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おばさんクエスト~あるあるだらけの冒険記~  作者: ぱんちゅう
第一章 邪魔するおばさん編
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あるある009 「ひとの期待を踏みにじりがち」

エレン達はちょうど9時にボロ屋から出て来た。

時間を守るのはいいことだが、身支度に3時間は頂けない。

今後のことを考えても、もっと短縮してもらう必要があるようだ。


「待たせたな、カイト」

「おはようございます、カイトさん」

「で、これからどこへ行くの?」

「まずはギルドだ。ギルドへ行って情報を集める」


セントルースのギルドへ行くのは、これで2回目になる。

1度目は嫌味なトニーのせいで散々な目に合った。

しかし、あれからだいぶ日も開いている。

既にセントルース騎士団学校の卒業生たちは旅立っている。

エレン達といっしょに行っても問題ないだろう。

予想していた通りギルドに入ると見知らぬ冒険者ばかりだった。

俺達はギルドへ入るとさっそくクエストが掲載されている掲示板に足を向けた。


「けっこういろいろあるな」


掲示板にはモンスター討伐のクエストをはじめダンジョン探索のクエストや行商人の護衛などのクエストが掲載されていた。

まずは何といってもモンスター討伐のクエストからだよな。

ダンジョン探索のクエストなどはある程度経験を積んだ者でないと難しい。

行商人の護衛に至っては行商人達が護衛の冒険者達を審査するのだ。

まあ、初心者に護衛を任せて全滅でもした日には取り返しがつかなくなるからな。


「暴れ猿にサーベルタイガー、アンデットに死霊か。どれも強そうなモンスターばかりだな」


すると、エレンが掲載されていた張り紙を持ってやって来た。


「おい、カイト。これにしようぜ」

「何のクエストだ?」

「ガーゴイルの討伐だ。報酬は銀貨1枚だぞ」

「そんなのは却下だ。初心者向けのモンスターじゃない」


しけた顔を浮かべているエレンを追いやって別のクエストを探す。

そこへアンナが別のクエストを持ってやって来た。


「ねえねえ、これいいんじゃない?」

「どれどれ……マッドゴーレムの討伐だと!そんなのはダメだ!」

「報酬も銀貨1枚だし手頃だと思うんだけどな」


こいつらは何を考えているんだ。

俺達は冒険初心者なんだぞ。

初心者は初心者にあったクエストじゃなければいけないんだ。

いきなり強めのモンスターを討伐に行って逆に狩られたら元もこうもない。


「なら、カイトはどんなクエストにするつもりだ?」

「そうだな……」


俺はクエストの報酬を見ながら手頃なクエストを選ぶ。


「こいつだ!」

「ゴブリンだと?そんなちっぽけなモンスターでいいのか?」

「初心者はこのくらいがちょうどいいんだ」


報酬も銅貨1枚で初心者向けだ。

ゴブリンは群れで行動するから数を倒せば稼げる。

こっちは5人もいるんだ。

ひとり3匹倒しても銅貨15枚にもなる。

これだけ稼げれば上々と言うものだ。


