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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 人間は何処までも純粋な生き物だ。辛いことがあれば心は凹むし、楽しいことがあれば全身を使って大喜びをする。そんな種族が、こうして目の前でだんまりを続けているのは何か理由があってだろうと旺伝は感じていた。そもそも同じ人間だから何かしら思っている感情の共通点はあるだろうが、それがよく分からないのが人間だ。何を思っているのか分からないこそ面白いのであり、もしも他人の感情が手に取るにように分かってしまえばそれはそれで面白くない。だからこそ心を読める人間は世界中を探しても何処にもいないのだろう。もしも心を読める人間がいれば、それだけで世界中のテレビに引っ張りだこになってあっという間に大金持ちになて豪遊生活が出来るのだから。したがってこの世界にはまだ人の心を読める人間は一人としていないという訳だ。それは勿論、旺伝とラストラッシュも例外ではない。二人とも他人の心なんて読めないし、読みたいとも思ったのは生涯で一度たりともないだろう。それぐらい、人は心を読むという行為に嫌悪感を抱いている。なぜならば他人が自分を嫌いだと思っているのも手に取るにように分かってしまう恐れがあるので、心が読める人間には狂人的な精神力を要求される。心の中ではなんとでも言えるからこそ、人の心は憎悪と暴言の渦に巻き込まれているのだから安易に心を読んでしまうと、人は病んでしまって病院送りになってしまうだろう。そういう危険性を分かっているからこそ、二人は特別に心を読もうとは思わないし、読もうとも思っていない。だが、この時ばかりは一瞬でいいからダニーボーイの心を読んでみたいと思う瞬間があった。それぐらい、彼から発せられている「話しかけるな」というオーラは強力的で、二人を持ってしても解決できるレベルでは無かった。


「しかし……いつまでも話し掛けないのはこっちのストレスが溜まる一方ですね」


 まさしくその通りだ。職場や学校に感じの悪い人が一人でもいれば、それだけでチームワークの流れを切断する程の威力を持っているのは言うまでもない。彼ら彼女らは「自分は誰にも迷惑をかけていない」と思っているかもしれないが、それは大いなる錯覚で愚かな思考だということに、他人から言われるまでに気づかねばならない。そもそも感じの悪い人間は社会に出ると必要とされていないのは目に見えており、成功している人の共通点は心が明るいという点だ。根っからのネガティブで「どうせ自分は」と悲観的になっている人間が大企業の社長になれただの、そんな話しは聞いた覚えが無い。ラストラッシュが20歳という若さで世界的ヒットメーカーになれたのも愛想が良くて、根っからの働き者だったからだ。いつも笑顔を絶やさずに、どんなに眠かろうがどんなに疲れていようが、笑顔を見ている。ブスッとした人間と、笑顔の似合う人間、どちらが必要とされる人材かは一目瞭然であり、もしも同じ技量を持った二人の人間が面接した時に、面接官が採用したいと思うのは必然的に笑顔に似合う人間だというのは言うまでもない。やはり人間は顔色を良くした方が就職にも強いし、社会人として、上司の理不尽な考えに対応できるだけの精神力もつく筈だ。それぐらい笑顔というのは精神面でも強くなれる可能性を持っているので、悲観的な自分にコンプレックスを抱いている人間は、いますぐにでも笑顔を作るべきだ。旺伝はラストラッシュという人間と出会ってから人として成功するためには笑顔が絶対条件だと悟ったという訳だ。


「へえ、お前もストレスを感じるタイプなのか。初めて知ったぜ」


 そもそも感じの悪い人を見ているだけでストレスを溜めてしまうのが人間であり、それぐらい弱い生物だというのだ。だからこそ、感じの悪い人間は人に迷惑をかけまくっているという自覚を持たなければならない。それこそお喋りで言葉が止まらないマシンガントークの人間よりも精神的迷惑を被っていると考えた方がいいだろう。それぐらい、社会ではブスッとした人間は必要とされていない。陽気に物事を考えて、常に全力を心掛けているだけで、社会から求められるようになるのだから、ネガティブな人はムードメーカー的ポジションに今すぐにでもチェンジした方がいいだろう。大人になってからキャラを変えるのは至難の業かもしれないが、一生を感じの悪い人間として過ごすよりは幾分かマシである。



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