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Sidestory:沙織episode Epilogue

 あの日から、基とはほとんど会話を交わしていない。咲良さんがいなくなったことが基にとって、新たなふさぎ込む原因になってしまったのかもしれない。





 基の話を聞いて、ただそばにいただけで私は慰めてあげられなかった。事情を知っている私がこれからは支えなければならなかったはずなのに。やっぱり、私ではだめなのかもしれない。何どもそう思った。けど、立ち止まっていても始まらない。何も変わらない。そんなことは誰よりも自分自身がよく知っている。





 あの日からもう二週間近くたっている。大会の試合も見にきてくれたし、避けられてはいないはず。けど、どうしても基のことが気になって仕方がなかった。





 だから、早朝に私は桜の木がある丘の下。けもの道の手前で基を待っていた。





 あの日から基は変わらず桜の木……いや、咲良さんのもとを訪れている。やっぱりまだ、心の整理はついていないと思うから。何か、言葉をかけてあげたかった。


自己満足かもしれない。けど、何もしないなんて私にはできない。





「基」


「……沙織」





 けもの道を下りできた基と目が合う。基は少し驚いていたようだったが、私が口を開くより先に基から話しかけてきた。





「どうしたんだよ?」





 そう思うのも無理はない。咲良さんのところに行ってきたばかりで、私に話しかけられたくないかもしれない。でも、





「あのね、基」


「ん?」





 言わなきゃならない。ううん、違う。私が言いたい。伝えたい。私はいるって。


咲良さんの気持ちも知っている。咲良さんがどれだけ基のことを考えていたのか、咲良さんが基のためにどうしたかったのか。知っているから、伝えたい。





 私は、桜のようには輝けないかもしれない。ほとんどの人の目に留まることもない、ちっぽけな存在かもしれない。けど、私も咲いていたい。基という、大切な人の隣でずっと咲いていたい。





 基には見てほしい。私を、そして今を。


 今、この大切な時間を基と歩みたい。だから、






「私はずっといるから。基の傍に」





 


 ただ、それだけのことを言っておきたかった。





 私にとっての小さなセカイに基は必要だから。私のきせつが咲いたとき、そこには基と、そして咲良さんの思いがあるはずだから。だから、





「ありがとう。沙織」





 そういって笑う基の純粋な笑顔をもう二度と失いたくない。だから私は笑って見せた。





 


君の笑顔を支えるために――


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