「クエストはひとつでよろしいのですか?」

「いいや。午後の分も選んどかなければならない」


ゴブリン討伐にはそれほど時間はかからないだろうから他のクエストも選んでおこう。

手頃そうなのは”ビックマウスの討伐”だろうか。


「ビックマウスですか?」

「いやー!ネズミを相手にするつもり」


アンナは嫌そうな顔をしながらクエストの張り紙を押し返す。


「私はネズミが大嫌いなのよ。汚いし、ジメジメしたところにいるし」

「仕方ないだろう。これくらいしか手頃なクエストがないんだから」

「ビックマウスと言うとセントルースの地下通路に行くんだよな?」

「そうだ。ビックマウスはセントルースの地下通路にいる」

「そうか」


ミゼルは意味ありげな表情を浮かべて俯いた。


「どうした、ミゼル。地下通路に何かあるのか?」

「噂によるとアーテム教の祭壇があるらしいんだ」


アーテム教と言えば邪教徒として名高い非情な宗教だ。

今でも生け贄の儀式を行っているらしく毎年、街の若い娘がいなくなるそうだ。

それに加えて人間の血肉を啜るとさえ言われている。

ラビトリス王国ではアーテム教を受け入れてはおらず摘発しては潰していると言う。


「気持ち悪いですわね」

「セントルースの地下にそんなものがあるなんてな」

「まあ、行ってみればわかるさ」

「カイトは怖くないの?」

「怖いも何も俺達は冒険者なんだ。そこにモンスターがいれば討伐するだけだ」

「単純でいいな、カイトは」


心配しているおばさん達をよそに俺はクエストを受けに受付へ向かった。

受付の承認は簡単な手続きで終わる。

ギルド側が用意したクエストの承認書に押印をするだけ。

後はモンスターを討伐して魔石を持って帰れば、それが証明となって報酬を頂ける仕組みだ。

クエストに掲載されている報酬はモンスター1対当たりの報酬だ。

なのでたくさん倒せば倒すほど報酬は増えるのだ。

俺は受付を済ませるとエレン達の所へ戻った。


「それじゃあ行くぞ」

「仕方がいない。付き合ってやるか」

「ゴブリンはどこにいるんだ?」

「セントルースの南のサイネの森だ」


サイネの森までは徒歩で20分ほどだ。

以前、セントルース騎士団学校の実施訓練で行ったことがある。

その時はゴブリンには出会わなかったけれど大量のスライムがいた。

スライムはゴブリンよりも非力なモンスターで誰でも倒せる。

行商人達もスライムに襲われた時は自分達で戦って対処するくらい。

なのでギルドのクエストには掲載されない。

わざわざ報酬をかけて倒す相手でもないからだ。


「前に着た時はスライムに会ったけれど、スライムが出たら無視しよう」


無駄な体力を使う必要もない。


「それはいいが、カイト。お前、戦えるんだよな?」

「もちろんだ」

「なら、デッドウルフに会った時のざまはしないってことだな」

「何よ、その話?」


エレンの言葉につぶさに反応を示すアンナ。

目を輝かせながらエレンに詰め寄る。


「カイトとはじめて会った時、カイトはデッドウルフに襲われていたんだ。小剣を構えて今にも戦いがはじまりそうな雰囲気だった。しかし、カイトは何を思ったのか棒切れを拾って放り投げたのさ」

