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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
210/221

210


 常に目の前の現実に全力を尽くしてきた結果が、今の旺伝だった。その結果悪魔の血脈に目覚めて純粋な人間でいられなくなったのはとても残念だ。しかし、まだ可能性はある。明日になれば悪魔の浮世絵を描いた張本人と対面出来る。こんな偶然など滅多にはないだろうと旺伝は布団に入ってポジティブな気持ちになっていた。というより興奮を隠せないのが真の気持ちかもしれない。とにかく、今の旺伝は緊張で眠れなかった。腕時計で現在時刻を確認すると夜中の0時を周っている。隣では世間で言えば中学生ぐらいのお子ちゃまが寝息を立てて寝ているのだ。もしも旺伝がロリコンであればひとたまりも無かっただろうが、生憎彼は年上のお姉さんが大好きだ。玖雅家の男共は代々年上のお姉さんの魅力にやられてしまう。その醸し出されている色気に夢中になってしまうのだ。なのでロリコンを否定する訳では無いが、隣でスヤスヤと寝ているハリティーには何の興味も湧かなかった。今、旺伝の考えている気持ちと言えば悪魔情報を入手出来るかもしれない期待だ。今まで普段通りにしていた行為を突然明日になってから出来なくなるのは精神病だ。旺伝も昔は精神安定剤を常用しないと昔を思い出してしまっていたが、もう大丈夫だ。内なる悪魔を押さえつけて完全に掌握を握っている。薬なんぞに頼らなくても目標を達成出来そうだ。


「明日……ていうか日付が変わっているから今日か。もしも一文字左衛太朗が悪魔についての情報に詳しければ今日にも俺の悪魔は祓われるかもしれない。その時には純粋な人間に戻れるだろうか……嫌々、考えても仕方ないな。こればっかりは自分の腕ではどうにもならない。他人が手を差しのべてくれないとどうしようも無いな」


 そうなのだ。悪魔の血脈が流れていると言えば幻想的でクールだと思いがちだが、実際はデメリットばかりだ。悪魔に変身する度に老いが重なって老けるスピードが速くなってしまう。そうなると常にいつだって期待しないとやっていられない。昔はネガティブな考え方でも余裕があった。ところが今回ばかりは後ろ向きに考えてはいられない。旺伝の最終目標は純粋な人間に戻る事なので、悪魔の血をどうにかしなければいけない。いつまでもノウノウと生きている訳にはいかないのだ。それ故に旺伝は軟禁状態にあっても脱出してまで自由を手に入れようとした。何者にも自分は縛ることが出来ないと意思表示を示した様に、ダニーボーイの手から逃げ出してきた。あれから彼とは音信不通の状態だ。もしかすると旺伝はあの時に絶命したのだと思っているかもしれない。とは言っても死体は見つかっていないので完全に死んだとは思われてないだろう。とにかくこれだけはハッキリと言えるのだが、夜中の布団では考えがまとまらなかった。



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