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私は笛や太鼓の楽しげな音が遠ざかっていく中、木島の背中を追いかけた。

(ってか、足早!?)

走って呼び止めようとも思ったが、何となく気が引けてそこまで出来なかった。

ただただ、数メートルの距離を開けて後ろを歩いた。理由を聞かないと気が済まない、という思いと同時に、もしかしたら、一つの好奇心があったからかもしれない。

この先に何かがあるのかもしれない。

そんな、怖いもの見たさのような気持ちだった。


木島を追いかけて、辿り着いた先にあったのは社の裏に続く新たな階段だった。この社に来る階段とは打って変わり急な山の土砂斜面に木を埋め込んで作ったようなものだった。

それも、辺りが暗くなっていることもあり、数段先は見えず、目の前にそびえ立つ森は怪しさを増していた。

(一歩進むんだ…内藤未菜!!こんな奇妙なこと美味しい話じゃない!!さぁ、進むのよ!)怒りの熱が冷めた胸の片隅にある好奇心を引っ張り出し、一段ずつゆっくりと登って行った。



建物の50階分ぐらい(※個人差によります)を登りきった所だった。

辺りはすっかり森の中といった景色で、かなり暗かった。

そして、その場所に期待した人物は居なかった。もしかしたら、見失ってしまったのかもしれない。それか、暗くて見えていないだけで、何処かこの近くに居るのかもしれない……だとしたら、もうここら辺が潮時だろう。

「…あの…木島さーん…?」

いくら、ここまで追いかけて来たとしても、自分ではかなり弱気である事は分かっていた。何しろこんな蚊の鳴くような声であの木島の事をさん付けで呼んだのだから。

「…き…木島さーん…」

もう一度確認をするためにも、少し大きめに呼びかけた。しかし、返事は返ってこなかった。

(……返事は無し………よし!!帰ろう!!声はかけたけど居なかった!理由は聞きたいけど、クラスは同じことだし、今じゃなくても良い!!このまま帰ってしまおう!)

正直な話、この時点で、この暗くて怪しい森の中に一人で立っているだけで、精一杯だった。

目の前にある不可思議な事(アニメ的展開)に興味を持ったものの、深入りすることはやはり、出来なかったのだ。

頭の中では、冷静な判断と、安心を求めていた。

(さぁ…帰ろう!!アニメ見て、美味しいご飯食べて、何も考えず寝て、明日きちんと木島に聞こう!)

安心しきって、自分が納得いく構成を作り上げ、立ち去ろうとした時だった。

「………っ!?!?」

いきなり、誰かに後ろから抱きつかれたのだ。自分より少し高い身長。首元に回された腕は、自分の腕より太い。

「…内藤未菜」

そして、この変わらない調子の声は紛れもなく木島だった。

「……き…きき、きききききき木島!?」

(何、この少女漫画的、展開!?)

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