「それってデットウルフを犬扱いしたってこと?」

「そう言うことだ。そうしたら余計にデッドウルフを怒らせてな。結局、私が変わりに倒したんだ」

「無様だな」

「あ、あの時は仕方なかったんだよ。何せデッドウルフが3匹もいたんだからな」


呆れた様子で俺を見やるアンナの視線は冷たい。

俺だってエレンが手を出さなかったらデッドウルフぐらい討伐したさ。

だけど、エレンが先に手を出すからいけないんだ。


「カイトさんは冒険をするのがはじめてなのですし、いいじゃありませんか」

「今度は大丈夫だ。ちゃんと討伐してやるさ」


デッドウルフにくらべたらゴブリンは小物だ。

鋭い牙もないし爪もない。

ただ、武器を使う点だけは注意しなければならない。

ゴブリンはモンスターのくせに武器を使うのだ。

もちろんその武器は冒険者達から奪ったもの。

自分達で武器を造るだけの技術は持っていないのだ。

それとすぐに仲間を呼ぶことにも注意する必要がある。

ゴブリンは自分でも非力と思っているらしく仲間を集めて行動する。

普段は4、5匹ぐらいのグループに分かれて行動しているのだが、その近くには他のグループもいる。

なのでゴブリンを1匹見掛けたら30匹はいると考えた方がいいのだ。





20分も歩くとサイネの森の前まで来た。

森の大きさはセントルースの街の3倍はある。

奥に行けば行くほど強いモンスターが出るので森の手前までにしておく。

恐らくゴブリンもその辺りで活動しているはずだ。


「それじゃあ中に入るぞ」

「カイト、緊張してるのか。声が裏返っているぞ」

「そんな訳あるものか!」


全く、おばさんと言う生き物は余計なことを指摘して来る。

はじめてなんだしちょっとくらい緊張してもいいじゃないか。

俺の神経はおばさんほど図太くないのだから。

俺は忍び足でサイネの森の中へ入って行く。

その後を追うようにエレン達が続く。

しかし、緊張感の欠片もなくおしゃべりしながらついて来る。


「おい、お前ら。静かにしろ!ゴブリンに気づかれるじゃないか!」

「その方が都合がいいだろう。どうせ倒すんだし」

「何を言っているんだ。戦いは先手をとるのが重要なんだ。ゴブリンに先手をとられたらどうするつもりだ!」

「どうもこうもって倒すだけだよ」


だー。

何もわかっていない。

戦いの基本は先手をとること。

それだけで勝機がぐんと上がるのだ。

そんなことセントルース騎士団学校の生徒ならば当たり前のように心得ている。

おばさん達は長い旅のせいで、そのことを忘れているようだ。


「カイトは教科書通りだな。それじゃあ実戦で使えないぞ」


そんなことはない。

セントルース騎士団学校で教わったのだ。

実施訓練でも、それで功績を上げて来た。

俺が学んで来たことが全てだ。

そんなことを考えていると目の前にゴブリンが現れた。

ゴブリンは全部で3匹。

棍棒を持ったゴブリンが2匹と弓を持ったゴブリンが一匹。

数ではこちらの方が上回っている。

俺は小剣を静かに引き抜いて構えた。


「ゴブリンは3匹だ。まず、俺が仕掛けるからエレンはサイドから回り込んでくれ。そしてアンナ達は後方支援を頼む」

「何をちゃっちいことを言ってるんだよ。こんな奴らっ」


エレンは大剣を掲げながら飛び上がるとゴブリン達を一刀両断にした。


「さすがはエレン」

「私達が手を出すでもないわね」

「だー!何をしてくれるんだエレン。何で俺の作戦通り行動しないんだ!これじゃあ戦いの意味がないじゃないか!」

「何が戦いの意味だよ。ビビッて震えていたじゃないか」

「モンスター討伐ってのはな、仲間と知恵を出し合って協力しながら倒すことに醍醐味があるんだ。一撃で倒したんじゃ面白味も何もないじゃないか!」

「相手が弱すぎるのよ」


ダメだ。

おばさん達には何を言っても無駄のようだ。

所詮おばさん達にとってはモンスターはただのモンスターなのだろう。

倒してなんぼと言いたげのようだ。

だが、それではモンスター討伐の意味がない。

やはり俺の選択が間違いだったのだろうか。

おばさん達を仲間にしたことが運のつきなのかもしれない。

ゴブリン達は仲間を呼ぶことはなく魔石へと姿を変えた。


「また、パープルが3つか。しけてやがるぜ」

