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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 見果てぬ未来に絶望感を感じながら現状維持の毎日に満足しているようではそれ以上の進化は見込めない。社会では如何に上司から好かれようと躍起になっている者もいるが、それもやってはいけない。とにかく社会に出た者は満足をしては負けだと思いながら日々の仕事に緊張感とリラックスを交互に繰り返す必要性が出てくる。なんせ、高校や大学までは例え間違った努力をしていたとしても何とかなる。それは留年や浪人などの救済措置があるからであり、社会にはそのような救済措置が無いので間違った努力を続けていると『解雇』の二文字を突きつけられる可能性がかなり高い。戦力にならないと上司に思われれば解雇されるのが当たり前の社会だからこそ、緊張感とリラックスを交互に使い分け無いとたちまち失笑されるので注意が必要であると、旺伝は身を以って理解していた。というのも、緊張するだけで活躍出来るのは一部の才能がある天才だけであると理解したからだ。旺伝のような凡人タイプは過度な緊張をしてしまうと自分本来が持っているポテンシャルを発揮できなくなるので、簡単な仕事にこそ緊張感を抱き、難しい仕事にはリラックスをして挑む必要性があった。


 フリーの祓魔師として活躍していた時とは全く違う考え方になってしまい、旺伝はすっかり社畜に落ちてしまった。無論、ここから這い出して最終的には元の自分に戻るのが理想的だが、それは困難な未来だと分かりきっている。どれだけ頑張っても悪魔から解放される保証は何処にもない。もしかすると死ぬまで悪魔と闘い続ける孤独な日々が待っているかもしれない。そう考えると、どうしてもネガティブな感情を抱きそうになる。しかしだからと言って後ろ向きに考えるだけでは一向にラチが明かないので、時には前に一歩踏み出す勇気がどうしても必要になってくる。旺伝はそれを理解できただけでも幸いだと今は思っている。



 ****************



「解析は終わったのか?」


 積み上がった原稿にようやく終わりが見えてきたので、旺伝はラストラッシュに話しかけていた。すると彼はブンブンと首を横に振っていた。どうやらまだ防犯カメラの解析は終わっていないらしい。こうなってくると、旺伝も仕事を再開するしかなかったのだが、それもすぐに終わってしまった。仕事が早く終わるのは嬉しい。でも、そうだと感じる自分が今はいなかった。どうしても防犯カメラの映像が気になってしまい、いてもたってもいられずに4色ボールペンをカチカチと鳴らしている自分がそこに存在していた。無論、これは無意識の内に行っている行動であるので、同時に相当集中している証でもある。


「今は夜の18時ですか。今日は早く寝れそうですね、玖雅さん」


 ラストラッシュがキーボードを一心不乱に叩きながら話し掛けてきたではないか。さすがの旺伝もこれには「プロフェッショナル」だなと思いつつも、冷静な口調で淡々と受け答えするのだった。


「防犯カメラの映像が気になって眠れねーよ。絶対に」


 まさにそうだと言うのである。防犯カメラの映像が気になって眠りにつけないのだと。確かに、結果によっては旺伝の今後を左右するのでウカウカと寝られない自分がいるのもそうであろう。



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