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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 世界でも有数のビッグ企業を立ち上げたラストラッシュは部下から尊敬もされているがそれと同時に恐れられている。それはもはや強敵と相対した恐怖心を感じているかのようにだ。しかし旺伝にとってはただの真面目な金髪モヒカン眼鏡野郎にしか見えないので、何故ラストラッシュを恐れているのかが理解出来なかった。これは別に旺伝がアスペルガーな訳ではなく、そもそも問題は部下達の価値観にあるのだと勝手に想像していた。とにかくラストラッシュの見た目は金髪とモヒカン、それに原色好きかつ派手な服装を好む傾向にあるのでヤンキーか何かと皆が思い込んでいるから恐怖心を抱いているような気がしてならない。それでいてラストラッシュは盗賊ギルドにも所属をしているので、相応のプレッシャーを感じてしまうのだろう。社長と盗賊の二足のわらじを履いていて、カリスマ性も高い。皆が「この人には勝てない」と最初から思い込んでしまうのも無理は無いのかもしれない。だがラストラッシュもそうだが、他の人々も立派な人間に変わりないので人と比べて落ち込むのはもってのほかであると、旺伝は考えていた。


 そんな旺伝は誰かと自分を比べて落ち込んだ経験は一度たりともない。勿論、誰かと自分を比べるのは何回も経験しているのだが、その度に憧れの念を抱いていたりするのでネガティブな感情が湧いた覚えなど全く無かった。ラストラッシュも3つしか年齢が離れていないので社会に出たら同じ年齢みたいなものだ。彼に憧れの念を抱いたのは一度たりともないが、それと似た感情を覚えた瞬間は確かに存在していた。それはラストラッシュの睡眠時間だ。先程にも触れたとおり彼は社長と盗賊ギルド支部長のダブルワークをしているので本来ならば寝る暇も無い程の多忙を極めている。しかし彼は敢えて分刻みのスケジュールを組む事によって時間の捻出に成功させていた。多忙だからこそ、無駄な時間が浮き彫りになってくるのでその無駄な時間を少しでも裂こうと効率的な日常を過ごす事に成功したのだ。その一例を挙げると、まず朝起きると朝食を食べながら仕事着に着替えて新聞に目を通す。とにかく物事を同時進行したおかげで、彼はなんとか1時間30分の睡眠時間を確保するのに成功したらしい。


 ラストラッシュの時間のこだわりは尋常じゃないので、その点だけは評価をしていた。こういう言い方をすれば上から目線かもしれないので適切ではないが。とにかくラストラッシュを一人の人間として尊敬は出来ない。今でも忘れられないが出会い方が最悪だった。もしもあの時に一戦交えずに済んでいたら結果も変わっていたかもしれない。だが、旺伝の類まれなる運命力がラストラッシュとの出会いを必然にしたのならば、それはそれで良い訳だった。なぜならば後悔している時間があればとっとと仕事を終わらせて自由な時間を確保したいと思えるように成長したので、とにかく今の旺伝はポジティブに物事を考えるように努力を続けている訳だ。いつまでも後悔する時間を長引かせていては本当にやりたい事が出来なくなると悟ったのはいつの日だろうか……。それは定かでは無いとして、とにかく旺伝は一歩前に踏み出す勇気を、一歩前に言葉を出す勇気を持ち合わせようと思えるようになっていたのだった。きっとこれは自分の中に余裕が出来たから、思考の方向性が良い方向に向かってくれたのだろう。



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