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4.冒険者登録AU

杏と華蓮が冒険者ギルドでお金手当に苦労していた時でした。門番のジェィクとマシューのところに、隊長のレスリーが帰ってきました。手には赤い動物の死体を持っています。レスリーは身長2メートルを超え肩幅も大きく毛むくじゃらの白人男性です。片足は義足ですがあれで魔物相手に狩りをやるというのですからたいした物です。


「おう、今帰ったぜ。」

「隊長、お借りなさい。すげぇ、レッドベアじゃないですか。」

「森から迷い出ていてよ。ちょっと、手こずったが、仕留めた。いい運動になったぜ。」

「さすが、レスリー隊長ですね。レッドベアを倒すとは・・」

「何か。変わったことはなかったか。」

「いえ、別に・・今日は暇でさあ。」

「そうか・・ん、血のにおいがするな。これはなんだ?」


 レスリー隊長はテーブル下に隠すように置いてあるホーンラビットの山を見つけます。


「ジェイク、これはなんだ。なぜ、ここにある。」

「え?それは・・・」

「商人が持ってきたものです。レスリー隊長にといってね。」

「そんな訳あるか。商人が毛皮ならいざ知らず、ホーンラビットの死体を持ってくるわけがないだろう。それに、おれが賄賂をうけねぇのは承知しているはずだ。白状しろ。これ剣のさびになりたいのか。」


 そう言って、腰の大剣を数センチほど抜きます。ジェイクは隊長が手拝書の男を一刀両断にしたのを知っています。


「わかりやした。実は門を閉めた直後に娘2人やってきてね。門をたたいて入れてくれというんですよ。」

「そ、その通りです。時間外だからだめだといったら、こいつをくれると言うから・・」


「なるほどな。しかし、おまえら門番が賄賂を受け取ってはいけないというのは知っているよな。おれがそんなの嫌っているのも知っているよな。」

「へぇい。しかし、どうしてもというんでさあ。」

「ウソをつくな。普通は金をだすものだ。ホーンラビットをだすということは金すら無かったはずだ。ここは『始まりの荒野』だ。田舎からでてきた小娘がホーンラビットを狩って来たのだろう。」

「あんまり良い格好をしていなかったな。装備もナイフだけだった。力はありそうだったけど。」

「そいらは、どこへ行った? 返してこい!返してこなかったらぶっ殺すぞ!」

「わかりました。えーと、名前はなんだったかな。」


 腰の剣がまた数センチ抜かれます。


「おれの気の短さは知っているよな。」

「わ、わかりやす。仮通行書を発行しましたから。アン・ノーベルとカレン・ターラントです。」

「まあ、行き先は冒険者ギルドか。行って見るか。おまえらは初心者が泊まりそうな宿をあたれ。絶対に見つけ出すんだぞ。」

「へい!」


 その頃、杏と華蓮は冒険者ギルドの受付にいました。再交渉をしています。相手は、エルフなのに巨乳美人の受付嬢、コリンナ・レインです。


「え?金貨が手に入ったのですか。どうして手に入れたのですか。」と驚いています。

「へへへ、借りたんです。私の色仕掛けで・・・」と華蓮がいます。

「無理でしょ。こちらのお嬢さんならわかりますが。」とジト眼で否定します。

「あんたねぇ!ちょっと、こっちに出てきなさいよ。」と怒る華蓮です。

「まあまあ、僕が借りたのは事実なんだから・・」となだめる杏です。


杏が渡した銀貨を眺めながら受付嬢は言いました。

「えらく綺麗な金貨ですねぇ。」とつぶやく受付嬢です。

(しまった。汚すのを忘れていた。)と冷や汗を流す杏でした。

「まあ、結構です。手続きしましょうか。この名前と得意技を申し込み用紙に書いて頂けますか。」

(ラッキー、ばれなかったみたいだ。)


「・・・」と申し込み用紙を見て固まる杏でした。

(え? に、日本語じゃねぇか。ゲーム仕様だな。)

