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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 力尽きても必死に闘おうとするのが男なのであって、人として重要な事であると旺伝は思っていた。山登りとは人生そのものを現している。疲れたからと言って途中の道を引き返すような精神ではより良い人生など過ごせる筈も無い。せっかく知的生命体に生まれたのだから理想に向かって歩むのが筋だと。そう自分に言い聞かせる事によって疲労感を拭い去ろうとしていた。いつだってそうだ。挫折感を感じてしまった時は自分の精神力しか頼れる物はない。疲労困憊した時が一番、真価を問われる瞬間だ。「また明日でいいか」と途中半ばで諦めるのは流儀に反している。必死に手と足を動かして頂上に向かって歩き続けるのが全てだ。と、言い聞かせながら旺伝は飲料水をグビグビと飲んでいた。いくら勇気と健康体があっても、人は水を飲まないと活動量が著しく低下してしまう。そういう生き物なのだ。だからこそ、喉が渇いたと思う前に水を飲む必要が出てくる。喉が乾いてから水を飲むのでは遅いのだ。既に渇きを覚えた状態の時は活動量が低下して、自分の身体が自分の身体じゃないと錯覚に陥ってしまう。どう考えても危ない状態だ。そうなりたくなければ事前に水分を補給するのがベストだが、中々そうはいかない。日常生活ならば容易だが、仕事や学校を堪能している場合はそうもいかない。近頃の学校は授業中に水分補給をするのが許されている場合が多い。特に生物の先生は水分の大切さを知っているので、お茶や水を飲むのには寛大だ。しかし、他の授業を担当している先生ではそうもいかない。旺伝も高校時代にはその差に歴然としてしまった。魔法生物の担任は「授業中にもグビグビと水を飲めよ!」とおおらかな態度をしてくれるのだが、魔法史の担任は「ワシも我慢しとるんじゃ! お前らも我慢しろ!」と昭和風を吹き荒らしてきたのだ。愛想が尽きて高校を辞めるのも無理は無かった。


「水を自由に飲める幸せって凄いよな。何等かの組織に属していると、水も自由に飲めない場合がある。特に学校て奴は未だに水を飲まない事が美徳だと考えている教師がごまんといる。何時の時代だっつうの」


 旺伝はグビグビと水を飲みながら不満を感じていた。何故、学校には水を飲まないのが美徳だと考える教師がいるのだと。昭和時代なら知能不足で片づけられるが、今の時代は文明が進んで知識力を求められる時代に突入した。中国やインドのようにインテリが闊歩する知的戦国時代に突入してしまったのだから。それなのに、水を飲むなと強要してくる教師がいるのには悲観せざる終えない。無知にも程があるのだ。今時、水分補給の大切さは幼稚園生でも知っているのだから。



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