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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 ダニーボーイの老害嫌いが明らかになった事で、三人の関係はより深みが出来ていた。というのも、若者が老害嫌いなのは周知の事実であるが必ずしもそうだとは限らない故に、三人の意志共通がされていると判明した点は少なくとも評価に値するレベルであると同時に、共通の意識を持つ事で、先程まで流れていた悪い雰囲気が解消されている気がしていた。それこそさっきの悪い雰囲気よりは幾分かマシになって、旺伝の表情は明るく変わっていた。それほどまでに、無愛想な人間が近くにいると周りの人間までやつれてしまって、やる気を吸い取られる原因になるのだから、彼等にはその辺りの事を踏まえたうえで、自分はどうやって仕事をしていくのかと自問自答してもらいたいものである。


「さて、いざこざも終わった事だし仕事に戻るか」


 そう言って、旺伝は背伸びをして自分のデスクに向かおうとした時に、ふと右肩を掴まれて仰天してしまった。今はどう考えても仕事に向かうタイミングだったので、これは無いだろうと思いながらも旺伝は渋々と後ろを向いた。すると眼前にはラストラッシュの顔面が至近距離にまで接近していて、目と鼻の先である。さすがにここまで顔を近づけると、思わず口のエチケットを気にせざる終えなかった。この気遣いが旺伝を社会人として染めさせている証拠とも言えるのだが。


「何をおっしゃているのですか? もうお昼ですから休まないと」


 ラストラッシュの一言は以外だった。旺伝の体内時計ではまだ朝だというのに、昼の時間になっていると言うのだから頭がこんがらがりそうになっていた。体内時計の

感覚は朝の8時30分で、まだまだ仕事が出来てピークにも達していないのが旺伝の素直な感想だった。しかし、今まで自分の思っていた事が必ずしも正しかったとは限らなかったので、おそるおそる壁掛け時計を見て時間を確認すると、そこには思わず疑ってしまう光景が広がっていた。なんと、ラストラッシュに言う通り時計の針はお昼の12時を刺していて昼食の時間であると時計は態度で示していた。しかし、旺伝は時計が壊れているのかと疑って、再びラストラッシュに問うた。


「あの時計、壊れてんじゃないの?」


 するとラストラッシュは腕にはめている金色に光る高級時計を見せつけてきた。全体が金で加工されていて、これほどの美貌と耐久性を持っているのなら軽く1億円は超える代物だろう。大手企業の大社長でもあるラストラッシュ様様なら容易に買える代物だったかもしれないが、それでも1億を超える時計を持っているのなら時計マニアにも思考がバレてしまうので、あまりにも派手な色の日常生活品は喜ばれないのが落ちである。地味な色よりも派手な色がいいかもしれないが、わざわざ金色に光輝く日常生活品を手に入れる必要などもってのほかだ


「いいえ。この時計は1分刻みに正確です。だからそんな心配は御無用です」


 ラストラッシュはニッコリと笑ってそうだと言うのだ。この時計は正確が売りの自慢の指輪だと。



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