「文字が書けないならば代筆ますよ。」


用紙をみて固まる杏の様子に、コリンナさんは、文字が書けないと思ったようです。


「いえ・・大丈夫です。名前、職種、武器、得意技ねぇ。」


 何を書こうかと思っているとコリンナさんがいいました。


「そこに書くのは、公開情報です。相手に知らせてもよいことだけで結構です。仕事を斡旋するときの参考情報にしますので、ウソは書かないでください。初心者の方はよくわからないというかたも多いので空欄でも結構です。」

「わかりました。じゃあ、名前だけで・・カレンも書けよ。」

「うん・・」


「へぇ、お嬢さんは、アン・ノーベルというのね。錬金術師というのは、めずらしいわ。」

(いえ、男なんですが・・スカート履いているからなあ。)

「こちらのデカイ図体の女は、カレン・ターラント、剣士ですね。」

「あんた、私にケンカ売っているのかい?!表に出な。」と怒る華蓮です。

「まあまあ、次は何をするんですか?」と杏がなだめます。

「次は鑑定の宝珠に手を置いてください。あなた方のレベル、能力と才能を調べます。同時に魔法のパターンを記録します。」


 エルフさんはテーブルの上に透明な水晶玉を取り出します。どちらからやるかと杏と華蓮が見合った後、華蓮が手を出していいました。

「私からやるわ。」

 華蓮が宝珠に手を添えます。コリンナさんが魔力を少し加えると、透明な宝珠が七色に光り、まぶしいくらいになります。その光にコリンナさんも驚いています。


「すごい!色が次々と変わっています。全属性持ちですよ。しかも、これだけの輝きはみたことがない。すごい魔力保有能力があります。但し、魔力放出があまりできません。魔法剣士か魔法拳士ですね。」


 杏も華蓮もびっくりです。エルフさんの声にみんな注目し始めました。


「次に基礎能力ですが、体力、筋力、俊敏性、器用さの数値が高い。伸びしろがスゴイです。しかも、洞察力、推察力、統率力も高い。これは、将軍の器ですね。王権を持つことも可能な素質です。これは・・お見それしました。」


(勇者のチートな才能が示された!次、僕だな。)


「おい、カレン。すごいじゃないか。」

「え?ウソ・・恥ずかしい。」


 華蓮は赤い顔をしています。エルフ嬢の驚きの声に、周りが反応し始めました。


「おお、ホントかよ。」

「あのコリンナさんが絶賛しているぞ。」

「ひょっとして、どこぞの王家の娘じゃねえか。」

「そう言えばどことなく品があるな。」


 次いで、杏が宝珠に手を乗せます。宝珠が白く輝き、これまた七色に次々と色が変わります。


(キター!僕もチートだぞ。)

「す、すごい才能ですよ。こ、こんなに高いのは見たことが無い。」

「おい、おい。あれを見ろよ。」

「あんな小娘がそんなばかな。」


 みんながびっくりして集まってきました。


「あなたも、全属性持ちです。しかも、無属性の時空魔法の才能あります。すごいです。只、体力や持久力がちょっと平均以下ですね。でも、魔力容量が宮廷魔法師並ですから、魔力補助を使えば問題無いでしょう。」


ドヤ顔の杏です。ところが・・・


「ホントにすごいです。生活魔法でこんな才能を示すなんて、浄化、整理、整頓、料理、炊事と総てに渡って最高レベルですよ。魔法放出の能力も高く、護衛任務にも就けます。最高のメイド、家庭にあっては良妻賢母ですね。女としては最高じゃないですか。」


「あのう・・性別は見えませんか?僕は男なんです。」

「ふぇ?お、お、男?ウソでしょ。こんなにかわいいのに・・ホントに男だわ。」

「えええーーーーえ!」

「男!?まさか。こいつ、スカート履いているぞ。」

「女装が趣味か・・・変態だ。」


 杏の側に居た男が汚いモノを見るような目をしてスーと離れます。


(くそ、履きたくて這いているんじゃないのに・・)


