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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 トラックの中では会話が咲き誇っていた。先程まで軟禁状態にされていただけに、旺伝もストレスが溜まってひたすら愚痴をこぼしていたのだ。ところが愚痴というのはストレスを助長させるだけで何の解決にもなっていない。むしろ愚痴ばっかりこぼしている自分に腹を立てて更にストレスが溜まる状態になるだけだ。ほとんどの人間は

その事実に気が付いていないので、ストレス発散をしようと錯覚して愚痴を言ってしまう。それは玖雅旺伝も一緒だった。彼は口からおべんちゃらを言う程の男では無かったが、軟禁状態にされてしまってはストレスが溜まるのも無理はない。旺伝は不満を爆発させながら運転席に座っているラストラッシュに話しかけていた。


「ふざけやがって。ダニーボーイ……俺を廃人にする気だったのか!」


 ずっと同じ部屋の中で軟禁状態にされるのは迷惑極まりない。確かに最初は新鮮な気持ちでいられるかもしれないが、その後は厄介だ。なんせ日の光りを浴びれないのだから日光を感じられない。するとそこで待っているのは神経症や鬱病などの精神的病だ。日光を浴びないとセロトニンと呼ばれる神経細胞が全く機能しなくなり、その結果鬱症状に苦しむ事になる。それでは廃人決定と同じなので旺伝も痺れを切らしていた。そこに救世主とばかりにラストラッシュの乗ったトラックが部屋の中に突っ込んできたのだった。


「部屋の中で軟禁された状態では副交感神経が活発に働いてしまい、結果的に疲れやすい体を生み出す原因に繋がりますからね。休息ばかりでストレスを溜めない状態になってしまうと逆に疲労感が溜まってしまいます。その結果、人の目線が気になったり被害妄想に陥ったりと良いことはありません。人間は運動と休息を交互に取り入れて、初めて実りのある人生を手に出来るのです」


 ラストラッシュの言い分は確かに正しかった。副交感神経と交感神経のバランスを保たない限り、人間は疲労感ばかりが溜まってしまう。このバランスを保ってくれるのは日光の働きなので不必要に部屋に閉じこもっていれば人生に未来を感じなくなるのは当然の結果だった。せっかく人間に生まれたのだから日光を浴びて充実した人生を過ごす方が何倍も良い筈だ。旺伝はその事実にいち早く気が付いていたので、軟禁状態にされて腹を立てていた。確かにダニーボーイの気遣いには感謝している。感謝はしているが、どうにも間違ったやり方なので注意せざる終えないのだ。



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