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ダンジョン創世記0001

んっ…ううんっ…何だか…ヤケに寝苦しい、なぁ…そんなことを思いつつ目覚めた俺たのだが…起き抜けにてハッキリしない意識と視界にて辺りを何気なく見回すと…見た事もない部屋の様子がな。

っと、此処はぁ…?


寝ているベッドらしき物は粗末な造りに思え寝心地は最悪だ。

壁っと言うか天井も含め全てが石造り…いや、粗く切り出したようなゴツゴツとした長方形の巨石を歪に組み合わせたと言えば良いだろうか?


「此処は、お約束的に『知らない天井だ』って言った方が良いのか?」などと呟いた俺は、意外と余裕があるのだろうか?

いや、明らかに現実逃避ってヤツだな、これは。


蛍光灯などの照明器具ではなく、対面の壁際へと設置された机の上に置かれた燭台(しょくだい)が唯一の光源となっており、揺ら揺らと揺れる炎に照らされる部屋は薄暗い。

その明かりを頼りに辺りを確認し、自分が置かれた状況の確認を試みる。


先ずは自分が寝ているベッドらしき物体だが…ベッドと言うには(おこ)がましいと言える程に粗末な物だった。

粗い造りの板を組み合わせた箱に詰め物をし、その上に麻布を被せてある。

掛け布として薄手の毛布が1枚。

枕などは存在せず、寝具としては、それだけとなっていた。


取り合えずはベッドから起き上がり、麻布を剥ぐってみると…下から藁が…

「いや…アルプス○少女かってぇーのっ!」

思わず、ぼやいてしまったが…自分が何故、このような状況となったのか…全く思い出せないのだが…


薄暗い部屋自体は総石造りで床も同様の石組みとなっている。

問題なのは、入口となるドアどころか窓1つ無いということだろう。

つまり完全な密室であり、空気を入れ替えるための換気口さえ見当たらない始末…


(まず)いな…」っと、思わず声が漏れてしまう。

このような密室へ何故(なにゆえ)幽閉されているのかは定かでは無いが…この侭では換気不足にて窒息の危険も…


それに飲食物も無い状態でもあり、窒息を免れても餓死などの危険は避けられぬと思われた。

焦って辺りを調べるも脱出できそうな場所は見当たらない。


いや…12畳程度の狭い部屋なのだから、一目瞭然っとも言えるが…

ただ、この部屋を構成する石組みに使われている巨石は明かりを反射する模様、そのために蝋燭のような頼りない光源でも薄闇ながら辺りを確認できているのである。


取り合えず、ベッド周辺から部屋の状態を確認したが収穫は無かった。

逆に嫌な事実としてはだ、自分の衣服が麻布の貫頭衣となっており、肌着や靴下、靴なども身に着けていないことが認識できたことだろうか?


これは、一種の拷問か何かか?

どうして、このような仕打ちを受けているのかは知らないが、明らかに人権侵害と言えよう。

脱出できたら訴えることを心に決めながら確認作業を進めることに。


そうは言っても…後、調べ残しているのは机だけなのだが…


そう思いつつ机へと向かい机上を眺めてみると…羊皮紙?らしき物が1枚ほど置かれているのを見付けた。

現在、唯一の情報源として期待できる代物であろう。


どんな情報でも良い!そんな藁にも(すが)る思いで羊皮紙を手に取り蝋燭の明かりを頼りに読み進めると…


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

【導きの書】


 新たに招いた者よ、この世界へようこそ。


 無断にての召喚となり失礼ではあるが、当方にも色々と事情がある。

 なに、納得して頂く必要などないので安心なさるが良ろしい。

 此方の都合を優先したまでのこと、そちらの都合などは考慮などせぬ故。


 さて、此処へ来て頂いたのはダンジョンマスターとしてダンジョンを造って貰うためだ。

 この世界でのダンジョンと言う位置付けは一言で言えば『人類の敵』となるであろう。


 見付ければ、即座に駆逐すべき存在となっている訳だ。


 そんなダンジョンだが、当方には必要な存在っとなっており担い手が必要な状況である。


 故に、ダンジョンの造り手が必要となる訳だ。

 そう、そなたが、その担い手として選ばれた訳である。

 納得などせずとも決定事項ゆえに強制となるので了承したまえ。


 とは言え、初期のマスター室しか与えられておらぬ現在、何をすれば良いか分からぬであろう。

 故に、今からそれに対しての記載を行おう。


 先ずはダンジョンを造るには力、エネルギーが必要となる。

 これをダヌと言う単位にて管理できるようにダンジョンコアが制御する。

 このダヌは生き物の精気や気力、魔力などを変換して得るダンジョン構築用のエネルギーとなっておる。


 ダンジョンはダンジョン内へと存在する生命体より、それらを吸い上げダヌとする。

 これはダンジョン内へ生き物が存在するだけでも得られるが、それは些細な物。

 それだけでは、とてもではないがダンジョン構築などは行えぬ。


 故に…ダンジョン内にて命を奪う必要が出て来る訳だ。

 そう、ダンジョンを育てるためには生き物を屠る必要があると言えよう。

 このため、ダンジョンは忌み嫌われていると言っても過言ではあるまい。


 ならばダンジョンを育てねば良いなどと考えて侵入者へ屠られぬようにな。

 また食料などはダヌを(もち)いてダンジョンコアより得る以外に道は無い。


 最初に1万ダヌほどは提供しようじゃないかね。

 このダヌを用いてダンジョンを造り生き抜きたまえ。


 ああ、そうそう。

 部屋の空気は常に清浄な物となるように調整してある。

 (ささ)やかたるサービスではあるが、感謝したまえ。


 おおっとぉ、言い忘れる所であったが…そなたの記憶は邪魔と判断した故に消させて頂いた。

 新たなる気持ちでダンジョン経営に邁進したまへ。


 それでは…読み終えたならば、この羊皮紙を放すことをお薦めする。


 なぁ~にぃ、少々燃え上がる程度のこと、炎上に巻き込まれ身罷(みまか)われぬようにな。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


そんな内容が記載されていたのだが…巫山戯てるのか?

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