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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 人間としての感情をよりよく理解するためには、お互いが納得するまで話し合えばいいだけである。しかし相手は人間のフリをした悪魔なのだからそうもいかない。異種族の敵を相手に長話をするのは危険に満ち溢れている行為なので、誰もそんなのはやってはいけない。重要なのは相手の考え方を知り、相手を少なからずリスペクトいながら闘う事なのだから長話は言語道断である。特に組織の中に一人はいるお喋りな老害は駆逐されるべきだ。明らかに相手は嫌がっているのに「ねえねえ、あそこの子供さん受験に落ちたんだって」とか「あの子、今日も感じ悪かったね」などと人の悪口や良くない噂ばかりを流すのだから大迷惑なのだ。ああいう奴はゴミ袋の中に放りこんでゴミ収集車に回収してもらうのが理想的だが、そんな事をすれば一目散にポリスが飛んでくるのでオススメは出来ない。男には言えないが、女の老害の特徴はお喋りである。とにかくマシンガンを連射するように言葉を出すのだから困り果てる。しかも話題はどうでもいい話しばかりなので、聞かされている方はウンザリしてくる。だが、老害はその空気感すら分からないクズだ。もしかすると、絶滅すべきなのは悪魔ではなく老害の方かもしれない。それだけ、老害は死ぬべき定めにあるのは理解して頂きたい。少なくとも旺伝はそう思っているのだ。


「ああそうだ、思い出したよ。君の名前は松岡君だったかな?」


 まったく見当違いにも甚だしい。玖雅と松岡をどうやって間違うのか聞きたいぐらいだ。しかし、そんなのを聞くために態々早起きをした訳では無い。本当の理由は闘うためである。しかも相手の出方はまだ不明なのだから下手に刺激する訳にはいかないので考え込んでいた。悩み事をしていると自然にセロトニンの量が減っていくのでオススメは出来ないが、何も考えずに行動をするよりかは幾分もマシである。なので旺伝は相手の出方を窺がいながら、素直に返事をするのだった。


「松岡くんって誰だよ。俺には玖雅旺伝っていう立派な名前があるんだぜ」


 まさしくその通りである。旺伝には立派な名前がついているので、自分の名前を間違えて欲しくない。人間は誰かに嫌われるよりも存在自体を忘れられる方がよっぽど辛いのだ。嫌いだと思われるよりも、無関心に思われる方が心も傷ついて泣きそうになる。旺伝は今までそういう体験をした記憶があるので、辛さも蘇りそうだ。しかしたとえそうだったとしても、人間にはそれなりの知識力がある。だからこそ、知識を上手く使ってそういう状況にもすんなりと対応できるだけの力を人間は持っている筈だ。そう簡単にいかないのが人間たる証拠でもあるが……。



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