからだろう。

しかし、傷口は深く、体中鮮血で染まっていた。


「これほどの力の差があるなんて」

「キョヒョヒョヒョ。それでお終いか?。もっと私を楽しませてくれ」

「『実影操作』も『一刀両断』も通用しないのでは手の打ちようがない。しかし、ここで負ける訳には行かない」


ライアンはよろけながら剣を構えて切っ先をジーザスに向ける。

ライアンがここまで覚悟を決めているのには理由があった。

ライアンが16歳で『実影操作』を開花させてから、すぐにゴルドランド騎士団に入団した。

攻撃系の特殊能力のため、みるみるうちに頭角を表して行き騎士団長の座まで登りつめた。

そして西方遠征に向かった先で事件は起こる。

ライアンが指揮していた部隊がモンスターの襲撃を受けたのだ。

普段はその場所に生息していないモンスターだったので事前に情報も集められなかった。

そのことが仇となって部隊が壊滅状態にまで陥ってしまったと言う。

ライアンは責任を問われて自らゴルドランド騎士団を除隊する道を選んだ。

その選択は自らを敗者と認めた証でもある。

ライアンには拭えぬ汚名が残ったのだった。

後でわかったことだがライアンは他の騎士にハメられたらしい。

部隊を襲撃したモンスターは他の場所から召喚されたらしく痕跡が残っていた。

ライアンはコロセウムに出場して優勝を勝ちとることで自らの汚名を返上しようとしているのだ。

だからこそ、負けられない。

覚悟だけは他の誰よりも優っていた。


「俺は負けられない!行くぞ!」


ライアンは痛む体に鞭を売ってジーザスに立ち向かう。

体を動かす度に鮮血が溢れ出して来るが、それをも覇気と変える。

剣に覇気を纏わりつかせて一撃の威力を高めて行く。

同時に『実影操作』で自分の影を実体化させてジーザスを挟み撃ちにする。

放つは『一刀両断』の『連撃』。

既にかわされている技だが今のライアンの太刀筋はそれ以上に高まっていた。

それを証明するかのようにライアンの一撃がジーザスを掠めた。


「キョヒョヒョヒョ。そうだ。そうでなくては面白くない」


ジーザスの服は裂かれて青白い痩せこけた体が見え隠れする。

寸のところで攻撃を受け止めたので傷口は浅い。

それでもライアンには大きな一撃となった。


「ちくしょう。あともう少しだったのに……グハッ」


興奮状態から覚めたライアンの体に激痛が走る。

傷口が大きく開き流れるように鮮血が溢れ出て来た。

戦闘体制に入っている時は意識を集中させていたので痛みなどなかった。

だが、それが解けたことで一気に痛みが襲って来たのだ。

その上、無理をして体を動かしたから余計に傷口が広がった。

もう、ライアンに戦うだけの力は残っていない。

そればかりか立っていることがやっとの状態なのだ。


「これは勝負あったな」

「もう、ライアンさんは戦えませんわ」


すると、ジーザスがライアンのところに近づいて行って大鎌で膝を折る。


「何をするつもりだ、あいつ」


倒れたライアンを仰向けにしてジーザスは大鎌の柄でライアンの傷口を広げる。

その度にライアンの悲痛なうめき声がコロセウムの会場を包んだ。

ジーザスはそのうめき声に興奮しながら、さらにライアンをなぶりものにする。

観客席からはどよめきと悲鳴が交わり異様な雰囲気に包まれはじめる。

見かねた司会者は強引に試合終了の合図を告げた。


「試合終了です!トーナメント戦第三試合の勝者は首狩りのジーザス!」


司会者の合図で係員達がステージ上に登る。

そして今だ攻撃を続けているジーザスを抑えこんでライアンから引き離した。

ライアンはすぐさまタンカーに乗せられて医療センターへ運び込まれる。

すぐに治療が施されたので何とか一命はとりとめた。

それでも完全に回復するまでに数日を要するだろう。

俺が思っている以上にコロセウムは恐ろしいところなのだと知る試合になったのだった。


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