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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 どんなに頑張っても人は誰しもが孤独を抱えて生きて行かねばらない。だからと言って、目の前の現実を放棄するまで絶望してブスッとした顔をして職場に入られては周りの人間からしても迷惑極まりない行為だ。無愛想な人間いるだけで職場の空気は悪くなり、自然と作業効率が悪くなる。それを分かっているからこそ、ラストラッシュは面接の時にブスッとして笑顔の一つを見せない人間はどんなに有能な学歴をお持ちであろうが、一次面接で門前払いを喰らわせている。それぐらい、無愛想な人間は社会にとって敵であるというのはほぼ間違いないだろう。しかし、これだけやっても無愛想な人間はスルリと網目を掻い潜って潜入してくるから迷惑に等しい。目の前で作業をしているダニーボーイのように、それなりの地位を持った人間だとクビにする訳にもいかないので、なんとか意識改革が出来ないかと二人は耳打ちをして相談していた。


 笑顔の絶えない職場こそがラストラッシュ社長の目指している目標であり、そのためには無愛想な人間を笑顔の似合う人間にしなければいけない。さすがに笑わないから解雇するとは言えないので、そういったカウンセラーなりカリキュラムを組んでいくのだ。それ故に旺伝は「そのカリキュラムに入れてはどうだ」と助言をしたのだが、ラストラッシュが言うには駄目だという。理由は不明だが、ダニーボーイは他の人物とは明らかに身分が高い人間らしいのでそれが影響して受けさせられいのかもと旺伝は自己流に分析をしていたのだった。


「だが、ここまでブスッとされるとこちらとしてもどうすればいいか分からんな」


 まさしくその通りだ。ダニーボーイはまだ従業員だから良いものの、人を指導する立場の人間が無愛想ならば終わりだ。無愛想な人間は当たり前だが人を思いやる気持ちなど皆無であり、自分だけが幸せになればそれでいいと潜在意識の中で思っている人間が大勢いるのだからハッキリ言って迷惑な存在だ。もしも職場がやけに静かだなと思った時は、周りに無愛想で口を開かない人間がいないか探してみよう。きっと、必要以上に顔をしかめて仕事をしている大悪党を見つけてしまうから。だが一番恐ろしいのは自分がそういう無愛想な存在になりえている可能性もあるから、多少の人付き合いが必要になってくる。と、これだけ文句を言っているにも関わらずダニーボーイは黙々とキーボードを打ちながら作業をしている。このように仕事が出来て無愛想なら問題は無いのだが、無愛想な奴に限って仕事が出来ない無能なのだから社会は良くできている。


「少なくとも、彼は仕事の出来る人間で助かりましたよ。もしもあれで仕事が出来なければ存在価値など何一つありませんからね」


 もしも周りで無愛想な人間がいて、その人間が何年も同じ会社で務めているのであれば、彼はきっと仕事は出来るが口を開かない職人気質という訳だ。しかし、それは年長者のポジションなのでも、もしもパッとでの新人が生意気にもブスッとした態度で仕事をしていては周りから失笑されたあげく、後ろ指をさされて笑いの種になり、最終的に上司からパワハラの限りを尽くされて精神を病み、自殺にまで発展するだろう。それぐらい、無愛想な人間は社会にとっては害虫のような存在なのだからやはり笑顔は大切なコミュニケーションツールの一つだ。挨拶を一つとっても少しぐらい笑えばいいにも関わらず、まったく笑わずにしかも人の顔を見ずに挨拶をする輩があまりにも多すぎる。ちょっとハニカミを見せるだけでだいぶ違うのに、奴等はそれをしようともしないのだから納得がいかない。



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