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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 誰かの真似事をするのは簡単だが、そこにオリジナル性を見出せないとラストラッシュは言っていた。今現在、旺伝はその意味が良く分かった気がしている。かつての自分は人の真似事ばかりをしていて満足感を得ようとしていた。しかし、それが無駄な行為だと気が付いたのは最近である。真似自体は悪くないが、ずっと真似ばかりでは成長出来ないのだと。誰かの真似をして尚且つ自分流にアレンジしていくのがオリジナル性を生み出す切っ掛けになるとラストラッシュに教わった。彼の持ち株は72パーセントなので信用性がそこに現れている。部下にも信頼されているから株の多さが引き立っているのだ。おまけに商品開発の腕も超一流で、彼の開発した商品は瞬く間にヒットして品薄となる。その結果、全国から発注が相次ぎ商品生産ラインを促しているのだ。敏腕社長の言う事は改めて正しいのだと、旺伝は気づかされた瞬間だった。なんせ旺伝自身も商品開発のプロデュースをしていたので、オリジナルの大切さは身に染みていた。自分が画期的だと思っていてもそれは既に却下済みの商品だったとかはザラだ。


 足若丸魔法学校に近づく度、そうした気分に落ち込みやすい。いくら前向きな精神を抱いていても常にポジティブな訳にはいかない。時には自分のネガティブなイメージを描いて「ああなりたくない」と思うのも一つの方法だった。その方法を今、取り入れているとは口が裂けても言えないが、その効果が得られているのは間違いようだ。さっきから不安と重圧が体にのしかかっているのに、意外と負のオーラを背負っていないのはそれが理由だと考えられる。『悪魔には絶対に魂を奪われたくない』という強い信念が、旺伝に力を与えてくれる。今はそう信じるしか無かった。


「ねえねえ。さっきから俯き加減でどうしたのよ。まさか、あたしみたいな美人と一緒に歩いて恥ずかしがってるんじゃないでしょうね……フフフ、これだから童貞君にみ困っちゃうわ。まあ、あたしも処女なんだけど」


 後ろで、ハリティーが余計な事を喋っていた。頬っぺたを両手で重ねて今にも恥ずかしそうにアピールしているのだ。どこまで勘違いをすれば気が済むのだと旺伝はムッとした表情を見せたが相手はまだ幼い子供である。本来ならばまだ中学校にも通っていない年齢の女の子に四の五の言ってはいられない。素直に怒るのも方法ではあるが、まともに相手するのもどうかと旺伝は真剣に悩ませていた。ここで厳しく叱るのもいいが、それだと幼少期からトラウマを植え付けて彼女の未来を潰す可能性も出てくる。ただ怒りに身を任せて怒るだけでは向こうも納得しない場合が多い。それを旺伝は身を以って経験しているので、ハリティーになんて返事をすればいいのか困惑していた。



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