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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 旺伝は常に内なる自分と闘ってきた。生まれながらの才能なんてまるで無く、常に孤独感と周囲の目に追われていたのだ。だからこそ日々の思考を研ぎ澄ませていく事で自分の精神状態を何とか維持しようと模索している状態である。とてもじゃないが常人の想像を絶する壮絶な人生を凄しているからこそ、自分の強さとは何かを考えさせられていた。幼少の頃から親や家族の力を借りずに自分を高めるための努力を続けていたからこそ、子供の頃から自分とは何かと常に考えていた。そんな事を子供の時から考えていたのは旺伝ぐらいなので、彼は幼い頃から考え方が皆と違うとされていて、友達などいなかった。誰にも見られていないところで努力をしているからこそ幼稚園生の頃から中学生レベルの魔法が使えていた。本来ならば「崇拝されて当然だ」と考えていたのだが、周囲の反応はまるで違っていた。どうやら旺伝の事を化け物か何かと勘違いした周りの人間がどんどんと自分から遠ざかっていく。それと共に旺伝は一人で行動するようになり最終的には先生からも見放される存在になっていた。その頃には既に高校生レベルの魔法技術を習得していて、幼稚園の枠には収まりきらないと園長先生自身が彼を追放してしまった。まだ物心もつかない旺伝がここまでの孤独感を感じてしまうのは明らかに後の人生に大きく関わる程の精神的ダメージを負ってしまっているのは誰が見ても分かりきっていた。


 そして後に彼は魔法界の魔法使い養成所からオファーされて海を渡ったのだが、最終的にはこの地に逆戻りをしてしまっていた。あの忌々しい記憶の中に戻ってきたような気分でいたが、既に自分でお金を稼げる年齢に達していたので文句を言っている暇など無い。とにかく金を稼いで生活する必要があるので、とにかく給料の高い仕事ばかりをこなしていた。無論、給料の高い仕事は誰もやりたがらない危険な仕事であるのは他ならないので、獰猛な恢飢生物を退治する祓魔師という職業に身を投じるようになっていた。そんな矢先に極秘裏に東日本に潜入し、調査をしてきて欲しいと依頼されていた。旺伝は少なくとも魔法の技術は常人のレベルを遥かに超えていたので難なく東日本に潜入できたのだが、そこに待っていたのは過酷な環境だった。境界線の付近で、既に放射線量が危険レベルに達していて、なんとか核爆弾投下付近の東京都に近づいたのはいいがそれ以上はどうにもならなかった。徐々に、金払いがいいだけでこんなミッションを引き受けた自分に怒りを感じて自暴自棄になる瞬間が着々と増えてしまっていた。それに、この東日本には想像を絶するレベルの未確認生物がひしめき合っていてまさに地獄絵図だった。放射能に汚染されて原型を止めておらず、まるで深海魚のようなグロテスクな見た目をしている動物がそこら中にいる。そのどれもが凶暴性で旺伝に攻撃を仕掛けてくるのだからたまらない。それにこの東日本ではどう考えても人間が住める環境ではないので、ひたすら孤独感を抱えていた。こお孤独感は幼稚園生の時に周囲から無視されていた時の感覚に似ていて、発狂寸前の自分がそこにいた。それでも何とか気力を保って前に進み続け、ついに目的の場所に辿り着いたのだ。そこは崩壊している筈の国会議事堂だったが、何故か原型を止めていた……というよりも明らかに修復された痕跡があった。これは理性を持っている他の生物が存在している証なので、旺伝は慎重に中へと進んで行った。しかし、そこで何者かに強襲されて目の前がブラックアウトしてしまったのだ。



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