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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 旺伝はどんな逆境に立たされても折れない心を持とうと日々の努力を続けていたのだが、やはりどうしても弱い自分は浮き彫りになってしまう。特に仕事や家で頑張っている時には挫折を感じやすくるのだ。それを身を以って分かってくると、逃げたくなる自分が現れてくる。本当にやりたいのはこんな事ではないと分かっているが故に逃げ出したくなる。だが、そんなのは絶対に不可能だと分かっているので結局は逃げられない。なのに日々、現実逃避をしたくなる自分が存在しているので厄介なのは厄介である。特に今日のように早く仕事が終わった時には『やった!』と強く願うのと同時に、まだ働き足りないと感じている自分も存在している。体は疲れ切って疲労しているのにも関わらず、精神は満足していない。こうなってくると、部屋に戻れば本を読んで徹夜をしてしまう。なぜならば、人間が徹夜をする心理とは1日に満足していないからだ。1日の終わりに満足していたら自然と眠気が襲ってきて、深い眠りにつける。ところが、いくら体が疲れていても心は「もっと働ける」と言っているようでは満足できていないので、眠れる筈もない。頭が「働け!」と言っているのだから、どだい無理な話しである。しかしそれでも人間は無理矢理にでも寝てやろうと薬に頼ったり、睡眠導入のBGMを流したりと色々な事をしているが、まずは思い出してほしい。仕事が終わった後に最高の満足感を得ているのかと。旺伝はそのように考えた時、まだ自分は満足していないと判明したのだった。



 ******************



 旺伝は仕事が終わった後、ビルの屋上で缶ジュースを飲んでいた。彼が大人ならばここで煙草の一本でも吸っていそうだが、そもそも旺伝はいつまでも健康体でいたいと思っているので、その見た目とは違って煙草は吸おうとも思っていない。彼の父親は相当葉巻を吸っているから子供も喫煙者になるのじゃないかと、子供の頃から身内に心配されていたようだ。しかしそれも杞憂に終わりそうなので身内の連中も一安心だろう。と言っても、今の旺伝は煙草など可愛らしく思えるほどの呪いに犯されているのだが。旺伝の命を救ってくれた徳山先生が言うには、どうやら悪魔の変身能力を酷使していれば1年で心を悪魔に支配されてしまうと言われていた。なのでなるべく変身能力を使わずに戦おうとするのだが、どうやら悪魔の呪いをかけられている状態では魔法が使えないらしいようだ。なので、最近の旺伝は麻酔銃を使って戦場を舞うスタイルを貫いていた。もっとも、実力者には弾丸など簡単に躱されてしまうので弱者にしか効果は無いのだが。


「うう……さすがに疲れたな。しかし、どうも心は満足はしてないな」


 心が満たされないと、夜眠るのは不可能に近い。疲労感がいくら溜まっていても、心が満足していなけらば眠れないのは当たり前である。それぐらい、心と体は切っても切れない関係性を持っているのだ。かなり疲れていて疲労感が溜まっているが前提で、なおかつ心が満足していないと人は本当の熟睡な不可能であると旺伝自身は感じていた。無論、これらの状況を満たすのは以外にも簡単なのでほとんどの人間は熟睡が出来ている。特に子供は毎日が変化していると言っても過言では無い。それ故に、疲労感と満足感を同時に達成するのは簡単なので子供達はすぐにでも寝てしまうのだった。



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