 その時でした。ギルドの入り口の扉が荒々しく開けられ熊のような男が入ってきました。鋭い殺気と威圧感をもって、嵐のような低い声でいいました。


「アン・ノーベルとカレン・ターラントはいるか!!」


「地獄の門番だ!」

「レスリー・ニッシュだぞ。」

「あいつを怒らせるなんて・・おまえら、何をしたんだ。門限破りか?!」


 冒険者達が黙っているのに、いらいらして熊のような男が再び叫びます。


「アン・ノーベルとカレン・ターラントはどこだ。」


「そ、そいつです。」


 華蓮の前にちっちゃな杏が震えながら立ちます。そこは男の子です。華蓮はその後ろでナイフを抜きました。


「ぼ、僕が、アン・ノーベルだ。一体、なんだ!」

「そうか。おまえか!・・・居たぞ!てめぇら、入ってこい。」


 顔をボコボコに殴られて顔を腫らした男が入ってきます。2人は多量のホーンラビットとレッドベアの死体を持っていました。


「おめえら、こいつに間違いねぇな!」

「ふぇい、まぐわいありやせん。」

「お嬢ちゃん達よ。すまなかったな。ホーンラビットを返すぜ。全部で25羽、それにお詫びにレッドベアを付けとくぜ。」

「えー?」と驚く華蓮です。

「レスリーさん、これはどういうことなんですか?」


コリンナさんが受付から出てきてきました。ホーンラビットの死体の山を見て聞きました。この人は冷静です。


「どうやら、こいつらが俺の留守中に、通行料だといって、ホーンラビットをとりあげたらしいんだ。そんなものねぇのによ。本当は通行料も手数料もいらねぇ。何にも知らねぇこいつらをだましたんだ。」

「わかりました。ホーンラビット25羽とレッドベア1頭はギルドで買い上げます。」


 そう言って、今度は杏と華蓮に向いて言いました。


「毛皮は鑑定部門で鑑定してから冒険者カードと一緒に買い上げ金としてお渡しします。それから、アン・ノーベルちょっと来てくれますか?お話があります。」


 不安顔をする杏に、華蓮は心配になりました。


「何ですか?私も行って良いですか。」


「いいですよ。」


 杏と華蓮は受付の奥の部屋に招かれました。そこは、大きな丸テーブルと椅子が10脚ほどあるだけの部屋でした。会議室のようです。杏と華蓮が椅子にすわるとコリンナさんが口を開きました。


「改めて自己紹介します。冒険者ギルド、ブロフ支部の総合案内係、コリンナ・レインです。」

「僕たちは・・・」

「結構です。さっき、見させてもらいましたから。」


 コリンナさんはさっき渡した金貨を取り出して机の上におきました。


「これは返しておきますね。登録費用は、毛皮の代金から引いておきます。」

「え?・・・」

「ノーベルさんは、これから魔術師としてご活躍されることと思いますが、魔法は何でもできますがやってはいけないことが3つあります。それは、命あるものを作ること、時間を戻して因果律を乱すこと、宝石や通貨を作ることです。前の二つは神の領域を侵すことであり、最後は国家の基盤を乱すことです。どれも、親族類縁者を含めて死刑です。絶対に手を出さないでください。」

