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第2章 第1話 最初の冒険

辺りには、びゅうと風が吹いている ━━


トニーは、高い建物の屋上にいる。

最初の冒険に来ていた。


ここは機械文明が高度に発展した大国。

周りには鬱蒼とビル群が茂っている。


この冒険に来る前に、ある程度の道具や知識などの情報は聞いてある。まず手に持っていた鍵。これは『ポータル』と言う扉を開く為のものだ。元の世界と、それぞれの世界や時代を行き来する際に必要となる入口の鍵である。帰る時は、

この鍵をどこかしらの扉の鍵穴に差し込み、その扉をくぐればいい。

もちろん鍵穴がないと使えない。


トニーは背負っていたリュックの荷物確認を終わらせ、

後ろにあった扉から下へ降りた。


『並列世界』という、現実世界とは少し違う、不思議なパラレルワールドに来ている。

これらの世界は、現実世界とどれだけ離れているかを相対的な数字で表されており、1から10まである。1が現実的、

10に近ければ近いほど"とってもファンタジー"という事だ。

今回の並列世界は5。

所々現実離れしているといった感じ。


早速地上に降り立ったトニーは情報を集める為に街を散策する事にした。


「地上」とは言っても、眼下に見下ろす先に雲があるほどの高い場所にある。本当の地上は、大昔に人間が出した廃棄物などが地面を覆い、辺りから湧き上がってくる毒ガスや毒を喰らう生物達の楽園となっている。その為、人類は高いところに避難せざるを得なくなったのだ。


少し歩いていると、大きくひらけた広場に出た。

とても大きなモニターがある。


「そう言えば、着いたらこのチップを頭のどこかに付けろって言われてたんだった」


耳の裏側の目立たないところに付けてみる。


「、、、、、、、とのことです。次のニュースです。」

すごい。知っている言葉に変わった。


これでこの世界の人と会話が出来るようになった。

街を歩き回り、周りの人達の会話に耳を澄ます。


『そうだよね〜、私も思うわそれ』




『お腹すいたなぁ。どこかで食べるか』




『こんにちは』



、、、、、



『おーい』


、、、、、



『聞こえてるんだろーう』


、、、、、



『キミだよー!無視しないでくれよーう』



?!


トニーは服を引っ張られた。


「うわっ!」


見るとそこには小さな丸い球体が浮いていた。

その球体には手のような物も付いている。


「やぁ、、やっと反応してくれた」


「、、君は誰?」


「わたしコール!キミは?」


「えーっと、僕はトニー。よろしく」


「よろしく!ところでキミ、何かお困りで?ずっと辺りを気にしてたみたいだけど」



「、、あぁ、いや、ちょっと、、えっと、、みんなとはぐれちゃったみたいでさ!初めて来たから迷ってたんだ!もう大丈夫!」


「おぉ!旅行客とな!なんとも奇遇!ちょうど良いですねぇ。私この街の観光ガイドとして働いているものでして、この街を案内してあげましょう!」

と言って丸い球体は両手を上に広げて見せた。


「着いてきてください」


「あ、ちょっと!」


トニーは断る間もなく【コール】と名乗る空飛ぶ球体に、ついて行った。

そのまま10分程歩いただろうか。ビルの影になり、最初にポータルを開いた建物がすっかり見えなくなっていた。


「ねぇ、、どこまで行くの?もう疲れたよ、、」


「この当たりでいいでしょう」


「ん?」


人気(ひとけ)の無い、細い路地裏にたどり着いた。


「さぁ、ここまで案内したんだから代金をよこしな!」


【球体】はなんと、手を鋭利な刃物の様に変化させ、ナイフを出してトニーに迫った。


「えっ?!ちょっ!!えぇっ?!」


トニーは尻もちをついた。その上からコールが覆い被さるように乗り、ナイフを突きつけた。


トニーも必死に抵抗する。


「ほらっ!早く出しなよ!傷つきたく無かったら!あんた旅行で来たんだろ?じゃあたくさんお金持ってるじゃん!」


「も、持ってないよ!お金なんて持ってないって!」


「嘘つくな!持ってるだろ!旅行者はみんな持ってる!!」


「、、持ってないってば!、、何度言ったら、、!ねぇ、もう離してよ!」


トニーは【球体】の手を掴む。すると、機械の手が震えているのがわかった。よく聞くと声も震えていた。


「、、ねぇコール、、怯えてるの?」


「?!」


コールの表情は分からないが驚いているのはわかった。


「な、何言ってるんだ!そんな訳ないだろ!」

【球体】は驚いた様に声を荒らげた


「ごめん!怒らせるつもりはないんだ!、、ただコールが、無理にこんな事をしてるんじゃないかって思ってさ」


「、、、」


するとコールは諦めたかのように、手を離した。

「、、、そうさ、、そりゃ本当はこんな事したくないさ!でもこうしなきゃ私達は生きていけないんだよ!」


「なんで、、?」


「それは、、、、、私達が"=0《イコール・ゼロ》"だからよ、、」


コールの説明では、この都市では市民階級が明確に区別されているらしい。

一番高い地位の者が"=Ⅲ《イコール・スリー》"

それなりの暮らしをしている者が"=IIイコール・ツー"

家を持てない者が"=Ⅰ《イコール・ワン》"


そして、


市民権を与えられていない者が、俗称"=0《イコール・ゼロ》"と呼ばれている。


「なんだよそれ、、」

トニーは思わず声が漏れた。


「、、ついてきて、トニー。見せてあげる、この世界の残酷さを。」


トニーは戸惑いながらもコールについて行った。。。

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