「仕方ないわよ。だってゴブリンなんだもの」


エレンもアンナもしけた顔を浮かべながら俺を見やる。


「それじゃあ森を出てからお昼にしましょう」

「そうだな。途中に会った原っぱへ行こう」


ひとり腕を投げ出して項垂れている俺をよそにエレン達はさっさと森を出て行く。

こんな冒険が続くのであれば俺はずっとレベルを上げられそうにもない。

俺が手を出す前にエレン達に狩られてしまうのだから。

これじゃあダメだ。

リーダーは俺なんだ。

エレン達には俺の作戦に従ってもらおう。

それしかない。


「おい、カイト。置いて行くぞ」


エレンに催促されて俺は森を出て行ったのだった。





セントルースの街が見える丘の上。

セリーヌが予め用意していたお昼のサンドイッチを食べる。

まがっても手作りではない。

朝の身支度に3時間も費やすおばさん達に料理をする時間などない。

出掛ける前にセントルースのパン屋で調達したのだ。


「よーし、お前ら。作戦会議をするぞ」

「何だよ、急に立ち上がって」

「お前らが勝手な行動をするから作戦を立てるんだ」

「作戦なんてかったるい」

「用は倒せばいいのだから好き好きにやればいいじゃない」


呆れた顔をしながら最もなことを言って来るアンナ。

結論から言えばアンナの言う通りだ。

しかし、結論に至るまでの過程が重要なんだ。

俺はおばさん達に冒険の醍醐味を教え込む。


「それがダメなんだよ。モンスター討伐ってのはみんなが知恵を出し合って作戦を立てて。そして協力してモンスターを倒すってところに意味があるんだ。自分勝手に行動していたら意味はないんだ」

「作戦を立てるほどの敵なのか?」

「敵が強いか弱いかなんて関係ない。用は力を合わせる気があるかないかの問題だ」


俺の力説にもおばさん達は興味なさそうな顔でサンドイッチをパクつく。


「お前達に欠けているのは協調性だ。いつも自分勝手なことばかりしているからバラバラなんだ」

「それは少しありますかもね」

「何言っているんだよセリーヌ。私達のどこに協調性がないって言うんだ?」

「あなたのことを言っているのよ、エレン。いつも自分勝手な行動をして。尻拭いをさせられる私達の身にもなりなさいよ」

「ケンカを売っているのか、アンナ」

「やる気?」


エレンとアンナのお互いの胸ぐらを掴みあげる。

すると横で様子を見ていたミゼルが呆れた様子でボソリと呟いた。


「お前達のそう言うところが協調性がないと言うんだ」

「エレンといっしょにしないでよ」


アンナはエレンから手を放すと服の襟を正す。


「それでどのような作戦を考えているのですか、カイトさん」

「ビックマウスってのは3メートルほどある大きなモンスターだ。その上、群れで行動するから注意しないといけない。まず、ビックマウスを見つけたら俺とエレンで注意を惹きつける。その間にミゼルとが後方支援をしつつ、アンナが魔法でとどめを刺すんだ」

「私は行かないって言ったでしょ!」

「それじゃあ誰がとどめを刺すんだよ」

「そんなの知らないわ。カイトが勝手に立てた作戦なんだから自分で考えてよ」


アンナはプンプン怒りながら顔を背けてそっぽを向く。

全く注意している傍から自分勝手なことを言うなんて、さすがおばさんだ。

けれど、とどめを刺す者がいないとなると作戦自体を考え直さないといけない。

破壊力のあるエレンでとどめを刺すのがいいが、俺ひとりでビックマウスの注意を惹きつけるなんて、ちょっと無理がある。

ならばミゼルにけん制攻撃をさせて注意を惹きつつ、俺とエレンでとどめを刺すってのはどうだろう。

これならばイケそうだ。


「よし、作戦変更だ。まずミゼルでけん制攻撃をしつつ……」

「話の途中ですみません。カイトさん、私は何をすればいいのでしょうか?」

「セリーヌは俺達が怪我をしたら治癒してくれればいい。プリ―ストなんだから後方で待機だ」

「待機ですか……」


セリーヌはガックリと肩を落としながらつまらなそうな顔をする。

するとミゼルが俺の発言に反論して来た。


「カイトはまったくわかっていないようだな。プリ―ストってのは回復魔法だけしか使えないんじゃない。攻撃補助魔法や防御魔法も使えるのだぞ。そんなセリーヌを攻撃から外すなんて普通はありえないことだ」

