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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 ラストラッシュが後ろに立っているのは吃驚したが、それでも旺伝は自身の冷静さを取りもどいていた。いつまでも緊張していると仕事の効率が悪くなるを知っているからだ。最初は緊張していても仕事を簡単にこなせる。ところが時間が経過すると仕事に慢性を感じてしまい、その状態でいくら緊張していても意味が無い。緊張と慢性が交わると、必要のないミスを連発する羽目になるので、旺伝はとにかく慢性を感じると、緊張ではなく魂を昂ぶらせようとしていた。見た目は冷静そのものかもしれないが、とにかく心の中では魂を昂ぶらせながら仕事と接する。慢性を払いのけるようにして、仕事に情熱を抱くのだ。すると不思議とあれほど嫌がっていた仕事の内容に対しても、不満を言わない自分が現れる。仕事に対する不安など部屋にいる時が一番ピークなのだから、それ以外では興奮状態を維持していた方が利口だと旺伝は理解していた。故に旺伝はとたんに仕事の顔に戻り、キリッとした顔とは裏腹に心の中では情熱を感じているのだった。


「玖雅さん。ビデオの解析が済みましたよ」


 それがラストラッシュの伝えたい事だったらしい。監視カメラの映像を解析したのだと。てっきり仕事の追加でも依頼されるのだと思っていた旺伝にとっては拍子抜けしそうになるのだが、それと同時に心の中では魂を更に昂ぶらせていた。結果はどうあれ、悪魔の正体が判明するのだから何かを思うのは仕方がない。誰がなんと言おうと、これから先の未来を左右される重要な点である。だからこそ、緊張よりも興奮をしていた訳だ。


「やっとか。待ちわびたぞ……もうここで一生暮らすのかと思ったぜ」


 借金を返済して自由を手にするまで、自分が人間の形を保っているのかも分からなかった。それだけ悪魔の呪いは確実に自分の中を這いまわっているのが自身が一番理解している。もはや休む暇など無いのだが、徹夜だけはしてはいけないので悪魔のビデオを観終わった時は素直に眠ろうと思っていた。それに夜、悪魔を襲うのは旺伝の美的センスにとってはナンセンスそのものなので、それだけは絶対に出来なかった。徹夜が生じさせる様々なデメリットを知っているため、どんなに時間が無くても徹夜だけはしないと心に誓っているのだ。夜遅くまで仕事をすると体の動きが悪くなり、朝起きた時に支障が出てしまう。それを理解してるだけに、仕事を放っておいてでも眠る行為は必要だった。だからこそ、旺伝はビデオを観終わった後は眠るつもりなのだ。



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