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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 部屋の爆発音を聞いていると、無意識に耳を塞いでいた。一度でも耳を塞いだ事がある人間になら分かると思うが、耳を押さえていると無意識の内に目を瞑ってしまう。そうなると頭の中で考え事でいっぱいになるので旺伝は耳鳴りが収まるまで考え事をしてしまっていた。セロトニンを失うと分かっていても、どうしても人間は考えてしまう。自分の未来が分からないからこそ考え事も増えてしまう。今、旺伝が頭の中に思っているのは今迄散々自分の事をイジメてきた老害共だった。人間は楽しい思い出よりも苦しい思い出の方が圧倒的に覚えていたりする。それを証明するかのように老害共の顔が脳裏に浮かぶ。奴等は害悪の象徴だと言われていて旺伝も老害を心底嫌っていた。奴等に受けた被害は実に100件をくだらない。そのほとんどが陰湿なイジメである。旺伝がコンビニで買い物をしていた時に、店員が70歳を過ぎたオーナーだった。そこで弁当を買っていたのに電子レンジで温めてくれなかった。人間は誰しも忘れてしまう癖があるのでそれには左程怒らずに「弁当温めてください」と言った。すると目の前のオーナーは露骨に不機嫌な顔をして弁当を電子レンジに入れ『バタン!』と大きな音を立てたのだ。これには旺伝も怒りを隠せなかった。確かに行列が並んでいて一分でも惜しい状態になっていた。しかしだからと言って、お客さんの弁当を蔑ろに扱うのは万死に値する。皆を率先するべきオーナーがそんな態度をしていると、周りの店員にも伝染してしまう恐れもある。それだけは防がないといけないのにオーナーがこんな態度をするのだから旺伝も本気でイライラが収まらない。しかしここで旺伝が声を荒げると後ろのお客さんの迷惑になるので、そこはグッと堪え弁当を受け取って店を出た。


「くそ……余計な思い出が溢れ返ってくる!」


 それだけじゃない。旺伝が自転車で移動している最中にやたらと煽ってくる女老人に出くわした。その老人はウロウロと蛇行運転しながら旺伝の進む道を防いでくる。旺伝が抜き去ろうとすると、それを妨害するように前を走る。旺伝も次第にムキになって左に右に移動しながら抜き去るタイミングを窺がおうとするのだが、旺伝に合わせるように老人も左に右に移動してくる。そんな老害に対して旺伝は徐々に怒りを覚えて、イライラが増していた。このように旺伝は比較的ストレスを感じやすい体質だった。だからこそ、老害に対して異常な怒りも感じていた。



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