「はい・・・どうしてわかったのですか。」

「あまりにきれい過ぎるのでちょっとこすってみたんですよ。条痕色といのはご存じですか。案の定、条痕色が違いました。我が国の金貨は実は純金じゃないんですよ。」

「え?!そうなんだ。」

「これはどうやって作ったのですか?」

「【魔素生成】というスキルです。純粋なものしかできないのがネックですけど。形もイメージしないとだめなんです。この逆を行うのが【魔素崩壊】です。ほら・・」


 杏は硬貨を光の粒に変えて見せました。


「すごいですね。なんでもできるのですか。でも、金や銀、宝石はできないことにしておいてください。」

「わかりました。」

「それでは外でお待ちください。」


 杏と華蓮が外に出るとレスリーが心配そうな顔で待っていました。


「何があったんだ。」

「いや、僕のユニークスキルについて注意を受けただけですよ。」

「そんなのがあるのか。まあ、それならば何も聞くまい。ユニークスキルは大切な武器だ。秘匿するものだからな。それと、さっきのお詫びにメシを奢りたいんだがいいか。」

「喜んで!そう言えば腹が減ったなあ。」

「私も!」

「こいつは大食いだけど大丈夫ですか?」

「こら、アン!」

「痛てぇな。また、殴った。」

「ははは、こっちだ。ギルドの食堂で悪いけどな。」


ニコニコで言いました。さっきとはエライ違いです。丸テーブルに座ると早速注文を取りました。もちろん、エールもです。


「いやあ、すまねぇ。白状すると今日はあんまりヒマだったので、夕方から狩りにいったんだ。その隙にこいつらが悪さをしたらしい。給料が少ねぇから金持ちから多少の小遣いをせびっていたのは、知っていたんだ。しかし、貧乏人から取るのはいけねぇ。ましてや、田舎からきたばかりのやつから金をとるなんてとんでもない野郎だ。本当にすまないことをした。謝るよ。」

「いえ、こちらこそ。門限間近だったのは事実ですから・・」

「田舎娘なのに紳士的だな。コリンナが絶賛するわけだ。おまえら田舎から出てきたばかりなんだろう。そんな装備であんだけのホーンラビットをよく仕留められたな。囲まれなかったのか?なかなか強ぇな。」

「はじめは少なかったのですが、最後は2,30羽に囲まれました。」

「ほう、20羽を超えるとそれなりの装備がないと危ねぇ。たまに、田舎から出てた若者の死体が見つかるんだ。何の装備も武器も無しに、『始まりの荒野』にやってきて無謀にもホールラビットに挑戦してな。しかし、良く生きていられたな。」

「最後は3匹のホーンウルフに追いかけられて大変でしたけど。」

「ホーンウルフだと!」

「ええ、ウサギ死体をばらまいて、そいつに気を取られている隙に走って逃げたんですよ。」

「そんなことしたのか!」

「だって、とても敵わないので逃げるしかなくって・・」

「それはいいんだ。問題はそいつらを引き連れて、町に近づけてしまったことさ。まあいい。後で討伐隊を出さないとな。」

「え?・・」

「2,3匹のはぐれだけならいいが、デカい群れだとやばいんだよ。おまえらが見たのは群れの偵察部隊の可能性高い。そいつらにえさをばらまいたんだ。当面、居付くだろうよ。やれやれ、何年なぶりかな。そいつらが寄りつかなきゃ比較的安全な荒野なんだが。」

「すみませんでした。そんなことになるなんて・・」

「いいってことよ。早く発見できただけでもめっけものよ。おめらみたいな初心者はしばらく近づくなよ。南にもホーラビットのいる草原があるからな。」とニンマリと笑いました。

「ご注文の品物です。」とウェイターが料理を持ってきました。

「おっ!ごちそうが来たぞ。」

「わーい。」

「ほら、食え。足らなかったら、追加をしてやるぜ。」

「ありがとうございます。」


その夜です。無事に冒険者カードを手に入れることができました。レッドベアの毛皮はそれだけで金貨1枚にもなりました。宿もギルドの紹介で『戦士の休息』というなかなか良い宿でした。杏は部屋の申し込みを華蓮に頼んだのですが・・・


「あれ?カレン、なぜここにいるんだ。」

「同じ部屋だからよ。」

「え? どうして、同室なんだ。僕は男だぞ。」

「別にいいじゃない。昔から同じ布団に寝ていたし、旅館でも同じ部屋だったじゃない。」

「同じ布団は、小学生のとき、旅館は、お母さんがいたときだぞ。僕らはもう高校生だ。さすがに、それはまずいだろう。」

「この先、どれだけ泊まるかわかんないでしょ。この宿は、別室にすると高く付くのよ。アンと私の仲じゃないの。別にいいでしょ。それともいやなの!」

「わかったよ。どうせ、例の下着は脱げないからな。」

「さっさと、入りましょう。」

「いいのかなあ・・」


 首を傾けながら部屋に入る杏でした。華蓮は早速ベッドに腰掛け、ナイフホルダーを外しています。杏は机や椅子といった調度品眺めていました。ブーツを脱ぎ床に立ったとき怪訝な顔をします。そして、床にしゃがみこんで、床を見て怒り出しました。


