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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯3 悪魔の血脈、覚醒
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 ラファエルと連絡を取る方法をひたすら模索し続けている二人に、さらなる受難が襲いかかる。あれから5分経った頃、再びトリプルディーの部下から連絡があり、三日後にラファエルが日本に出張してくる事が分かった。それも碩大区にだ。どうやら足若丸魔法学校に用があるらしい。


 確かにラファエルと会う手段ではあるが、この方法は二人にとって絶望的でしかない。いっそのこと地獄の釜に身を投げた方がマシだと、思う程だ。それぐらい、奴の存在は二人にとって恐怖の二文字しかない。


 だが、この方法しかないのであれば素直に行動に移すしかない。三日後、例の場所に赴いてラファエルと直接会う必要がある。乗り気ではないが、仕方ないのだ。




***************




「嫌ですね。まさかラファエル先生が出張に来られるとは」


 ホテルの食堂で、二人はランチを食べながら会話をしていた。ちなみに、旺伝はサバの味噌煮定食とかやく御飯1126円、トリプルディーはラーメン定食860円を頼んでいる。


「そうだな……しかも後三日しかないのか」


「たったの三日で地獄が来ますね」


 どうやら、二人の頭の中にはカンカンに怒られるビジョンが思い浮かんでいるようだ。しかも魔導国宝という生きる伝説に叱られるのだからたまったもんじゃない。


「奴との別れが最悪だったから会いたくないんだよな」


「同感です。私も彼とは縁を切っている中でして」


 互いに、色々あるようだ。


「それにしても……」


 旺伝はかやく御飯をモリモリ食べながら声に出した。


「どうかいたしましたか?」


 すると、尋ねてくる。


「果たしてこれが偶然なのだろうか。悪魔文字の翻訳を出来るのはラファエルだけで、そのラファエルが近々日本にやってくる。しかも俺達が住んでいる碩大区に……。これを偶然の一致と考えるのは筋違いかもしれん」


 それが、旺伝の導き出した疑問点だった。何故、このタイミングでラファエルが出張に来る事となったのか。旺伝には何か後ろで動いているような気がしてならないのだ。


「確かに偶然とは言い難いですね」


「もしこれが必然的に起こったのだとしたら、足若丸で見た謎の目と関係があるのか」


「さあ……どうでしょうね。憶測だけでは判断できませんから」


 トリプルディーはお茶を飲んで、まったりとした間で口にした。


「第一、あの視線の正体は謎のままだ。ひょっとしたら、足若丸には何か事件を引き起こす引き金のようなものがあるのかもしれん。あの学校は過去にも色々とあったと聞いている」


 足若丸魔法学校の起源は古い。元々、中学校として設立したのが次第に普通科高等学校になり、今では魔法科高等学校になっているのだ。それだけ、オーナーが流行に敏感だという証拠なのだが。


「いわくつきの学校ですか。怖いです」


 素直な感想を言っていた。


「だから俺は弟をあの学校には入学させたくないのさ。身の危険さえ感じる」


「少し大げさではありませんか?」


「そもそも弟には魔法の才能がからっきしだ。親父に似たのか似てないのか」


「それはまた判断し辛いですね。貴方のお父さんは両方の素質を持っていましたし」


「俺はどうやら母親に似たようだが、果たして弟はどっちなのか」


 旺伝の中に、また疑問が湧いていた。この疑問こそが行動力と直結しているので疑問を持つこと自体は何も悪くない。


「どちらでしょうね……弟さんと会う機会が無いので分かりませんよ」


「ラストラッシュはどっちの親に似た?」


「私も母親ですね。特に信仰心の高いところが」


「信仰心? 何か宗教でも入っているのか」


「いいえ宗教ではありませんが、それに近い存在を崇拝しておりますよ」


「へえ。意外だな。何でも自分でこなしそうなイメージはあるが」


「私にも精神的支柱の一つや二つあるのですよ」


 ラストラッシュはそうだと言うのだった。






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