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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 自分の強さを生かすためには、自分の生き方を追求する必要があると旺伝は考えていた。躍動の人生を過ごそうとするためにこんな部屋から一刻も早く脱出する必要があった。とは言っても、せっかく軟禁されたのだから軟禁状態にしか感じない瞬間を刻もうとしていた。この状況すらもチャンスだと思える自分がいるのだ。わざわざネガティブに感じる必要は無い。ネガティブよりもポジティブの方がいいに決まっているのだから、こういう状況にこそポジティブに物事を考えていこうと旺伝は思えるようになっていた。つい最近までは神経症やら鬱病やらを発症しかけていたが、そんなに卑屈にならなくても今生きている瞬間に幸せを感じればそれでいいと悟ったのだ。生きている幸せを感じていれば後ろ向きになぞ考える必要がない。生きている以上、不満を感じるのは仕方ないかもしれないが、それでもストレスを溜めこむ必要は無い。ストレスを感じるだけ無駄なので、なんとかしようと思っていた。どうしたって苦痛を感じる瞬間はある。しかしだからと言って後ろ向きに考えていれば思考のスピードが落ちる。どう考えても憂鬱な人生よりも楽しい人生の方が良いに決まっている。この軟禁状態からそれを知る事が出来たので、旺伝も自分の成長具合は素晴らしいと考えていた。


「この瞬間は素晴らしい……生きているだけで俺は幸せなんだな」


 軟禁されて、人生の素晴らしさを漸く理解していた。このように人は極限状態に陥ると思考回路のスピードが上がって、人生の素晴らしさを一色に感じていた。人生の素晴らしさを感じていると、不意に行動を起こしたくなる。だから旺伝はこの部屋を探索していた。ベッドから起き上がり、自分の意志でこの部屋を動き回る。奇跡も魔法もあると言われているが、それにすがろうとはしていない。あくまでも奇跡は自分で作りだしていく物なので、こうして行動しながら自分の人生とは何かを見定めようとしていた。


「トイレ、風呂、寝る場所は確保されている。しかし……」


 何度も言うが、この場所には娯楽要素がまるでない。だからこそ人生の素晴らしさを感じるのも可能だった。とは言ってもいつまでもこの部屋でくすぶるつもりは無い。一刻も早くこの部屋から脱出して、なんとかしようと考えていた。そのためにはまず脱出するための計画が必要だった。ありがたい事に時間は無限に存在するので、いくらでも考えられる。こうしてブラブラと部屋の中を歩き回るだけで有意義な時間はおくれるので、歩きながら良いアイディアを発想しようと決意していた。



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