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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 目が覚めると、そこは知らない部屋だった。どうやらあの後、旺伝は傷を癒された原因で眠くなったらしい。だからと言って知らない部屋にいるのは吃驚を隠せないので此処は何処だと、旺伝は立ち上がっていた。この部屋の中にはベッドだけしか存在していない。真っ白な部屋だ。まるで某漫画の手抜き感を脳に叩き込まれているようで、不意に頭痛がしてきた。ハッキリ言って旺伝は闇の住人なので、こういう白い色はあまり好きでは無い。どちらかと言うと真っ黒な雰囲気が好きである。だから夜型として朝になるまで読書をしていた男だ。彼が読んでいる本のほとんどが昔の小説だ。西洋やら西南アジアやらの外国本である。小説から何かを吸収するのが最近の流行りなので喜びを隠せない。なので『父ちゃん、俺巨人軍に入るよ』という日本の漫画は絶対に読まない。そもそも漫画自体をあまり深く読まないのだ。日本の小説はまだ見ている回数も多いが、漫画となるとページを捲る度に萎えてしまう。最近の漫画はあまりにもコマが多くて、内容がスカスカなのだ。これで何百万部も売れているのだと思うと歯がゆくなり、むしゃむしゃと食べたくなる。まるで山羊のように。しかしその点、小説となると話は別だ。漫画のように大きくコマを書いて手抜きなど出来ない。だからこそ小説を好んでいるのだ。旺伝が嫌いなのは明らかに手抜きをしている人間及び物質だからだ。そんな奴にプロフェッショナルを語る資格も無いので、そういう人間及び物質を見るとそっと視線を逸らす。電柱に付着している犬の糞を見た時のように。


 そんな事を考えているのだが、まずはここが何処か把握するのが大切だった。しかし把握するためには証拠が必要となってくる。ところが証拠などまるで無い。証拠どころか物さえも無いのだから泣けてくる。しかし部屋を見回していると、壁に監視カメラが回っているのを発見した。監視カメラをつけられるという事は恐らく、この部屋は玖雅旺伝なる人物が悪魔の血を持っていると知っている者が用意した事に繋がる。


「誰が一体、何のために俺を軟禁している?」


 どうやら監禁ではないようだ。監禁されている場合は寝床すら用意されないのだからこの待遇は軟禁である。何者かが旺伝を隠しているのだ。しかしそんな事をされる身の覚えは無いので「なんだかなあ……」という気持ちが増えていった。そもそも旺伝は雇い主の元に行く予定だったのだから、いきなりこういう展開になると驚きを隠せないのも無理は無かった。それに疑問に思うのも当然だった。こうして思考を回転させている間に、てっきり犯人が扉を叩いてくると思ったからだ。しかし、そんな気配はまったくありません。なので旺伝は立っているだけでは無駄に体力が消耗すると判断して、まもなくベッドに座った。



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