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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 旺伝の疲労はピークに達していた。と言っても、別にヘリでの移動が辛かった訳ではない。それよりも考え事が脳内で蛇のように蠢いていて自分ではどうしようも無かった。余計な考え事ばかりをしていると脳内のセロトニンが消滅してしまうので幸福不足になってしまう。こうなると極端に疲労感を感じるようになって自身の体にも少なからず悪影響が出てしまうので注意が必要であると自分自身でもよく分かっている筈なのに、考え事をしてしまう。それだけに、更に疲労感を感じる要因となってしまったのは言うまでもない。決して大した事をやっている訳でもなく、当たり前の事すらも満足に出来ない自分に絶望感を感じながらも、両足は前に進んでいた。これから行く現場は恐らく悪魔が関係している場所になりえるので、注意よりもむしろ興奮が強まっていた。もしかすると、これですべてが決着するかもしれないと希望が持てるので前に進める。やはり人間は未来が見えない方が希望を持てるので、予知能力など人間には不必要だと改めて感じさせられる。今の時代、なんらかの能力者がいても不思議では無い時代に突入してしまい、恐らく未来予知に長けている能力者も存在しているだろう。だが、近い将来自分の身に起きてしまう事を未来で見てしまうのは、その時点で希望を失う可能性が強まるので、自分は絶対能力者にはなりたくないと思わされる瞬間だった。


 こうして、ラストラッシュとダニーボーイについていくと、あっさりと事件現場への立ち入りを許可された。旺伝は疲労感でひたすらボーっとしていたので、まったく気が付かなかったが、恐らくラストラッシュの全国的知名度を生かして顔パスしたのだと勝手に想像する事にした。それぐらい、今の旺伝は身も心もポンコツ化しているのだ。まだ若いのにボケてると感じるのもそれが原因となっている。昔から興味の無い出来事には集中力が人よりも長く続かずに、自分の興味がある物には絶倫な集中力を見せるのが彼の特徴だった。それ故に、今の旺伝は前者の立場となってしまい「あかん、ボケてる」と思わさせる原因となって悲しさだけが蔓延してしまっていた。本当の自分はもっと集中力があってカリスマ性の高い存在だと思っていたが、そんなのは幻想で本当にカリスマ性のあるのはラストラッシュのような特殊な人間だと思うようにもなっていた。なんせ彼は幼少の頃から親殺しをして刑務所に入れられ、その後脱走を成功させて無法国家に身を潜めていた程の男なのだ。その後も旺伝のような凡人には考えられない壮絶な人生を歩んで、今の世界的知名度の高い地位に登りつめたのだろう。想像に過ぎないが、その隣にいるダニーボーイもきっと旺伝には干渉できない人生を歩んだからこそ、あのように冷静な態度をするようになっている筈だ。そうじゃないとあそこまで機械的な判断を可能にさせるのは難しいからだ。



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