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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
153/221

153


 現場は凄まじかった。銀行の巨大金庫の扉に大きな穴が空いていて、中身は空っぽの状態になっている。前にも触れたが、銀行には特殊な魔法結界が貼られていて魔法を一切受けつけないマジックジャマーを敷かれているので、これは魔法使いの仕業じゃない。となると、必然的に悪魔の仕業の可能性が高くなってくる。現場では恢飢かいきの仕業じゃないかと疑っている警官もいたが、旺伝にとってはトンチンカンにも程がある考え方だった。まず、知能を持つ恢飢は日本では確認されていないので、わざわざ銀行のセキュリティを掻い潜って金を持ち出す輩などいる筈も無いのだ。しかし、悪魔は放射能漬けされた人間が突然変異した存在だと言われているので、知能は人間と一緒である。となると、その類まれなる身体能力を使って銀行の扉をぶち破り、金を盗み出すのは容易であろう。そう考えていた旺伝は、リーダー格らしき警官に話しかけていた。


「監視カメラを見せてくれよ。それで相手が何者なのか一発で分かるだろ」


 しかし、警官は首を振ったと思うと旺伝の胸に強烈な殴りを入れてきた。まさかこいつが暴力刑事だとは思っていなかったので、旺伝は心底驚いた様子でお腹を両手で抱えながら、膝をつく。自然と睨みをきかせた目つきで奴を見上げると、今度は強烈な蹴りを頭上にモロに喰らってしまい、完全にノックアウト状態になった。何故、いきなり暴力を振るわれたのか分からないまま、旺伝の視界はブラックアウト寸前になる。だが、ここにきて気絶するのはバカバカしいと思う心が旺伝の心を奮い立たせて、何とか立ち上がる事に成功した旺伝だった。すると刑事は煙草を吸ったと思うと、旺伝の顔に煙草の煙を吹きかけながら、こう言ってきた。


「若い奴が捜査の口出しをするなよ。公務執行妨害で逮捕されないだけマシと思えよ」


 これが汚職にまみれた刑事の実態である。今の時代、警官は国に魂を売った熾烈な輩と認識されるようになり、一般市民への暴力は凄まじい。スターカー被害にあった女性を拉致監禁して凌辱の限りを尽くすのは何ら珍しくもなく、暴力団を処刑する時にはショットガンを至近距離でぶっ放し、相手の顔を破裂させるのも厭わない。まさに卑劣な存在に成り下がってしまっている。なので旺伝のような一般市民に暴力行為を振るうのも何の御咎めも無いのが、今の警察の実態だった。しかし、警官が警官なら、社長も社長である。ラストラッシュは先程の暴力刑事を違う部屋に連れ込んだと思うと、得意のナイフ戦術で奴の服を切り刻む。さすがに命だけは取らなかったようだが、先程の刑事は裸になってしまい股間を押さえたまま部屋から飛び出して行った。まさに他の警官にも笑われる失態となり、心の中で旺伝は「ざまあ見ろ」と舌を出していた。



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