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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 人間は逆境に立たされようとも、どうにでもなるように設定されているので何とか頑張ろうとする気持ちが大事だったりする。人間は面白くない経験の方が圧倒的に多いのだが、それ故に逆境に立たされる機会は多くなってくる。そうした意味では、その逆境の度に不安や衝動に駆られる人間は精神的に弱い。しかし弱いからと言って嘆くのはあまりにも勿体ない。弱いからこそ、自分の思考が高められたりするので、自分の弱さを認めて、それと向き合う時間は多ければ多い程良いとされている。よっぽどの事じゃない限りは自分の弱さから目を逸らすよりは向き合った方がまだマシだと、旺伝自身も思うようになっていた。とにかく困難な物事から逃げ出すのはもう二度としたくないと旺伝は確信していたので、思っていたよりも足取りは悪くなかった。もしもビデオの結果が悪かったとしても、その現実と向き合っていこうと思っていた訳である。このように人間は何かを成し遂げるよりも、何かを成し遂げるための時間の方が圧倒的に長いのだ。。いくら逃げないと決意していても、物事に直面するまでの期間はあまりにも長すぎる。だからこそ、その期間、人は音楽を聞いたりバラエティ番組を見て笑ったりして自分を高めようとするのだ。旺伝もその常識人の内の一人であり、人に迷惑をかけない限りで何かをしようとしている。しかしその度に効果が無かったりするので、物も考えようなのだが。


 例えば旺伝は戦闘がありそうな度に、洋物の音楽を聞きながら戦闘意欲を高めていく。絶対に成功するとは言えない状況だからこそ、少しでも前向きにしようと考えるのが大事なのだと、この短い社会人生活で悟るようになっていた。普段なら面倒くさい行為だとしても、困難な道が明らかになっている時は自分を高めるための作業と化す。例えば部屋を掃除するのも普段は面倒臭い行為だとしても、旺伝のような立場になってくると、それも面倒だとは思わずに、むしろ楽しい行為だと思うえるようになるのだ。旺伝はそれを知っているので、部屋の掃除をしようと画策している時は、取り敢えず仕事の前日に時間を空けて部屋の掃除をするのだ。


「玖雅さん。ビデオに映っているのは一体誰なのでしょうか?」


 ラストラッシュがビデオ解析している映像を見て話し掛けてきたのだが、旺伝はこの男に見覚えがあった。やはり悪魔の正体はローンレンジャーだったので旺伝もどう返答をしていいのか分からなくなっていた。あれだけ子供達に笑顔を与えていた男の正体が悪魔で、しかもこれから捕まえないといけない対象になるのだから、どうしようかと考えていた。ある意味ではローンレンジャーは子供達のヒーローなのだから、その子供達の笑顔が思い起こされてしまうのだ。


「俺は知っているぞ。こいつの正体はローンレンジャーだ」


 ローンレンジャーと言うと、あの西部劇の英雄を思い起こされるが今回はそうじゃなく、黒人のプロ野球選手だった訳である。



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