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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 何気なく過去を振り返ってしまうのは自身の精神状態がマイナスの方向に向かっている時が多い。特にそういう場合は昔の悪い自分を思い返してしまうのであまりメンタルには良くない。後ろ向きに物事を考えて現実を逃避するのは愚かな事であると旺伝自身も良く分かってはいるのだが、そう簡単に自分の考え方が変わる筈も無い。後ろ向きに物事を考えてしまうのは自分の性格なので、どうしようもない。だからこそ、そんな自分と向き合って治そうとする過程が大事なのだ。ところが、社会に出ると過程など全く評価されずに結果だけを見る大人が圧倒的多数だ。努力しているしていないはどうでもよく、良い結果が出ているか出ていないかだけで物事を判断してくるので困ってしまう。自分では努力しているつもりでも、結果が出ないと努力していないと勘違いの目で見られるのだから社会は理不尽である。旺伝は社会人を極端に嫌っていたが、こういうのが周りでも日常茶飯事に行われていたので、更にこの世界が嫌いになっていた。誰よりも頑張って過程を大切にしている他の部署の者が、まるで結果が出ていないからと言って上司から「もっとまじめにやれ!」と激昂されてる瞬間を目撃した時がピークだった。その時の旺伝は思わず他の部署の上司に殴り掛かってしまったのだが、ラストラッシュの恩情で何とかその場は収まった。殴り掛かる行為は、本来ならば警察が飛んでくる騒ぎに発展してもおかしくない。それでもラストラッシュが上手く火消しをしてくれたので丸く収まったのだった。


 そんな事を外の景気を見ながら考えていると、何時の間にかヘリが銀行の屋上に着陸していた。ボーっとしている時間はあっという間に過ぎてしまうので当たり前と言えば当たり前だが、やはり時間の流れは残酷だなと後悔の念が旺伝の脳裏に過っていた。と言うのも、会社でキーボードを叩いている瞬間は時がゆっくりと流れているような錯覚に陥ってストレスを発生させる理由になってしまっているのに、こういう何も考えていない場合ではストレスを感じずに、むしろ楽しいに似た感情を抱く自分がいた。やはり仕事をしている時にはセロトニンが不足してしまい結果的にストレスを感じる媒体と化してしまうのだから、中々どうして会社員は不幸の塊であると確信を持って言える。これならばフリーターの方が精神的に楽な筈だ。そりゃもちろん、給料の差がかなりはるかもしれないが、仕事や人間関係で余計なストレスを溜めずにストイックな自分でいられるのでかなり楽である。旺伝は別に辛い思いをしてまで会社員に拘る必要など無いと思っているので、本来彼はフリーターになりたくて高校中退を決意した程の束縛嫌いだ。それに仕事ではインフルエンザ以外では休んではいけない風潮があるので、バイトのように気軽に休みをとれる自由感を欲しがっていた。会社員になってしまうと環境によって違うかもしれないが風邪で休んではいけない空気感が漂っている。会社の上司が真のプロフェッショナルならば会社全体に風邪のウイルスを持ち込ませないように休暇を与えるのだが、残念ながら会社の上司のほとんどは「風邪ぐらいで休むな」という古臭い考え方を未だに持っているので風邪程度では休ませてくれないのが日本の悪しき現状である。彼等はプロ意識が欠如しているからこそウイルス感染の予想が出来なくて無理にでも来いと訴えてくるのだ。そもそも風邪を引いた人間が会社を休んだだけで仕事が回らない職場など滅多に無いので、普通の思考回路をしていれば部下に休暇を与えるのが常識であるが、それもできない無能上司がこの世の中にはたくさんいるからこそ、旺伝はフリーターこそが精神的に楽でストレスを溜めにくい職業だと説いているのだった。



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