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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 イノシシ鍋を満喫していると、今度は旺伝の大好きなブドウジュースを振る舞われた。何を隠そう、玖雅家は代々ブドウジュースが好きな家系であり、旺伝自身もそうだが弟の聖人もブドウジュースは大好物だった。美味しいのは当たり前だが、特にのど越しが他のジュースとは段違いなのだ。


「おっ。ブドウジュースじゃないか……しかもキンキンに冷えてやがる」


 思わず、旺伝もうなる程の冷たさだった。こんな山奥にコンビニがある訳ないので、恐らく山を降りて買ってきてくれたのだろう。喜びと嬉しさが爆発しそうになりそうになるところをなんとか堪えて旺伝はキャップを外して、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲んでいく。


「やっぱりブドウジュースが最高だよな。異論は認めない」


 聖人はいつものように唾を撒き散らしながら言っていた。


「まさしくその通りだな。私もそう思う」


 こうして、三人はブドウジュースを飲みながら朝という余韻に浸っていた。本来朝は活動的な時間で余裕が無いの事の方が多いのだが、このように朝早く起きるというだけでそれも無くなってしまうのが嬉しいばかりだ。とは言っても、いつまでもノンビリとはしていられない。出社の時間は着々と進んでいるのだから。


「それにしても、まさかブドウジュースを用意してくれるとは思わなかったぜ」


 用意周到な弟に頭が上がらないのは言うまでもない。このように、聖人という男はさりげなく嬉しいサービスをしてくれるのだ。ただ五月蠅いだけの男ではないという訳だ。


「兄貴は俺と違って忙しい身分だからな。買い出しに行かせる訳にはいかねえだろ」


 そう、ブドウジュースを買ったのはあくまでも買い出しのついでだと言うのだ。これには旺伝も思わずニヤリと口角を上げる。本来、この島にある分だけで生活している筈の聖人がコンビニに買い出しに行く筈が無い。ようするに旺伝を喜ばせるためにブドウジュースを買ったのがバレると恥ずかしいので嘘をついたのだろう。


「忙しいと言ってもたかが知れてるさ。世の中には俺より忙しい人間は山ほどいる」


 その中でも特に記者は夜も朝もあったものじゃない不規則な生活を強いられている。忙しい時は昼食を買いに行く暇もないぐらいの多忙を極めるのだから恐れ入る。それでいて、夜中の2時や3時に仕事がもつれるこむのはもはや日常茶飯事であり、朝の9時まで仕事が終わらないというとんでもない事態だってあるぐらいだ。だからこそ、出社時間は11時から12時の間で他の会社よりも遅いのだが、多少出社時間が遅かったとしても疲れは翌日に持ち越されているに決まっている。本当の意味での夜型人間などこの世に存在しないので、真夜中に寝て朝に起きるという生活は必ず自己の破滅をもたらす。実際に睡眠時間が短い人間は早死にする確率がかなり高くなるので注意が必要だ。特に記者のような不規則が当たり前の生活をしている人間はきっと中年になって至る箇所が痛くなって再起不能の状態に陥るだろう。若いときは多少の無茶はきくだろうが、歳を重ねると本当に徹夜はきつくなってしばしば発狂しそうになる。


「俺に比べて忙しいっていう意味だよ」


 だが、学生も時と場合によっては会社員よりも忙しい事態も平気で起こりえるから怖い。



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