「……」


返す言葉が見つからない。

確かに俺はミゼルの指摘するようにプリ―ストは回復魔法しか使えないと思っていた。

セントルース騎士団学校で魔法の授業もあったが、俺は勇者志望なのでサボってばかりいた。

なので魔法に関する知識はほとんどない。

魔法使いとプリ―ストと言う職業があるってことぐらいしか知らないのだ。


「まあ、あれだ。ビックマウスを倒すのにセリーヌの力を借りるまでもないと思ったんだ」

「ウソつけ」


アンナがつぶさにツッコミを入れいる。


「とりあえずだ。ミゼルでけん制攻撃をしつつ、俺とエレンでとどめを刺す。作戦はこれで決まりだ」

「そう上手く行くかね」


ミゼルは興味なさそうにサンドイッチをパクつきながらボソリとこぼした。

隣でエレンはひとりいびきを掻きながら眠っていた。





セントルースの街の西側にある地下通路の前。

入り口は鉄格子で覆われていて鍵がかかっている。

3メートルほどの川幅のある下水道からは生活排水が流れ出ている。

なので異臭が辺りに漂っていた。


「くっせーな。こんな所を行くのかよ」

「仕方ないだろ。ビックマウスはこの先にいるんだからな」


俺が地下通路の鍵を開けていると離れた所からアンナが叫んだ。


「私はここで待っているから」


全く勝手な奴だ。

ネズミ嫌いと言うのも、ここを入りたくない口実だろう。

俺だってこんな臭い所は行きたくはない。

しかし、ビックマウスがいるんだ。

俺達がやらなければ他の奴に奪われるだけだ。


「それじゃあ行くぞ」


俺はランプを掲げながら地下通路の中に入って行く。

後に続くようにエレン、ミゼル、セリーヌと並ぶ

地下通路の幅は2メートルほどでひとりずつしか通れない。

なのでランプを持っている俺が必然的に先頭になったのだ。


「しかし、臭いな。鼻が捥げそうだ」


俺はひとりズンズンと前へ進んで行く。

中はジメッとしていて小さなネズミがあちらこちらに身を隠している。

このくらいのネズミならば何も問題はないが、ビックマウスともなるとそうは言っていらない。

人を襲う危険もあるし、何よりその巨体で下水道を止めてしまう恐れもあるのだ。

なのでギルドにもビックマウス討伐のクエストが常時掲載されているのだ。


「静かだな……って、だああああああああー!お前らそんなところで何をやっているんだ!」


後を振り返ると地下通路の入口でエレン達がニタニタ笑っていた。


「カイトがひとりで張り切っているから、ちょっと遊んでやったんだ」

「遊んでやっただと!俺が気づかなかったらどうするつもりだったんだ!」

「どうもしないさ。カイトがひとりでビックマウスを倒しに行っただろう」


ミゼルはしらけ顔でさらりと言う。

こいつら、人をコケにしやがって。

寝込みを襲って顔に落書きでもしてやろうか。


「まあ、落ち着け、カイト。ビックマウスを狩りに行くんだろ。早く行こうぜ」


エレン達は何事もなかったかのように地下通路を進んで行く。


「くぅー。腹立つ」

「おい、カイト。置いて行くぞ」


俺はグラグラ湧き立つ怒りを抑えてエレン達を追い駆けた。


地下通路に入ってから10分もしないうちにビックマウスと出会う。

ビックマウスは1匹だけで他の仲間は見当たらない。

仲間を呼ばれる前に倒してしまおう。


「よし、お前ら。ビックマウスを倒すぞ。まずはミゼルからだ。けん制攻撃をしかけて……」


俺がミゼルに指示を出している傍からエレンが大剣を掲げてビックマウスに切りかかる。

そしてサクリと一刀両断にして見せた。


「だああああああああー!エレン。何をしてくれたんだ。ビックマウスが真っ二つじゃないかああああああああ!」

「一丁あがりっと」


エレンは何事もなかったかのように姿を変えたビックマウスの魔石を拾う。


「こいつもパープルか。これじゃあ酒代にもならねえ」

「俺の作戦が……」


俺は膝を折って両手を地面に投げ出した。

こいつらとことん俺の作戦を無視しやがって。

これじゃあモンスター討伐の醍醐味も何もないじゃないか。

グレてやる。


こうして俺のはじめてのモンスター討伐は終わったのだった。


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