金次郎の契約確認
<金次郎>
「いやー、本当にびっくりしたよ。そっくりで」
「その女の子がかい」
「うん。佳夏って言うんだ。あの子の家族だったりして」
細い手足も、好奇心に満ちたまんまるの目も、大きな口をあけて笑うその仕草も、ボクが会いたいあの子に、うりふたつだ。
「会いたい気持ちが似させてるのかもしれないぞ」
管理人は痛いところをつく。
確かにそんな都合のいい話があるわけない。ボクのおぼろげな記憶の中で生きてるあの子の姿、目の前に現れた女の子に重ねてしまっただけかもしれない。実際はちっとも似ていないのに、いい子だったから似てると思い込みたいだけかもしれない。
「そうだね。でも、すごくいい子だった。十二歳、少年と同じ年だ。きっと日本での楽しい思い出が作れると思う。それに、ボクは金次郎の石像だっていったら信じてくれたんだ」
「君の話を信じてくれたのか」
「ああ」
「ただ、人間としてのボクが全然金次郎って感じじゃないので、二宮くんと呼ばれることになった」
「二宮くん」
「うん。それはそれでなんか嬉しかった」
「そうか。くれぐれも時間に遅れないように。体を借りる時間は9時以降ならいつでもいいけど、戻る時間は一秒でも遅れたらダメだから。時間が来たら君の魂は石像に、少年の体はニューヨークに戻ってしまうからね。消える瞬間を見られたら大変な騒ぎになるからね。今、いたるところに監視カメラが付いてて、ネットで拡散とかされて全世界に配信されちゃうから。その辺の情報操作、ウチの方じゃ管轄外なんで、なかったことにはできないんで。くれぐれも目立つようなことはしないように。夕焼け小焼けのチャイムはシンデレラの12時の鐘だからね。知ってるだろシンデレラ」
「ああ、聞いたことある。分かったよ、絶対守る」
シンデレラ。絵本を読んでいる子や、お姫様ごっことかいって遊んでいる子を見たことがある。
魔法使いに魔法で舞踏会に行けるようにしてもらう。王子様に見初められたけど、魔法が解ける時間が来てしまい急いで帰る。その途中階段でガラスのクツを落としてしまう。しかし、それがきっかけで王子様と結ばれる。そんな話。
ボクは動く階段、エスカレーターにクツを落として佳夏に会えた。魔法が解けないように注意して行こう。