「なんだ!この掃除は、ホコリだらけじゃないか。床には砂ゴミだらけでジャリジャリするぞ。」

「どうせ、土足でしょ。いいんじゃないの。この時代の宿ってこんなものだと思うけど。」

「だめだ!やり直しだ。隅にホコリが積もっている。ちょっと、雑巾と桶を借りてくる!」

「ちょっと、まって・・・そんなことしなくても。もう!潔癖症なんだから・・」


 しばらくすると、杏が少女を連れて上がってきました。少女は桶と布きれを持っていました。


「ここの娘のアリスン・ウィンストンといいます。お客さんすみませんでした。これから掃除をやりなおしますから。」

「アリスン、いいよ。僕らでやるから」

「これから、掃除するの?夜中になるわよ。」

「いいってば、すぐすむから・・」

「え?そんなことお客さんにさせられません。」

「いいってば!」


 杏はそう言って、魔法で水を出し、喜々として拭き掃除をし始めます。アリスン少女も手伝います。仕方なく、華蓮も・・・。小一時間もして、拭き掃除が終わりました。最後に、杏が床に触れると光の粒が現れて、濡れた床が一気に乾きます。桶の水も消え去り、布についた汚れはパラパラと乾いた砂粒になりました。


「えー、ウソ。魔法ってスゴいですね。」

「これで、よし!」

「すごいですね。ウチで働きませんか。」

「消せるのは魔法で作った水だけだぞ。井戸でくんだ水は消えないんだ。アリスン、お疲れさま。桶は持って行って!」

「ありがとうございました。」とアリスンは喜んで消えました。


 杏はイベントリから多量の装備を取り出し悦に入っています。どれも思い出があり、3Dになると手触りなど未知の部分が沢山あるのです。華蓮も同じことをいました。


「あれ?これ、なんだろう。」

「どうしたの。」

「イベントリを整理していたら、こんなものを見つけたんだ。」

「旧い本みたいね」

「これはね。『叡智の書』と言うらしい。知りたい知識を思い描きながらページをめくるとその本の内容が示しされるんだ。便利だぞ。」

「どれ、みせて!・・・だめだわ。読めない。」

「わからないのか。日本語だぞ。しかも、この時代の物じゃない。現代知識がそのままなんだ。」

「そうなの。読めても、意味わかんない。」

「おまえなあ。まあ、化学論文ばかりだけど。」

「ここは、英語じゃない。こっちは・・ドイツ語?こんなのよく読めるわね。」

 それは、ある事柄についていろんな論文からの採録が切り貼りがされたページでした。

「簡単だろう。フランス語やスペイン語じゃあるまいし・・」

「あんたが異常なのよ。普通、高校生は受験英語で必死なのよ。英語やドイツ語の論文を素読できるか!」

「あ痛ぁ、また、殴った。」

「あっ、そうだ。確か、私のイベントリでもみたような気がするわ・・あった!」

「どれ、みせてみろよ。」

「うーん。これ、何?見てよ。」

「絵柄付きの武芸指南書みたいだな。僕のと全然違うな。」

「思い出した!これはジィちゃんの書庫にあった本だわ。」

「・・ん?そう言えばこれは、母さんの書庫だ。うぁ・・道理で化学論文ばかりな訳だ。これしか読めないのか?」

「そうみたいね。普通に図書館にある本は見えないわ。」

「ずいぶん偏った現代知識だ。こんなの役に立つか!」

「もう、寝ましょう。同じベッドで・・」

「馬鹿なことわ言うな。18禁になる。ソファで寝るよ。」

(チェッ・・)

「カレン,舌打ちしなかったか。」

「いいや、別に・・」

「そうか。お休みなさい。」

「お休み・・」


 こうして、異世界に来て最初の1日は終了したのでした。


「あー、風呂入るの忘れた!」

「こっちへ来い!」

「へぇ?!」

「【浄化】・・・・寝るぞ!」

「ふぇ???・・・綺麗なった。さすが、『最高のメイド、家庭にあっては良妻賢母』よね。」

「うるさい!」

「アン・・・さっきの部屋の掃除に、浄化魔法は使えなかったの?」

「たぶん、使えた。でも、掃除した気分がでないだろ。」

「え?あんたは・・」


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