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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 こうして、一歩踏み出してダニーボーイに話しかけた事で、彼の意図を探る切っ掛けを得た。そもそも人間はコミュニケーションを円滑に進めないとストレスを心の中に抱かせる切っ掛けを作る可能性があるので、積極的に笑顔で声を掛ければ何とかなるものだ。しかし、何とかなると言っても相手が不機嫌な時には地雷を踏みかねないので注意が必要である。もちろん、話しかける事で今のように地雷を踏みかける事態になるかもしれないが、声をかけずに悶々とするよりは一言声をかけてコミュニケーションを円滑に進めようとすればいいのだ。旺伝は今更ながらその大事な点を究極的に考えていた


「今日はいつも以上に不機嫌そうだな。何かあったのか?」


 勇気を振り絞って声をかけると、意外にも体と心がハッキリとしていた。やはり人間は変化を大切にする生き物のようで、積極的に声を掛けた自分を自分で褒めているかのような感覚を心の中に抱いていた。


「老害が憎い」


 ダニーボーイはそう言ってボソリと呟いていた。どうやらこの男は老害の事を頭の中に抱いていて、それに対して怒りを抱えていたようだ。しかし老害が憎いのは誰もがそうであり、別に朝から怒る理由にはならない筈だ。情緒不安定の意味不明な老害に出会ったのならば話は別だが、そんな老人と出会う確率なんて万に一つの可能性なので有りえない。だとしたらこの男は過去の出来事を思い出して不機嫌になっているかもしれないと、旺伝は心の中で分析をしていた。


「皆一緒だ。老害は心から憎むべき相手だからな」


 特に60歳を超えている老人が意味不明な言語を喚き散らして怒鳴っている姿を見ていると哀れに思える。確かにミスをした方も悪いかもしれないが、いちいちそれに目くじらを立てて怒り狂うのは傍から見れば老害の方が激しく目立つのは言うまでもない。それに声を出して怒る方がよっぽど人に迷惑をかけているというのを、奴等は気が付いていない。普通は気が付くのだが、それが出来ないぐらい精神状態がおかしくなってしまっていると言っても過言ではないだろう。老害はあくまでも自分さえよければそれでいいと考えているので、他人がどう思うが思わないがしったこっちゃないという自己中心的人物が多く存在している。しかも高齢化社会が進んでしまっているから、そうした人物が圧倒的に増えているのが悲しい現実だと、旺伝は高層ビルから見える景色を見ながらそう感じていた。


 だからと言って、御老人が全員害という訳ではない。中には聖人のように心が広い方も中にはいるので、老人を大切にしないといけないのは当たり前の事である。しかし、自分中心に物事を考えていて、他人に怒鳴り散らすような老人は害でしかないので、殺虫剤を撒いて追い払おう。奴等はもはやまともな精神を持っていない害虫に過ぎないので、黙って無視をするのが一番である。逆に老害と同じように自分も怒鳴り散らして嫌味を言うようになれば、それはそれで人間としてお終いなので奴等の真似だけは絶対にしてはいけない。だからこそ、老害と出会った時は無視をするのが一番効果テキメンなのは言うまでもない。奴等は極端に無視をされるのを嫌っている。その理由はやはり自分という存在を認めてもらいたいという気持ちが何処かにあるので、無視をされるのが苦手なのだろう。だから、老害が急に騒ぎ始めてたら無表情な顔をして無視をしてしまえばいい。







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