表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
205/221

205


 長い沈黙の末、ついに旺伝は情報を手に入れた。と言っても、江戸の浮世絵の1つに悪魔と思しき人物が描かれていただけだが、その人物には見覚えがった。漆黒の羽根を身に着け大空を羽ばたく姿はクロウと良く似ている。人間の形でカラスの羽根を生やしているのは滅多にいない。それは悪魔であるとしか言いようがない。この世界には悪魔以外にも不思議な生命体は数多くいるので、江戸時代から悪魔の存在が確認出来ても不思議では無かった。


「悪魔の手がかりを見つけたぞ。この浮世絵画家は一体何者なんだ?」


 そう思って作者の名前を見ると、旺伝はびっくら仰天して椅子から転げ落ちそうになった。なんとそこには十文字左衛太朗と書かれていたのだ。左衛太朗と言えば、ここ足若丸魔法学校の理事長である。ここを学園都市に発展させたビッグネームだ。彼は不死の細胞を宿して決して寿命では死なないと言われている。しかしだからと言って江戸時代から生き続けていたとは想像もつかなかったのだ。それが理由で吃驚していると、ハリティーが本を覗き込んで浮世絵をジッと見ていた。


「この絵に悪魔のヒントが描かれているのか?」


「そりゃそうだが、それよりも驚きの事実があった。この絵を描いたのは十文字左衛太朗。この足若丸魔法学校のオーナーだよ。俺みたいな一般人には到底辿り着けないビッグネームだ」


 旺伝はそう言って落ち込んでいたが、何故かハリティーは笑顔を浮かべていた。鼻孔を膨らませて「ふふん」と鼻息を出して笑っているのだ。その何故か余裕な表情に腹立たしを覚えてしまう。


「何言ってんのよ。ビッグネームならビッグネームで対抗すればいいじゃない。うちの社長はああ見えても世界的な有名人なのよ。有名力で言えば、この学校の理事長さえも凌駕しているわ!」


 ハリティーの言葉にしばらく口を開けてポカンとしていた旺伝だが、次第に彼女が言わんとする言葉の意味が分かり、納得の笑みに表情が変わっていた。さすがは某有名大学を若くして卒業しただけあって、考え方も鋭いと感心させられた。


「そ、そうか。奴もビッグネームだったな。あまりにも身近な存在だったから忘れてたぜ。あいつにアポを取ってもらえばいいんだな」


 ハリティーの言葉に希望を貰った旺伝はさっそくラストラッシュに電話をかけていた。ラストラッシュは世界的有名企業の会長であり、暗殺ギルドの支部長としての地位もある。二つの顔を公式的に持っている奴に頼るのが一番だと旺伝は意気込んでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