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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
183/221

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 この部屋は片づけられない症候群の旺伝にとっては清々しかった。とにかく無駄な物が置いていないので心の雲が晴れていくような感覚がしている。旺伝は改めて、自分の部屋は心を現しているのだと確信していた。心が鬱だからこそ、部屋も汚くなるし醜い自分が生まれてしまう。その結果、慢心がスランプになって精神状態がナーバスなまま生きて行かなければならない。そして旺伝は今、心の中が澄み渡っていた。これまでに背負ってきた物を一時的に降ろしているから、心も体も清々しかった。その点だけで言えばこの部屋に軟禁されている意味もある。気持ちいいと自分が感じている時が、本当に自分も気持ちいのだと。その当たり前の精神状態を思い出させてくれて、若干の感謝を抱いている。無論それは若干の気持ちだけだ。本心では早くこの部屋から出たいと思っている自分が存在している。しかし、それを感じさせないような感覚を同時に抱いているのも否定出来ない。部屋から出ようとしたいと思っている自分もいれば、この部屋で残りの命を尽かすのもアリだなと思っている自分もいた。旺伝は二つの意見の狭間で揺れ動いてしまっていたのだ。どうすればいいのか、自問自答はしばらく続きそうだ。ここで選択ミスをしないためにも、体力は出来るだけ温存する必要がある。体力が無いと状況判断を誤り、アホみたいな決断を下す可能性だってあるのだ。そうしないためにも、旺伝は部屋の中で腕立て伏せをしていた。こうしてベッドの上で座っているだけでは嫌な体力の減らし方をしてしまう。何もしないだけでも体力は減ってしまうのだから、どうせなら腕立て伏せでもしてしまえばいいと結論に至った訳である。


 地面を両手につき、上下運動をする作業は体力を消耗していく。しかしこれは自分自身の考え方を維持するために必要な行為だった。運動をしていれば勝手に自信はついてくる。それを知っているので、旺伝は運動をしていた。体力を減らしてはいけない時に、敢えて体力を減らしていく。そうすれば極限状態の自分が出現するのも心得ている。ようするに自分の気の持ち方次第で、運命はどうとでもなるのだ。旺伝は自分を信じるために、体力を消耗していく。その過程をしていくために、弱い自分と決別する必要がある。弱い自分さらし出さないためにも、腕立て伏せを連続で続けていく。このように情熱があればあるほど、人間は最優先の回答を選ぶのが可能だ。人生は選択。それを一心にして、これから旺伝は戦う。












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