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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯3 悪魔の血脈、覚醒
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 ラファエルが悪魔かどうかは定かでは無い。というか悪魔な訳が無いのだが、あまりにも言葉が乱暴で精神攻撃に長けているので、そうかもしれないのだと旺伝とトリプルディーは思っていた。


 実際に悪魔文字が読める唯一の存在であるのだから、それも判断材料となった。しかも100歳を超える長寿である。これだけ悪魔っぽい証拠が出ているので会話のネタには十分使えるのだ。


 ただでさえ、ラファエルに口火を切られたので二人は鬱憤が溜まっている事だろう。少しぐらい愚痴をこぼさなければやってられないのだ。



 **************



「まったく、あのセンコーときたら」


「あそこまで嫌味な人物はそうもいませんよ」


「普通なら、たとえ嫌味野郎でも優しい一面をもっている筈なのに」


 そう、旺伝の言う通りである。相手は人間なので厳しい面もあるかもしれないが、ちょっとは優しい所もある筈だ。


 だが、ラファエルは違う。


 自分の言いたい事を本人にぶつけてストレス解消をしているかの如く、陰湿で悪質な輩なのだ。先生らしい優しさを一切持っておらず、常に相手の失敗を責めまくる。


『また頑張ればいい』


『大丈夫』


 などの声は一切無い。実際は、


『ふざけるな、三流魔法使いが』


『貴様は才能も無ければ、努力もしない愚か者だ』


 という言葉を日常茶飯事に使ってくる。これでは、たとえ見た目は人間だとしても、心が悪魔なのだと思うしかない。そう自分に言い聞かせないとやってられないのだから。


「社会に出たら理不尽な事はいっぱいあると教えてもらったが、まさか学校で理不尽な目に遭うとは予想外だった」


「私共の職場にもあのタイプは中々いませんよ」


「それでも嫌味な奴はいるんだろう?」


「ええ。どの職場にも一人はいますよ」


 そうだというのだ。どの職場にも必ず一人は嫌味野郎がいるのだと。


「ああいう、口が五月蠅い奴を黙らせるにはどうすればいいんだ?」


 旺伝が今、刹那に願う事だった。


「嫌味には嫌味で対抗するのが一番ですが、それでは自分も嫌味キャラになってしまうのでオススメは出来ませんね」


「そうだな。それだけは避けないといけない」


 なんとしてでもだ。もしも相手と同じタイプになればお終いであるから。


「だから言葉少なく否定すればいいのでは?」


「どうやってだ」


「さあ、どうやってでしょうね」


「ちょい待てよ。教えてくれないのか」


 旺伝が珍しく取り乱しながら、尋ねた。


「あの人にどんな言葉を訴えかけても通用しないと思うので」


「た、確かにな。口喧嘩であのセンコーに勝てる奴はいない」


「そもそも持っている知識が違い過ぎますからね。下手な事を言えば矛盾を指摘されて、こちらも黙ってしまいます」


 そうなのだ。あまりにもラファエルが冷酷に中傷してくるものだから、相手は怒り狂って叫び始める事が度々見受けられる。だが、そんな事をしたら導火線に火を点けるのようなものだ。とても危険な行為であり、精神崩壊するまでネチネチと嫌味を言われる可能性がある。


 しかも自分の言っている事を全否定された日にはお終いだ。相手より知識が劣っているという罪悪感のようなものが押し寄せてきて、とてもじゃないがそれ以上言葉を交わす気にはならない。結局、乱暴な言葉で押そうが無駄なのだ。


「まさに無敵超人だな。非の打ちどころが無い」


「人間誰しも欠点を抱えて生きていますが、彼はそうじゃない」


「ああ。弱点無いだろう」


 二人は魔法学校でも名の知れた生徒だった。それでもラファエルには対抗する力が無いのだと認めるのだ。


「戦いにおいても百戦錬磨だとか」


「そうらしいな。本気で戦ったことは一度も無いって発言してたぐらいだし」


「彼が本気を出せば誰が止められるのでしょうかね」


「さあな。だけど抑止力は存在するだろう」


 そう、ラファエルを止めるだけの力はどこかに存在しているというのだ。


「あるでしょうね。じゃないと世界のパワーバランスが平衡になりませんから」


「まさしく次元の違う話だな」


「ええ。今の私達はちっぽけな存在ですよ」


「態度はデカいがな」


 旺伝は自分の態度がデカい事を認めているのだった。



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